滝は冷え性に悪いか
 私のホームページ「滝の細道」は夏に近づくに従いアクセス数があがる。冬のほぼ三倍となるのは、滝が夏の涼気を代表しているものと見られているからだろう。反対に寒くなってくると、細かいしぶきにジッポリと濡れてしまうことを想像しただけでも体が震える。もしその人が冷え性だったら、途端に手足が冷えてきて、滝なんてとんでもない、と思うかも知れない。ためにアクセスも激減だ。
 冷え性の人は夏の真っ盛りでも手足が冷たく感じ、熱いお風呂に入っても、腰が冷えびえと、ぽっかり丸い穴が開いたように、冷たさを感じるという。かくいう私もはばかりながら男でありながら、冬になると手足は冷え、耳や手指がしもやけで赤紫色に腫れ上がるという経験を持つ。冷え性としもやけなど関係ないじゃないか、という人も居るかもしれないが、このサイトを見れば、冷え性にしろしもやけにしろ切っても切れない関係があるのであり、要は血行不良に起因することであることが分かる。冬の滝ははたして冷え性に良くないのであろうか?
滝のマイナスイオン
 滝のマイナスイオンと呼ばれているものは、滝や急流で水が自身や岩とぶつかり合い、水流が乱れ分解が起こる結果、その時に発する陰イオンまたは負イオンのことである。当然等量の陽イオンも発生するが、主として空中に遊離していくのは負イオンの方で、陽イオンは水中の酸素分子やレアメタル分子に引き寄せられ、容易に結合してしまう。マイナスイオンというのはminus ionとも言うが余り英語ででは使われない表現で、英語では"negative ion"といい、陽極に引き寄せられるイオンのことである。
 電気分解などにより原子が電気を帯びることをイオン化といい、反対にイオン化した陽分子と陰分子がくっつくことをイオン結合といって、塩(NaCl)の精製などに利用される。前述のように陽イオンと陰イオンはもともと同じ数であるはずだが、都会の塵埃の中や密閉された室内などは陽イオンが残りやすく、陽イオン濃度が高くなってそれが血流に入って血球や細胞に入り込むと、赤血球などを酸性に変えそれが体調に影響を与えると言われている。私は、世界で「奇跡の水」と呼ばれるもののいくつかは、何らかの理由で陰イオン化した遊離水素原子を大量に含む水のことではないかと密かに思っているが、もちろん定かではない。
 つまり滝のマイナスイオンが健康に良いとされるのは、滝で生じマイナスイオン化した分子が人の体内、主に血液内でイオン交換を行い、活性酸素やその他老廃的レアメタルなどを除去する作用があるからだと思われるのである。硬水を軟水に変えるイオン交換法がそれに似ており、純水を得たり無水アルコールを作るときに使うイオン交換樹脂もその原理を利用している。つまり、滝で空中に浮遊しているマイナスイオンを浴びることは、それが体内に入って、俗に言うドロドロ血液をサラサラ血液にし、血行を促進し、冷え性を初めとした女性の更年期障害、不定愁訴、自律神経失調症など、主として循環系の諸病を改善するものであると言うことだ。滝イオン恐るべし!
マイナスイオンで冷え性克服
 血行とマイナスイオン効果は分かった。先のサイトによれば、冷え性とは、血流が滞り、毛細血管に血が行き渡らない故の冷感の為せる業だとしてある。こうして滝のマイナスイオン効果を合わせて考えると、冷え性としもやけは兄たりがたく弟たりがたいことが良く分かる。そうであれば、如何に寒寒と見えようが、マイナスイオン横溢の滝が冷え性に悪かろう筈がない。夏の熱い日はもちろんのことどんどん滝に行ってマイナスイオンを浴びて、寒い冬も逆療法的ではあるが、滝のマイナスイオンで冷え性を克服しようではないか。そして滝にヤラレてくれれば、真の「滝ヤラレ」である私も同好の子が増えて非常に嬉しい。
薬用酒と冷え性
 養命酒のサイトを見ると、昔から言われた婦人特有のいわゆる「血の道」に効能のある薬酒と思われる。配合されている生薬を見ると、桂皮、紅花、地黄、芍薬、人参、宇金、益母草、いずれも血を整え血行を促すものばかりで、婦人の更年期に多い頭痛、ヒステリー、眩暈、温熱発汗、冷え性といった血の道に、如何にも良さそうである。これらは言い換えれば自律神経失調症と呼ばれる症状と酷似している。滝のマイナスイオンを浴びて血を整え(=ドロドロ血液をサラサラ血液に変え)血行を促す点で目指すところは養命酒も同様で、更年期障害や自律神経失調症といったいわゆる女性の不定愁訴の解消であると思われる。
 ドイツという国や民族は、文化的にも心情的にもわが国に非常に似たところがあるように思われる。もちろん民族的ルーツには、コーカシアンとモンゴリアンでは何の関係もないが(いや、そうとも言い切れないものがあるかも知れない。隣国ハンガリーはフン=匈奴の国という意味だから)、滝や温泉のマイナスイオンが重用され、多くの薬用酒があるという点で似ているのは面白い。もともと西洋にはガレヌス製剤という薬用酒のルーツやヴェネディクチンみたいな薬草酒などはあったが、現在ドイツにも「Frauen Gold」、「Merissen Geist」、「Herz fur Punkt」などなどなどという薬酒が沢山あり、それがほとんど婦人用のもので、更年期障害や自律神経失調症といったいわゆる女性の不定愁訴の解消のためのものが多いというのも面白い。滝と冷え性からは外れたが・・・・・2004/11/12 iida