対の遺伝子
- - - 25. 一番近しい遺伝子
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「俺も笑と双子で生まれたかったな」
「……はぁ?」

週末、一人暮らしの俺の部屋に親公認、兄非公認で泊まりに来ていた笑を抱き寄せながら、呟いた俺の言葉に、笑はそれはそれは色気のない怪訝な顔をした。

「私と双子って……本気で言ってるの?彬」
「本気だよ」
「何で?」
「双子って言うのは、お腹の中からずっと一緒だろ?しかも一番近しい遺伝子をもってるってことじゃないか」

絶対に切れない絆。
それを持つ有が、うらやましくないと言ったら、それは嘘だ。

「私、いやだなぁ」
「?」
「彬と双子なんて、いや」

想像したのだろうか。不機嫌そうに眉を寄せた笑に少し悲しくなる。

「俺と双子はいや?」
「いや」
「なんで」
「双子で恋人同士なんて、ありえないもん」

近親相姦じゃない、と笑は至極まともなことを言ってみせた。
……確かに。
双子じゃ恋人にはなれないよな。
それはそれでいやかもしれない。

だけど、それでもやっぱり、君に一番近しい存在でいたいと思うのは、俺の我侭だろうか。

「あのねぇ」
「?」
「有が私と双子で生まれる運命だったんなら、彬は私の恋人になる運命の遺伝子を持って生まれてきたってことなんだよ?それ、わかってる?」
「えっ……」
「だからね、それはそれで、一番私に近い遺伝子なの!」

少し怒った顔で言う君のその言葉は、俺にとって何よりも強いもので。
怒られているにも関わらず、俺は顔がゆるむのを抑えることができなかった。