「価値の比較」−第2反駁の役割
連盟北海道支部 副支部長 岡山 洋一
第2反駁のスピーチを聞いて、唐突な印象を受けることがあります。突然「それでは価値の比較を行います」と言って、説明を始めます。いったいこの価値基準はどこから出てきたのか、「価値の比較」に至るまでの議論はどこへいったのか、と疑問に思います。
第2反駁の役割は、相手の議論に反論を加えつつ、議論に決着をつけることです。単にディベート全体をまとめる、ということではありません。自分達がどのように相手の議論に反論したか、反論を加えられた議論をどのように再構築していったのかを説明します。その上で「価値の比較」を行います。
この「価値の比較」を有効に行うためには、
1.重要な価値判断基準は、立論に入れておく。重要性/深刻性のところで説明しておく。
2.第1反駁は、自分達がどのように勝っていくのかを見極めて反論する。むやみに個々の議論に反論を加えるのではなく、自分達の戦略(どのように勝つか)に従って、相手のメリット/デメリットを、減らすための反論をする。
3.第2反駁は、自分達の議論と相手の議論を比べ、議論に決着をつける。その上で、本来比べることが難しい議論を比べるために、価値判断基準を出し、自分達の議論が勝っていることを主張する。
自分達がどのように勝つのかという「戦略」をきちんと立てていけば、反論の数も絞れるはずです。議論の数も今より減らせるはずです。つまり、早口にならなくとも、ディベートができるようになるはずです。第2反駁へ至るまでの「戦略」を、もう一度見直してみて下さい。
本稿は「トライアングル No. 36 2002.10.20」に掲載されたものです。