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千歳忍の独り言

なんでも解説!

2003年 1月

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もくじ

1月15日・・・・・ヒートシンクの話



1月20日
大寒です(平年並だけど)

 冬はいいね。冷却が楽で。
 と、心底思います。

 AMD系のCPUは、自己熱で発火できますから。
 以前のAthlon(ThunderBird)が焼けたのを焼き鳥なんて笑ってましたが、本当に焼けちゃうんですよ! Intel系は、ちゃんとクロックを下げたりして対応してくれるのですが。まあ、両者の消費電力的には同じぐらいというワケで、今日は、ますますもって重要になりつつある冷却の話。

 ヒートシンクは、熱源から熱を伝え、多くの表面積で空気中に熱を放出し温度を下げる事が出来ます。ヒートシンクの性能をとしてヒートシンクを形成する物質自体が室温に達するまでの容量(物質の種類と重量)に依存する初期性能、持続的に放熱しつづける(材質や、フィンの形状、風量に依存)持続性能の二種類があると考えられます。

 ヒートシンク

 一般的なヒートシンクはアルミを使用しています。
 これは、鉄などよりも熱伝導率が高く、成型し易いなどの特徴があります。ヒートシンクは、(基本的に)空冷ですから、空気と触れ合う為の表面積が必要です。その為に、成型のし易さは大きなポイントとなります。後述する銅などと比べて熱伝導率は劣るものの、加工精度でカバーできる範囲にあるといえます。
 鉄に比べ、アルミは3倍程度の熱伝導率を持つので、PC向けのケースでアルミケースがもてはやされていますが、熱伝導率と放熱性は別物です(PCケースの表面に無数の突起があるなら別ですが)。強度的にアルミは弱いですから、その点を差し引いて考える必要があります(軽さが一番の利点かもしれません)。

 最近流行なのが銅です。
 アルミに比べ倍程度の熱伝導率があり、価格も安い事があって多く利用されはじめています。欠点は、加工がしにくい事、重たい事です。
 フィンの形状で大きく放熱性が変わります。銅は、この部分で不利です。また、タワー型のケースではマザーボードが垂直になる為、偏った方向にヒートシンクの重みが加わります。また、重たいということは、それだけ圧力をかけて密着させる必要が出てくる訳で、結果としてCPUの破損に繋がりかねません。
 銅自身は安くとも、加工にコストがかかり、しっかりしたものは高価にならざるを得ないようです。
 その為、熱を受け取る部分は銅製、フィンがアルミのハイブリッド型が数多く見かけられますが、違う物質の接触する部分には必ず抵抗が生まれます。接合部分が甘いと熱を逃がし切れず、なんの役にも経ちません。

 銅を越えて、熱抵抗が高いものと言いますと「銀」が上げられますが、高価過ぎて、そんなもの見たこともありません。

 そこで、登場したのがヒートパイプ。

 放熱面積が限定されたり、容量の問題もあり、ノートPCでは意外と古くから利用されてきたヒートパイプですが、この優れた熱伝導率に、ここ最近の注目が集まっています。
 ヒートパイプとは、管の中を真空にし、少量の液体(動作液=純水が多い)を封入したものです。熱により、中の液体が蒸発、圧力に不均衡が起こり、気体は移動、冷され、凝縮、潜熱を放出するというプロセスで成り立っています。管の中は網目状になっており、毛細管現象を利用して、重力に逆らってでも動作するようになっています。
 ヒートパイプ自体は、管の径や、動作液の種類などに差はあるものの、銅に比べて10倍~100倍以上の熱伝導率があります。
 動作液が凍結すると動作しないという欠点はあるものの(純水で氷るような場合は、エタノールや、ヘリウムなどが使われるので問題はない)、可動部が無い為、メンテナンスフリーで半永久的に使えるなど利点も多いのです。

 一つ覚えて置いて欲しいのは、ヒートパイプは熱を運ぶものであって、これ自体が冷えるものではないのです。強烈な勢いで熱を移動させるだけなのです。また、ヒートパイプからヒートシンクへの熱の移動の際には、必ず接合面による抵抗が発生します。
 ヒートパイプが付いてるからといって、冷えるヒートシンクになるわけではないということを覚えて置いてください。
 ではなぜ、今注目なのかというと、少ないCPU直上のスペース以外にヒートシンクを設置できるので、クーラーの設計自由度が上がる事。場所に余裕が出来る為、大型のヒートシンクに、大型のFANをブン回す事が出来る事。コレです。コレにつきます。また、熱の移動速度が速いので、CPUの直上の熱を比較的早く逃がすことができる点も見逃せないでしょう。
 (ヒートパイプで逃がした先に水冷システムがあれば、安全に強烈な冷却をすることができますね!)

 ペルチェ

 昔からよく使われるものに、ペルチェというものがあります。
 ペルチェ素子は、電圧を掛けると、片方の面に吸熱が起き、反対面に廃熱がおきるというもので、ゼーベック効果の丁度反対側になります(ゼーベック効果は、異なる金属面に温度差を生じさせると、電圧が生まれ、電流が流れるというもの。ペルチェ効果は、異なる金属面に電流を流すと、温度差が生じるというもの)
 十分に冷す為には、相当な電流が必要です。電流を消費するということは、そこに熱が発生するという事なので、ヒートシンクの容量は更に大きくする必要があります。
 また、CPUなどの熱が発生していないと、ペルチェは冷え過ぎ、結露を起します。結果としてショートなどの危険性をはらむ為、安全を考えると温度監視と、制御などが必要となり、意外と手間がかかるものです。ペルチェを使う場合は十分に気をつけてください。

 それ以外に

 CPUとクーラーの間にはシリコングリスを使うことが多いと思いますが、このグリス。実は思ったほど熱伝導率が良くありません。だから、あまり熱く塗り過ぎないようにと言われています。
 CPUのヒートスプレッダ(上部面)と、CPUクーラーの面が、分子レベルで鏡面のようになっていた場合、そのままくっつけた方が熱伝導率がいいです。なぜそうしないかというと、面には凹凸があり、その間に入る空気が熱を遮断するからなんです。
 空気を抜いて、でも、できるだけ近接するように、グリスは薄く均一に塗りましょうね。

 本日のキーワード「ゼルダの伝説 風のタクト ようやくクリア!」



当ページは「千歳忍」の独り言です。
極力真実に基づいて記述するようにしていますが、当方の思い違いや表記の方法によって一般的な解釈と異なる場合が有ります。意見や訂正の要請は大歓迎です。また、書いてほしいネタも募集しています。その場合はこちらまでどうぞ。

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