W渡辺
- - - 第19話 渡辺くんとプロフェッサー
[ 第18話 渡辺くんとカップめん | W渡辺Top | 第20話 渡辺くんと従兄弟くん 前編 ]

「渡辺」
「はい」
「違う、隣の渡辺だ」

教壇からツカツカと歩いてきたかと思うと、彼は不機嫌を隠そうともしない顔で俺の隣の席を見下ろした。
俺の隣での席では、すよすよといつもながらに気持ちよさげに眠っている雛がいた。

高2、高3と何度か席替えがあったにも関わらず、ものすごい確率で雛はまた俺の隣の席になっていた。
しかし正当なくじ引きの結果だったから、これはもう確率問題だろう。
そう言ったら、雛が嬉々として確率計算について語ってきたことを思い出して、俺は少し顔を歪めた。何だってあんなに嬉しそうだったんだろうか。

いかん、こんなことを考えている場合じゃない。
今目の前には、さっきまで物理の授業をしていたはずの教師がいるのだから。

「渡辺」
「……」

その呼びかけに、雛が答えるわけもなく。
白衣を纏ったその顔に、ピキンと青筋が立つのを俺は確かに見てしまった。

「渡辺」
「……」
「渡辺!渡辺雛ッ!起きろ!」
「……ヤダ」

(―――――え?)

一瞬俺自身も、もちろんクラスにいた誰もが耳を疑ったことだろう。
しかし雛の口からは、確かに、しかも普通に冷静な声で、返事が発せられたのだった。

「ほう、起きていたようだな、渡辺」
「半分寝てて、半分起きてるの」
「その授業態度はいかがなものだ?褒められたものではないだろう?」
「そだね」

って雛、一応自覚はあったのか。
だったら起きる努力をすればいいものを……いや、今更そんなことを言っても、変わりはしないと思うのだが。
しかしそれを見ていて、俺は少しおかしなことに気づいた。
起き抜けだというのに、雛の瞳にイヤに挑戦的な光が浮かんでいるのだ。

「授業時間は寝る時間か?いい根性だな」
「眠くならない授業をやってくれたら、寝ないと思うけど」
「……ほほう、そんなに俺の授業は面白くないというわけか」
「ハッキリ言えば、面白くないね」

……雛。
何だ、どうしたんだお前。
他の教師達に対する態度と何でそんなにも違うんだ?いつもなら眠そうに適当にあしらうところじゃないのか、そこは。

「それは私的な感情でじゃないのか?渡辺」
「どうして私が、せんせーに私的感情なんて持たなくちゃいけないの?」
「さあ、それは自分の胸に聞いてみたらどうだ?」
「じゃあそっちこそ、思い出したらどうかな?イロイロと」

どう見てもケンカを売っているとしか思えない雛に、俺は慌てて口を挟んだ。

「雛……ッ!」
「まぁイロイロと、ほんとにイロイロと」
「おい、雛!」

少し大きな声で止めに入った俺を気にも止めず、雛は物理教師に満面の笑顔を向ける。
だがそれは、普段俺に向けられるものとは違って、どうにも裏がありそうな、真っ黒な笑みだった。そんな雛を、彼は顔に青筋を立てたままで睨み付けている。

―――――どうなっているんだ、これは。

片方は笑顔で、片方は完全に頭に血が上った顔で睨み合うそれは、結局授業終了のチャイムが鳴るまで続いたのだった。


* * * * *


「あいつ、嫌い」

昼休み、開口一番で雛が言う。

「あいつって、『教授』のこと?」
「……?『教授』って何?」
「今日雛がケンカ売った、物理の堂本でしょ?いっつも白衣着て、難しい顔してるからみんな『教授』って呼んでるじゃない?」
「ケンカなんて売ってないもん」

いや、どう考えても売っただろう、あれは。ここが学校で、あいつが教師じゃなかったら、怒鳴り散らしてもおかしくない顔をしてたぞ。

「なんでわざわざこの学校にくるのかなぁ、嫌がらせだよ」
「『教授』のこと知ってるの?雛」
「うん」

憮然とした顔で、雛は唇を尖らせた。
雛がこんなにあからさまに誰かを嫌うのは珍しい。雛の場合、とりあえず基準が興味があるかないかのどちらかなので、とりあえず物理の堂本は興味がある、の部類には分類されているのだろう。

「あいつ、失礼で無遠慮で不用意で、賢くないから嫌い」
「……雛ちゃんに賢くないって言われると、微妙に複雑にならねえか?政宗」
「まぁな」

雛にとって、賢いというのはどういうレベルなのか。少なくとも俺は、雛よりは賢くないことは事実なのだ。一般常識と体力面を除いては。

「違うよ、賢くないっていうのは、成績とかそういうことじゃないの」
「はぁ」
「あいつはマサムネや時政くんやユリよりも、全然全然賢くない」

―――――そこまで本気で嫌いなのか、雛。
物理の堂本は元々俺達の授業担当ではなかったのだが、今までの教師が産休に入ったので、臨時的に担当になったのだ。だから今までは平和だったんだな、と俺はそこでようやく納得した。

「なんかされたの?雛」
「された」

雛の顔がどこか悔しそうに歪む。俺はそんな雛の顔を始めてみた気がした。
俺の前で見せる雛の顔はいつもほわあっと笑っているか、ぷぅっとふくれているか、すよすよと寝ているかの三択だ。
以前にそう言ったら、時政が呆れたように、

(「お前、のろけかよ」)

と言っていた気がするが、どこらへんがのろけなんだ、事実じゃないか。

「ひどいんだよ?聞いて、マサムネ」
「……ん?」
「あいつ、私にね、初対面のくせに」





―――――『日本に住んでいるのに、日本語が不自由なんですね』





「って言ったんだよ!?ひどくない!?」
「……」

(―――――へ?)

頭の中にその一文字が浮かんだのは、絶対に俺だけじゃないはずだ。見れば、やはり時政も相良も呆けた顔をしていた。

「自分なんて半分しか日本の血流れてないくせに、100%日本人で日本で育った私に対して、日本語が不自由ってどういうこと!?失礼にも程がある!」
「……お前、その会話どこで交わしたんだ?」
「去年の夏休み、イギリスに行った時」
「……へえ」

そりゃまぁ国際的な出会いだな。
って堂本……あいつ、ハーフだったのか……純日本人顔だったから、わからなかった。
まぁ確かに流暢な日本語だな。雛が不自由と言われてしまうのも、わからなくもないんだが……そんなこと口にしたら、雛に一年くらい口をきいてもらえない気がしたので、とりあえず俺は、口をつぐんでおくことにした。

―――――したのに。

「あいつ、ハーフなのか?それにしちゃすっげえ日本語達者じゃねえ?」

時政。お前はほんっとうに、場の雰囲気の読めない男だな。相良のあの呆れ顔が見えないのか、見えないな、見えるわけないな、お前じゃ。

「あいつ、日本オタク」

雛は不機嫌そうに、それでも律儀に時政に答える。

「日本の言葉、日本のフーゾク、日本のものなら何でも好きの節操なしだもん」

フーゾクっていうな、フーゾクって。
「う」を強めに発音すれば、風俗って普通の漢字変換されそうな言葉になるだろう。

「果ては日本の女はみんなヤマトナデデコだと思ってんの」
「……ヤマトナデデコじゃない、大和撫子だ」
「……む?」

雛、お前それじゃ突っ込まれても仕方ないだろう。ナデデコって……普通冗談でも言わないぞ。っていうかお前、本当に賢いのか?

「とにかく、そんなやつに不自由って言われて頭に来たから、これでもかって言うくらい流暢な英語で言いたい放題言い返してやったら……何か目の敵にされて、それ以来顔合わせる度に突っかかって来るんだもん」
「……そりゃな」

日本の女は大和撫子だと思い込んでいたのなら、ショックもでかかっただろう。
しかもその相手の方に、自分の自国語を、自分より流暢に話されたんじゃな……まぁそれは雛も同じだが。
そして憧れの国にやってきて、赴任した学校にその天敵がいたのなら、尚更か?
どっちにしても、同じような感情で二人が嫌いあっているのは、よく分かった。

「やっぱり、あいつ嫌い」
「―――――俺だってお前なんて近づきたくもない」

憮然とした低い声が、雛の高い声に重なる。
驚いて振り返ると、屋上の入り口の扉に寄りかかった堂本がいた。

授業の時とまるで変わらない、敵意に満ちた目をメガネの奥から、雛に向けている。
それを見て、雛もまたひどく不機嫌そうに顔をゆがめて見せた。

「……せんせー、何か用?お昼休みにまでその顔見せないでほしいなぁ」
「俺だって授業以外でお前の顔なんて見たくもないね。美しい日本のイメージがぶち壊されるからな」
「勝手な妄想だよ」
「お前が異質なんだ」

バチッと火花さえ飛びそうな、そんな二人に俺達は固まった。

「大体なんでこの学校にお前がいるんだ、信じられん」
「私の方が先にいたんだから、気に入らないならイギリスに帰れ」
「……目上の人間に対する言葉とは思えんな」
「私、尊敬できると判断した人にしか、敬語は使わないんで」
「兄妹揃って、最悪だな」

―――――なんだ、まさか皓ともやりあったのか?
苦虫を潰したような顔をした堂本は、俺の視線に気付いたのだろう。不機嫌さを隠しもしないで言い放った。

「お前の兄も穏やかそうな顔をして、去年はずいぶんと手を焼かせてくれたぞ」
「へー」
「授業とは関係のない恐ろしく高度な質問を笑顔でしてきたり、俺が学会に提出した論文にケチをつけてみたり、挙句の果てには妹に近付くな、とな。頼まれたって近付くか」

皓……お前って奴は。
お前のターゲットは老若男女関係ないんだな。雛に関わる全ての男が、お前の排除の対象ってことなのか。

「近付きたくないなら、出て行けば?」
「気に入らないには気に入らないが、一応教師なんでな。授業中にあんな態度を取られるのは困るんだ」
「私、別に授業妨害なんてしてませんけど?」
「最低でも起きていて欲しいものだな」
「……今更……他の先生は何にも言わないのに」

いや、本当は何も言わない教師の方が問題だ。そこだけは俺も堂本に賛成だ。

「まだ根に持ってるんでしょ」
「……何のことだ」
「この間の小テストで、私が問題文を添削して提出したこと」
「……」
「日本語も、英語も不自由なんだよね、エドワードくんは」
「ファーストネームで呼ぶな」

エドワード。
なんと言うかまぁ……ベタな名前だ。でも別にそれはそれでアリだろう。時政、お前は笑い過ぎだ。

「大体俺は真実を言っただけだろう。お前は絶対に俺より日本語が下手だ」
「せんせーも私より英語が下手だよね」
「……自分の母国語も満足に話せない奴にとやかく言われる筋合いはない!」
「そっちだって同じでしょ!」

この会話を聞いて、俺は正直かなり呆れていた。
本気で仲は悪そうだが、よく考えて見ると、その理由って結構くだらなくないか?そう思うのは、俺だけか?
いや、横にある相良も俺と同じ顔をしているところを見ると、第三者から見ればやはりこれはくだらない争いなんだろう。

「どうする?渡辺くん」
「……どうするもこうするもないだろう」
「雛ってね。多分自分があんまり日本語が上手じゃない自覚はあると思うのよ。でもそれを絶対に認めたくないんでしょうね」
「だろうな」
「そしてそれってきっと、『教授』も同じなのよね」
「……たぶんな」
「同族嫌悪ってやつ?」
「で、どうする?」

多分相良が返すであろう答えはわかっていたが、俺は一応聞いてみた。

「じゃ、ほっといて先にお昼食べましょ」
「……だな」
「いいの?愛する雛が男とケンカしてるのに止めなくて」
「負けると思うか?」
「……愚問ね」

いつの間にか雛と堂本の言い争いは、英語に変わっていた。
つまり雛の得意な方にシフトしているということで、堂本の勝てる確率はほぼゼロになったも同じことだ。そういう意味では雛はやっぱり賢いのかもしれない。
それはそれで、嫌な賢さだ……皓と雛はやっぱり兄妹なんだろうか。

「おいおいメシ食うのか?ほっといていいのか?」
「死ぬほど笑ってたくせに今更何を言っているんだ、時政」
「だってお前、あの難しい顔でエドワードだぜ!?笑わずにいられるか?」
「お前みたいな笑い上戸と一緒にするな!」

ようやく笑いが収まった時政が、弁当を広げ始めた俺と相良の側に寄ってくる。
英語での不毛な言い争いは未だに続いているが、堂本の声がどんどん小さくなっていた。俺と相良の予想通り、この事態は雛の完全勝利で終わりそうだ。
その様子を横目で見ながら、俺は雛が作った弁当のおかずの『れんこんステーキ』に箸を伸ばす。
れんこんを輪切りにして塩コショウをして焼いただけなのだが、思いのほか美味くて俺は気に入っている。だからか、雛は最近よくこれを弁当に入れてくれるようになっていた。

しかし―――――俺はこの時、完全に油断していた。
平和に『れんこんステーキ』なんぞを食っている場合ではなかったのだ。





「それで勝ったつもりか!見ろッ!」





不意に耳元で堂本のでかい声が響いて、俺は驚いて思わず箸を落としてしまった。
それに気を取られた隙に、細い堂本の腕のどこにそんな力があったのか、俺は奴に強く引っ張られて。





(―――――え?)





その状況を把握するのに、俺には少し時間が必要だった。
視界にいっぱいに映る堂本の顔。
耳に入った相良の「あら」といういやに落ち着いた声と、時政の「ゲッ!」という声。
そしてその堂本の顔の向こうにかすかに見える、雛の呆然としたその―――――顔。





待て。
ちょっと待て。
堂本―――――お前、俺に何をしてる。





「ハハハッ!」

俺から手を離して、宿敵である雛に向かって高笑いをしているこの男は今。
こともあろうに、俺に―――――キスを。

雛はその光景を無言で見ていたが、少ししてはぁ、と大きく息をつくと、冷たい目で堂本を見つめた。

「……あのさぁ」
「何だ!渡辺!彼氏にキスされて悔しいのか!」
「ひとつ確認したいんだけど、エドワードくん」
「ファーストネームで呼ぶな!」
「君は……ゲイの人ですか?」

呆れ返ったような雛の言葉に、堂本は眉根を寄せる。

「俺はストレートだ」
「つまり女の人が好きな人ですね?」
「当たり前だろう!」
「……で、私への嫌がらせのためだけに、マサムネの口唇を奪っちゃったわけですね」
「そうだ」
「……だって?マサムネ」

雛と堂本の至極冷静な会話の間に、俺は全ての状況を把握し、雛が作ってくれた弁当箱に蓋をして邪魔にならない場所に片付けた。
ふつふつと沸き上がってくるのは、それはそれは大きな怒り以外の何者でもない。
当たり前だ。俺は男にキスされて嬉しい人種じゃないんだ。

「……先生」
「何だ?渡辺」
「歯を食いしばってもらえますか」
「え?」

状況がわかっていないのか、堂本が呆けたような答えを返した瞬間に、俺の右ストレートがその頬にめり込んだ。
衝撃で堂本は吹っ飛んで、屋上の給水塔の壁に全身をぶつける。
―――――おかしいな、俺は自他共に認める優等生だったはずだ。
だがここは思いっきり怒ってもいいところだろう?

「わっ……渡辺ッ!」
「停学でもかまいませんよ。これは俺の尊厳の問題ですから」

冷たく言い放った俺を擁護するように、相良が少し笑いながら口を出す。
お前……ちょっと面白がってないか?

「違うわよ渡辺くん。渡辺くんを停学なんかにしたら、『教授』はセクハラでクビよ」
「セクハラ!?」
「当たり前じゃないですか。自覚ないんですか?センセ」

真っ青になった堂本はようやく事態に気付いたらしい。
いつもなら多少気の毒に思うところだが、今回ばかりは同情する気にもならなかった。

「……先生、あと言っておきたいんですが」
「なっ……なんだ?」
「今後一切俺にも雛にも、近付かないでください。半径1メートル以内に入らないでください。いいですよね?」

最後はドスの聞いた声で念を押す。
その迫力に恐れをなしたのか堂本はこくこくとただ無言で頷いて、殴られた頬を押さえながら屋上を出て行った。


* * * * *


そそくさとしたその後姿が見えなくなってもなお怒りが収まらず、俺は無言で元の場所に戻って、弁当を広げた。

「……まぁ、ご愁傷様って言っておくな?」
「黙れ、もう思い出させるな」

大体お前も面白がってるだろう、時政。
違うと言ってもお前と相良は目が笑ってるんだ。すぐにわかるぞ。

「あそこで雛にキスしなかったのはまだよかったわよね。もし雛にしてたら今頃『教授』は渡辺くんに殴り殺されてたかもしれないわよ?」
「だよな?すげえ迫力だったもんなぁ、政宗」
「……黙れ」

二人の会話を無視して、さっき手をつけようとした『れんこんステーキ』を俺はゆっくりと口に運んだ。
もぐもぐと口を動かす俺を、何故か至近距離で雛がじっと見つめているのに気付いてはいたが、なんとなくその顔が見られなくて、視線を逸らしてしまう。

「あのね、マサムネ」
「……何だ?」
「消毒してあげようか?」
「は?」

ニコニコと笑う雛は、目を閉じてスッと口唇を突き出している。
これはその……アレか?
でも近くには時政と相良が、と思ったら二人はニヤニヤと口元を緩めながら、不自然に目を塞ぐフリをしている。

「まぁ、気にすんな」
「見ないから、いいわよ♪」
「……あのな」
「消毒してもらえばいいだろ?お前だって気持ち悪いだろうが」
「……いや、それはそうだが」
「わたし達のことは石像だと思って、ねえ?」

完全に面白がられている。
俺はがっくりと肩を落とす。が、雛は目を閉じたままの体制なので困ってしまった。
これは……腹を括ってするしかないか。
一呼吸置いて、俺は雛の肩に手をかけ、ゆっくりと顔を近付けた。





「―――――でもさ、よく考えたら雛と『教授』が渡辺くんを介して間接キスすることにならない?」




ピタリ。
雛の口唇まであと数センチというところで聞こえた相良の声はイヤにはっきりしていて、一言一句がダイレクトに脳の神経に届いた気がした。
―――――あのセクハラ男と雛が?
冗談じゃない。そんなの許すとでも思うのか!

「マサムネ?」
「……ダメだ」
「はい?」
「ダメだ!ダメだ!そんなこと許せるか!!」
「え〜?何?」

訳が分からずに小首を傾げている雛に、ブンブンと首を振る俺。
それを見た時政と相良は顔を見合わせて、はぁとため息をついた。

「ねぇ、渡辺くんって皓さんを笑えないわよね」
「ああ……自分がすっげえ独占欲強いこと、自覚あんのかな」
「ないでしょ、無意識だから逆に怖いわ」

その状態の中、無常にも昼休み終了のチャイムが鳴って。
俺達は見事に昼飯を食いっぱぐれたおかげで、雛同様に3人揃って堂本のことが大嫌いになるのだった。