【雄飛の滝】紀行

 Yuhinotaki
所在地:栃木県那須塩原町スッカン沢
訪問日:2005/04/30
天候 :晴れ
カメラ:Canon EOS5, Canon EOS100, Nikon Coolpix 885
レンズ:Canon EF28-80mm F2.8-4L MACRO、
    Canon EF75-300mm F4-5.6 U


雄飛ノ滝1 

 スッカン沢は今でこそ行きやすくなったが、鹿股川を遡行して行くしか方法の無かった一昔前は、咆哮霹靂の滝や雷霆の滝を見てから入沢すると、その幽玄さにビックリしたに相違ない。現在のスッカン橋から上流は、特に右岸が、簾状の水流が延々と滴り落ちていて、さながら水垢離回廊の様相を呈している。その玉簾の滝々に囲まれて雄飛ノ滝2は轟音を上げて、滝壷で泡をかみ飛沫を吹き上げている。落差こそ7〜8mに過ぎないが、滝壷は深く、手前の岩を穿って半洞窟を形作っている。この洞窟の厚い岩盤の真上(左岸)に「展望台」が造られているが、あまりに滝の真上にあるため、ここからは滝の全容は見られない。滝手前、つまり洞窟の入口手前の河原にテラス状のところがあるので、展望台下から10mほどのロープで懸垂下降で降りられるが、これはお勧め出来ない。なぜなら、下流からスッカン橋まで来て、橋を渡りきって20mほど石段を上ると、左手に、門の形をした1mほどの1埒分の木柵が、左岸を河原に降りて行く踏み跡を遮るように立っているが、そこを失礼して通らしてもらうと、自己責任において、先ほどの洞窟前のテラスに辿り着けるからである。この道は途中に滑落しかねない小さなガレ場もあるので注意して行く。
 この雄飛ノ滝3には実は二度トライして、撤退した経緯がある。この滝のことは温帯おやぢこと故山口昭夫氏が熱く語っており、とりわけ滝の少し上流にある五月雨状の細流瀑を、大きな畏敬と多少のテレを込めて「しょんべん滝」と呼んで絶賛していたので、是非とも訪問したいと思っていたのである。一回目は竜化の滝を訪問しようとした
200079日午後3時頃のことで、下流の旅館脇の鹿股川入口のところまで行ったのだが、雨もよいであったのと、前方の遊歩道が濡れて薄暗く、何か出てきそうな気がして気分も萎えてしまった。二回目は2003年11月2日のことで、このときは矢板の学校平から沢をくだった。早朝出発したので学校平駐車場には午前8時に着いた。楽勝。咆哮霹靂の滝雷霆の滝を訪問しても十分に時間があるはずであった。この2滝は歩く距離を考えなければさほどの困難はなく見られたが、両滝の真中へんにある雄飛ノ滝4入口は通行止めの標識があった。当然のように、自己責任,自己責任,自己責任と呟きながら、そこを突破した。標識にあるように、確かに危険な道で、途中二個所の崩落地があって、木や草の根にすがって難儀して超えた。何とかスッカン橋まではたどり着いたものの、橋を渡って辺りを調べてみたが、どうも道が崩落して無いようであったので、その時は断念した。今思えば、滝の直前まで来ていた訳だが、後どのくらいすれば滝壷なのか、前途にどのくらいの危険個所があるかも分からないのでは、撤退も致し方なかった。
 今回は、雪田爺どんお勧めの、県道56号線がスッカン沢を超える橋の脇からスッカン沢の左岸に沿って降りて行った。遊歩道は何の問題も無く、良く整備してあるので、素簾の滝仁三郎の滝足の遅い人でも40分あれば十分に雄飛の滝に着ける。連れ合いと私は,野の草花にも多いに興味があり、あそこで止まり、ここでカメラを構えという具合で、1時間以上掛かってやっとたどり着いた。スッカン沢の下流に行って見たが、2003年秋の訪問時と比べて、スッカン橋そのものもすっかり変わって、回廊状の橋になっていたのにはビックリした。橋は、当時、かろうじて両岸に引っかかっている感じで、橋までロープで登ったものだが、遊園地の様相である。自然愛好派としては残念な気もしたし、どうせここまでやるのなら、滝前のテラスまで安全なルートを作ったらとうか、などと、自己矛盾を感じたことであった。


栃木県の滝   咆哮霹靂の滝