トビ<鳶、とんび>がのどかに大空を滑空している姿は実に悠然としており、特に<ピンヨロロ〜〜>と鳴いて飛翔している時など、動きの遅い愚鈍な鳥の代名詞みたいになっています。タカが地の上からジッと獲物を狙い、一飛び必殺で獲物を捕るのとはえらい違いです。そのため、諺などでも<鳶が鷹を生む>などと出藍の誉れのような使い方をされます。実態は、トビは凄い鋭い目を持ち、上空でのんびり飛翔しているように見せながら、獲物がピクリとでも動こうものなら電光石火、獲物が気付いた時には早、トビの爪の中、という俊敏な知恵者なのは誰でも知っていることです。トビはタカと違い決して人には懐きませんが、最近は子供の菓子を掠め取ったり、釣り人の獲物を横取りしたりする、それこそ<とんびに油揚げ>の、やさぐれとんびも江ノ島方面で増えているようです。エビセンなどを投げたりするとササッと空中で捕っていくのは良くありますが、写真のように模型飛行機に羽を重ねるように滑空したり下降したりして戯れているトビを鳥取砂丘で見ました。<鳶が鷹を生む>に戻りますが、もともとトビはタカ目タカ科の猛禽類ですから、鳶が鷹を生むのはあったりまえでしょう。
昭和4年頃(1919年) JASRAC No.055-0396-5 とんび |