大菩薩峠 中里介山小説の一考察


【大菩薩峠余聞】 著者:飯田春介
 この大菩薩峠余聞は、小説「大菩薩峠・白骨の巻」まで、夜な夜な狸囃子のように、あるいは山奥で、あるいは里で、遠く近く神楽囃子を響かせていた神楽師一行が、「他生の巻」に至って、白骨温泉の炉辺談話で、万葉の学者池田良斎先生と弟子北原賢次等となって出現、以後小説全体の流れが変わって行くのに注目した一考察である。
 大正十四年、北原謙司なる人物が湯治のため白骨温泉に向かう途上、異形の風体の人物と出合い、その人物が介山居士とも知らないまま同行。その途上、小説大菩薩峠の素晴らしさを偉そうに絶賛し、興味無さそうな相手の不明を詰ってしまう。その後色々なエピソードがあり、それが小説「他生の巻」以後に鮮やかに再現されて驚いたという、北原謙司の証言に基づいて、ドキュメンタリー小説とし、新聞に掲載した。

大菩薩峠余聞 【春介閑話】
第 1話 2010/09/18 第 2話 2010/09/26 第 3話 2010/10/08
第 4話 2010/10/17 第 5話 2010/10/27 第 6話 2010/11/07
第 7話 2010/11/17 第 8話 2010/11/27 第 9話 2010/12/07
第10話 2010/12/17 第11話 2010/12/26 第12話 2011/01/08
第13話 2011/01/16 第14話 2011/01/27 第15話 2011/02/06
第16話 2011/02/18 第17話 2011/03/01 第18話 2011/03/09
第19話 2011/03/18 第20話 2011/03/30

右の条幅書は、故北原謙司が介山居士から頂戴したもので、
「下山路是上山路欲度衆生無衆生」は、小説「大菩薩峠」の根
本思想を表わしたもの。これは『出山(しゅっさん)の相』と題す
る大智禅師の詩の一節で、大乗仏教の衆生済度を小説に載せ
ようとする居士の気概に一致するものである。条幅上半分は、
介山居士が「峠」の思想家、大乗仏教の「居士」と言われる所以
でもある。