島の船唄
(一) 小島離れりゃ 船唄で 今日も暮れるか 海の上 いつも俺いらは 波まくら ひとり船頭で くらすのさ |
(二) 何が恋しゅて 浜千鳥 小松がくれに 呼ぶのかよ 星もきれいな 夜(よ)じゃないか なまじ見せるな 未練気を |
(三) 板子(いたご)いのちの 俺だとて 時雨ふる夜(よ)は 身も細る たのむ狭霧よ 海面(うみづら)に 月を浮かせて みせてくれ |
(四) あすは明日(あした)の 風が吹く 波の浮世に 一人もの ならば千鳥よ この俺と 唄を仲間に くらそうよ |
逢いたいなアあの人に
(一) 島の日暮れの 段々畑 紺のモンペに 涙がホロリ ホロホロリ 逢いたいなァ あの人に 子どもの昔に 二人して 一番星を エ〜〜エ〜エ 探したね |
(二) 風が泣いてる 夕風夜風 姉さんかむりに 花びらホロリ ホロホロリ 逢いたいなァ あの人に つばめは今年も 来たけれど わたしは一人 エ〜〜エ〜エ 待ちぼうけ |
(三) たばこ畑の 石ころ小道 はいた草鞋に 夜露がホロリ ホロホロリ 逢いたいなァ あの人に 今夜もこっそり 裏山に 出てみりゃ淋し エ〜〜エ〜エ おぼろ月 |
【賢島の入江(島の船唄)】
(一) ハァー 島で育てば 娘十六 恋ごころ 人目忍んで 主と一夜の 仇なさけ |
(二) ハァー 沖は荒海 吹いた東風が 別れ風 主は船乗り 今じゃ帰らぬ 波の底 |
(三) ハァー 島の灯も 消えて荒磯の あの千鳥 泣いてくれるな 私ゃ悲しい 捨小舟) |
(四) ハァー 主は寒かろ 夜ごと夜ごとの 波まくら 雪はちらちら 鳴いて夜明かす 磯千鳥 |
三島由紀夫作 「潮騒」(しおざい)の舞台となった神島 Photo©Hosomichi
【潮騒のあらまし】
若い漁師の新治は、島に戻ってきて海女となった網元の娘初江と島の浜で逢う。惹かれあった二人は嵐の夜結ばれるが、島の有力者の息子がことごとく二人を邪魔し、思い余った初江の父網元照吉も二人の仲を裂こうと、未熟な若者たちと一緒に自分の持ち船に乗りこませる。新治に失敗があれば二人を裂く格好の理由になるのだ。果たして船は沖縄の沖で台風に遭い、難破寸前となるが、船と皆を救ったのは新治の判断だった。照吉も二人の仲を認めた。原作の島の名は「姫島」だったが、この神島の潮騒旅館から長い階段を登って行く、二人が結婚を誓った八代神社(写真の島中央の山の手)、その神社裏手を山の中腹まで上って二人で遠い海をながめた神島灯台(写真左の山の中腹)は今でも有名だ。
一方、「島の娘」の映画は潮騒と似ていますが、下記の主題歌が暗示しているように