Crufts Obedience championships Rule

YOKOSUKA DOG SCHOOL 佐藤美津子
資料協力  Crufts Obedience champion (1993)
       Mrs Heather WoodfFord

 

イギリス・バーミンガムにて毎年3月に開催されているクラフトドッグショー(以下クラフト)ですが
日本で知られているドッグショーの形態とはかなり違う構成になっています。

形態美チャンピオンショーがもちろん主軸になっていますが、1955年から同時進行にて訓練競技会も開催され
歴代のチャンピオンの中には3回優勝(犬は違う)という輝かしい指導手もいます。
出場している全ての指導手はもちろん飼い主自身です。

日本からクラフト視察に行く人々は大変多く、英国動物検疫ルールが変更になったために
ショー部門は日本を含む諸外国からの出陳犬も2002年頃から多くみられるようになり、
BISも外国からの出陳犬が獲得していくようにもなりました。
ところが訓練競技部門は、検疫が緩和されたからといって外国からチャレンジすることはできません。
なぜなら、出場希望をしたところで、定められた出場規定を英国内でクリアーしていない限り、権利は獲得できないからです。

クラフト訓練競技会は“Obedience Championships”と“Inter Regional Obedience Competition”
という二つの競技が開催されます。
“Obedience Championships”は個人戦“Inter Regional Obedience Competition”は地区対抗団体戦というところです。

2004年から“Crufts Obedience World Cup”といって、『オランダ、スコットランド、ウェールズ、アイルランド
イギリス、アメリカ、北アイルランド』による国際対抗団体戦が開催されるようになりました。
これも検疫が緩んだおかげといえるでしょう。


★“Obedience Championships”

出場権利は、1月3日から翌年1月2日までの間に最高難度Cクラスのチャンピオンシップで優勝した犬の
オーナーに、ケネルクラブからクラフト出場権利書が届きます。
一度この権利を獲得すると、毎年クラフトに出場することができます。
出場の有無は自由でしょうが、牝の場合はヒートがきてしまえば当然出場はできません。

競技はDogs(牡)Bitches (牝) 別々に進行され、それぞれのチャンピオンが決まり牡牝が競うことはありません。
エントリー頭数はその年により様々ですが、30頭前後で競われ、ジャッジは1人で
1課目ごとにスチュワードに減点数を告知します。

また、チーフスチュワードが「ライトターン、レフトターン・・・」など指導手に指示を出し進行していきます。
指導手は犬への虐待行為、ジャッジへの不満などは当然禁止です。              .
出場犬種の中には、WS(ワーキングシープドッグ)と表示されている犬がいます。
ワーキングシープドッグは、ボーダーコリーに準じる犬と認められ、Cross(交雑犬)と区別されています。

※ Border Collie KC公認は1976年 ・ FCI(JKC加盟団体)公認は1987年

Scent Discrimination(物品選別)は最後の課目として全頭が順次行いますが、服従課目の最高得点者が出てくると
場内が静まり返り、犬の動きを固唾を呑んで見守り、本物品を持ち帰り、ジャッジの採点が終わると同時に
優勝が決定した瞬間となり、指笛がなり拍手と歓声に会場はわき返ります。反対に、失敗した時は、大きなため息が会場を包みます。


★“Inter Regional Obedience Competition”

英国を7地区に分けた団体戦で、『ノービスー2頭・クラスAー2頭・クラスBー1頭・クラスCー 1頭』
補欠犬を入れて7頭でチーム構成され、クラスCが最高難度となります。
しかし、ノービスといえども地区を代表して選ばれた犬達ですので素晴らしい能力といえます。
また、クラス問わずCrossつまり雑種が含まれていることは、現在の日本の
訓練競技会システムでは考えられないことかも知れません。
能力には犬種は関係がないということでしょう。
団体戦ですから、客席ではお揃いのウェアーで賑やかにチームに声援を送ります。 

★“Obedience Championships”競技課目

《クラスCの課目》 

@ Heel Free (紐無脚側行進)60Pp 
ASend Away,Drop & Recall(前進及び招呼)40p 
BRetrieve(持来)30p 
C distant Control(遠隔操作)50p  
DSit two minute(2分間座って休止)20p 
EDown ten minutes(10分間伏せて休止)50p
FScent Discrimination(物品選別)50p 
の7課目で行われ、300ポイント満点で、採点は減点方式。結果は会場内スクリーンに直ちに表示されます。

※ Heel Free (紐無脚側行進)

単に行進ではなく、歩調に変化を付けることは当然ですが、行進中に立止や伏せなども行い
右折左折など大変複雑になっており、1コース数分は軽く費やします。
日本で特に馴染みのない課目はSend Away & Recall (前進及び招呼)ですがゲートが設けられ
犬に前進を命じ、ゲートを通った瞬間「 Down 」と指示します。
指導手は犬に背を向けて歩き出し、途中で呼びます。犬は走り寄り、何事もなかったように脚側行進をします。

※Down ten minutes(休止)

全頭で行われ、指導手は全員会場から退場します。
伏せの休止は10分間という長さですが、バッタリと倒れたように寝かせたり
腰をくずした伏せの姿勢で待たせたり様々です。

※Scent(物品選別)

選別台はありません。
床に直に布を置きますが、Yの字型だったり、Gの字に似ていたり毎年そのデザインは若干かわります。
ジャッジの臭いが本物品となり、誘惑物品は2人のスチュワードがそれぞれ2枚ずつ臭いを付け
残りの数枚は無臭。犬が踏んで布を散らかしたり咥えたりしなければ、誘惑物品はいちいちかえません。

★“Crufts Obedience World Cup ”

ワールド・カップは、2004年に初めて国際招待チームによって行われました。
2012年は、イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランド、アイルランド共和国
ベルギー、オランダ、カナダ、オーストラリア、USA、ドイツを代表して11チームが競いました。

競技課目は、KCとAKC及びFCIを参考に特別ルールで行われ、コマンドは英語という規定になっています。
イギリスの競技課目にはない“飛越持来”もあります。
大変面白い課目は、持来のダンベルが3個セットされていたことでした。
指示された位置(観客には正解のボードが見せられます)のダンベルを持って来なければいけません。


2004 / 2013 . 2016 .2019更新


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