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■NeZuMagazine■ 00.12.24 [第03号]   <:3 )〜 <:3 )〜
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●ネズミ入門● その3 <メリークマネズミ!>

これが20世紀最後のネズマガジンになる。
創刊号ではラット(ドブネズミ)がネズミの中でどういう位置づけに
あるのかを、第2号では人間社会におけるイエネズミの立場を私がどういう風に
受けとめているかをお話しした。
この第3号では特にドブネズミとクマネズミをピックアップしてとりあげようと
思う。最近クマネズミは何かと話題になっていることだし。

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十字軍の時代にヨーロッパにやって来たクマネズミ。これは12〜13世紀ごろの
話だが、ドブネズミがヨーロッパに侵入したのはそのずっと後の18〜19世紀
ごろだ。
ヨーロッパでペストが流行ったのはまだドブネズミがいない時代だったので、
このころペスト菌の媒介ノミ(ケオプスネズミノミ)を運んだのはクマネズミ
だったことになる。(ペストは、死ぬと体に黒い斑点が出ることから「黒死病」
とも呼ばれたおそろしい伝染病で、ちょうど今から100年ほど前には日本でも
発生していた。)
ペストのおかげで、クマネズミはかなりの嫌われ者になったことだろう。
というよりもそれはネズミ全体のイメージダウンになっていたに違いない。
今でも「ネズミと言えばペスト」と思ってしまう方もまだまだいるようだ。
確かにペストはネズミにくっついたノミが媒介するものなので、ペストと
ネズミが深刻に関わっていると言われば否定できない。

一方日本では先史時代、中期更新世の遺跡からドブネズミの骨のみ見つかって
いるが、みなさんご存知の「ネズミ返し」はクマネズミ用に作られたものでは
ないかという説がある。
理由は木登りのあまり得意でないドブネズミにあそこまで大きいネズミ返しは
必要ないということらしい。ドブネズミが大きさとパワーのネズミであるのに
対し、クマネズミはスピードと器用さに秀でたネズミなのだ。
見た目は似ているが、両者にはいろいろ違いがある。

まず食べものの好みが違う。クマネズミはドブネズミほど動物性タンパク質を
必要としない。どちらかというと穀物系のものを食べるのがクマネズミ、
肉系のものを好むのがドブネズミである。
特技についてもクマネズミは綱渡りでドブネズミは穴掘りや水泳だということが
できる。
性格も違う。
クマネズミは臆病で用心深く頭がいい。ドブネズミの方は比較的大胆で好戦的で
ある。
その他、クマネズミは寒さに弱いが、ドブネズミはけっこう寒さに強いなどの
違いがある。
ついでに英語ではクマネズミは
black rat, roof rat, ship rat, house rat
というが、ドブネズミは
brown rat, Norway rat, sewer rat
という。

最近日本でクマネズミの方が騒がれているのは、都会の様子がクマネズミ向きに
なってきたおかげで、クマネズミの数が増えているということらしい。
体格を見ればわかるが、まともに戦ったら体の大きいドブネズミの方が圧倒的に
強い。にもかかわらずクマネズミ勢力が伸びてきているのは単純に言うと高い
ビルが増えたからなのだろう。
最近のビルの中は暖房で充分暖かいので寒さに弱いクマネズミでも快適に
暮らせる。ドブネズミが屋外や下の方の階にいるのに対しクマネズミは比較的
上の階で暮らしているのだが、デパートなどでは地下が食品売り場で上の方に
レストランがあるのが一般的だ。
テレビで特集番組を組んだり、クマネズミ本が出版されたりするくらいだから
よっぽどクマネズミが注目されているのだろう。
騒ぎ出すのが少し遅いという気もするのだが・・・。


[余談その1]

20世紀も終わるので、100年前の話をしよう。
日本でペストが騒がれたのは1900年ごろのことで、当時はペスト対策の
ネズミ駆除運動がさかんになった。捕まえたネズミを自治体が買い上げたり、
ネズミの捕獲方法が懸賞募集されたりで、いろいろおかしな事件も起こった
ようだ。派出所から盗んだネズミを他の派出所に売りつけた人もいれば、
安い値段で買ってきたネズミを100匹ほど警察に持っていった人もいたそうな。
1906年にはネズミ用の毒団子を食べて人が死んでしまうという事件も起こった。
これではあと100年たってもネズミと人間は確実に戦っていることだろう。
なお、日本では1926年以来ペスト患者が現れた報告はされてないのでご安心を。


[余談その2]

2年と4か月以上をともに生きてきた私の最愛のドブネズミも、だんだん顔が
ぼろぼろになってきた。すっかりお婆さんになってしまったようだ。
私はこのドブネズミを「おヨシ」と呼んでいる。
正確には野生のドブネズミと実験用アルビノラットとの混血児であるおヨシは、
あらゆる意味で「強い」ネズミだった。
どんなに暑い夏の日でも、どんなに寒い冬の日でも、具合が悪くなる他の
ネズミたちを尻目にピンピンしていたのだ。
けんかをしても一番強い。
そんなおヨシも年には勝てぬのか・・・。
せめていっしょに世紀の変わり目を体験しよう。
平均寿命3年のネズミにとってはスゴイことだと思う。
(おヨシ本人にしてみれはどうでもいいことだが。)


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「ラットリスト」作ってます。
 ラット使いの方は情報をお願いいたします。
http://www13.big.or.jp/~rinken/ratlist/

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■NeZuMagazine■
00.12.24 [第03号]
責任者:寝盗太郎月影丸リンケン
rinken@big.or.jp

NeZuMagazineのWEBページ:
http://www13.big.or.jp/~rinken/nezumagazine/

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