007−2879−9(消滅)



一月一日     



作詞:千家尊福
作曲:上 真行
制作:滝野細道

(一)
年のはじめの ためしとて
終りなき世の めでたさを
松竹たてて かどごとに
祝おうきょうこそ 楽しけれ

(二)
初日の光り さしいでて
四方に輝く けさのそら
君がみかげに たぐえつつ
仰ぎ見るこそ とうとけれ

お家に帰ろう   2008/MAY/03

 千家尊福【せんげ たかとみ、弘化2年(1845)生〜大正7年(1918)没】は出雲国造(いずものくにのみやつこ)家に生まれ、教派神道出雲大社を創始した人です。貴族院議員、東京府知事、司法大臣を歴任しました。天皇家が天照大神であるのに対し、出雲国造家は大国主(おおくにぬし)を大神(おおみかみ)としており、出雲大社の伊勢神宮 (天皇家)に対する挑戦だ、などと言われましたが、この「一月一日」では二番で明らかに天皇家を奉っています。もっとも、今に残る二番の歌詞は大正の御代になって改作されてもので、明治時代は ♪(二番) 初日の光 (あきら)けく (おさ)まる御代の 今朝の空・・・(以下同じ)♪とちゃんと<明治>が入っていました。挑戦などととんでもない、という意もこめられているのでしょう。それにしても、<ためしとて>とか、<たぐえつつ>など難しい言葉がありますが、まず<ためしとて>は<例とて>と書き、伝統、規範、祭祀などの<先例>のことです。<そんな事ァ聞いた例(ためし)がねえ>とか、<判例>などのたぐいです。<たぐえつつ>は<比えつつ>と書き、<きちんと整列しつつ>ということであります。
 
真行【うえ さねみ、嘉永4(1851)生〜昭和12(1937)没】は東京音楽学校教授かつ宮内省楽師でしたから、この曲はまだ笙や篳篥などで<越天楽>を奏する趣が残っています。上は大和田建樹作詞の「鉄道唱歌」を作曲していますが、私達がよく知っているのは、多 梅稚(おおの うめわか)の作曲による方です。