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岡山 洋一
2000年5月8日
Ver. 1.0
反駁がうまくいかない、できない、どうやっていいかわからない、指導者がいない、などという声をよく聞く。しかし反駁ができなくては、ディベートにならない。反駁はディベートの勝敗の要であるといっても過言ではない。
これからディベートをしてみようという、初心者向に書かれたテキストは多い。選ぶのに困るくらい多数出版されている。しかしそれらの本を読んでも、どうも反駁がよくわからない、できるようにならない。
今まで、反駁について包括的に解説したテキストはなかった。反駁について詳しく書かれているテキストはあっても、一般には手に入りにくいものであったり、ディベート甲子園のルールにそって書かれていないものだった。
本稿はディベート甲子園を目指す、高校生、中学生、指導者のための、反駁の方法を説明したテキストである。全ての説明は、ディベート甲子園のルールにそって書かれている。どちらかと言うと、ディベートを経験したことがある、ディベート甲子園の試合に出たことがある、ディベートのテキストを読んでいる、といった中級者向けのテキストである。
このテキストに書かれている方法をよく読み、理解し、ぜひ試合で使ってみていただきたい。
本テキストに関するお問い合わせ、ご質問は下記まで
岡山 洋一
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目 次
反駁とは、反論と反駁(狭義の)を行うことである。
反論 相手の議論の不備、虚偽をつくこと。相手の議論に反論すること。 反駁 相手に攻撃された議論を再構築すること |
(全国中学・高校ディベート選手権ルール、2000年3月02日改正より)
第3章 各ステージに関するルール、第14条 その他、1.新しい議論
立論で提出されず、反駁で新たに提出された主張・根拠は、「新しい議論」と呼ばれ、無効となり、判定の対象となりません。なぜなら、主張や根拠は、相手に反論の機会を十分に与えるため、立論で提示されなくてはならないからです。
ただし、相手の持ち出した主張・根拠に反論する必要から生じた主張・根拠は「新しい議論」とはみなされません。
第3章 各ステージに関するルール、第14条 その他、2.遅すぎる反論
相手チームの主張・根拠に対する反論は、相手チームに再反論の機会を十分に与えるため、可能な限り早くなされなければなりません。すなわち、肯定側立論に対しては否定側第1反駁あるいは否定側立論で、否定側立論及び否定側第1反駁に対しては肯定側第1反駁で、肯定側第1反駁に対しては否定側第2反駁で、否定側第2反駁に対しては肯定側第2反駁で、それぞれ反論を行う必要があります。この条件を満たさない反論は、「遅すぎる反論」と呼ばれ、無効となり、判定の対象となりません。
第3章
各ステージに関するルール、第14条 その他、3.アピール
第10条第1項の反則行為があったと考えられる場合、各チームのディベーターは試合中あるいは肯定側第2反駁直後に審判に向かってアピールを行うことができます。アピールは司会者の許可を得て行います。
第10条 反則行為と処分
1.反則行為とは、以下の場合です。
1) 大会に出場者として登録されていない者が出場したとき
2) あらかじめ届けられた担当ステージと異なるステージを担当したとき。
3) 同一のディベーターが2つのステージを担当したとき。ただし、第4条第2項のやむを得ない事情によるものは除外する。
4) 司会者の指示に従わず、試合の継続が困難と判断されるとき。
5) 証拠資料をねつ造・改変したとき。
6) 各チームのディベーターが、試合中にチームのディベーター以外の者と相談をしたり電話・パソコン等を使用して外部と通信したとき。
7) スピーチ中のディベーターに対して、他のディベーターが口頭でアドバイスを行ったとき。
8) 著しくマナーに反する行為があったとき。
9) その他、ディベーター並びにチームの関係者が大会運営に重大な支障を生じさせたとき。
2.
1.の反則行為のうち、1)、2)、3)、4)については、審判の判断で、該当チームをその試合は敗戦にします。
3.
1.の反則行為のうち、5)、6)、7)、8)、9)については、主催者の判断で、該当チームを、その試合を敗戦またはその大会は失格にすることがあります。
立論、質疑と続いて、ディベートの最後にくるのが反駁である。よいディベートは、反駁スピーチにいくにしたがって議論が集約されていく。しかしこれはなかなか難しく、反駁にいくにしたがって、議論がかみ合わなくなってきて、議論がどんどんなくなっていく。立論で出ていた議論もどこかへいってしまい、最後は時間を余してしまうといったディベートも多く見受けられる。
ディベートの勝敗は反駁で決まるといっても過言ではない。立論で出した議論をもとに、相手との議論の攻防を行う。そして、なぜ自分たちの議論の方が優れているのかを述べ、自分たちの勝ちをアピールしていくのが反駁である。反駁を制するものが、ディベートを制するのである。
立論を作って準備終わり、また立論を作るだけで精一杯というチームをよく見かける。つまり立論から作り始めているのである。これは間違いで、極端に言うならば、第2反駁から考えていかなければならない。つまり肯定側なら、どのメリットをどのようにデメリットと較べ、どう優位性をつけ、どうやって勝ちにつなげるのかをまず考える。そうすることによって、おのずから立論、質疑でどうするのかが決まってくる。逆に考えていくのだ。
反駁では証拠資料をあまり使わず、立論で出した論理のみで戦う方が良いと思っているチームをよく見かける。しかしこれは間違いで、少なくとも第1反駁までは積極的に証拠資料を提出すべきである。否定側第1反駁では、肯定側のメリットに反論しなければならないし、肯定側第1反駁では、否定側のデメリットに反論しなければならない。証拠資料なしではこれらの反論は難しい。
これも誤った考えである。ディベートは即興スピーチの場ではない。相手の議論を予測して、準備しておくようにしなければならない。その上で、準備したものをいかに発表するかにかかっている。それ以外はたしかに即興になってしまうであろう。問題はこの即興の部分を、いかにして減らすかである。相手の出方が分からないのは、単に準備不足なだけである。
立論で出された議論が、すべて反駁の時間まで議論されるわけではない。その中の何点かは落とされたりして、反駁では議論されない。しかし立論で出されていて、反駁で出てこなかった議論は審査の対象にならないかというと、そうではない。一方のチームが根拠を伴って主張した点について、相手チームが受け入れた場合、あるいは反論を行わなかった場合、根拠の信憑性をもとに審判がその主張の採否を判断するのである。
だからといって、議論を出しっぱなしにするのは良くない。主要争点を見極め、それを伸ばし、引っ張る。反論されたら、反駁するというようにしないと、勝ちには結びつかない。つまり主要争点の戦略的選択が重用なのである。
なぜ反駁ができないかを考えてみる。私がよく聞く、反駁ができない理由、私が考える理由を数点あげてみる。
反駁の準備で最大のネックは、相手の議論、反論を予測できないというものであろう。これはよく聞く理由である。どのようなメリット、デメリットを出してくるのか、どのような議論、証拠資料を使ってくるのか予測できない。
また相手の議論をある程度予測していても、思わぬ議論が相手から出てきて、試合中に反論できなかった、というのもよく聞く。自分たちが予測していた以上に、相手の議論の方が進んでいたというものである。
相手の議論を予測できても、反論が思いつかないというもの。また思いついても1、2点しか思いつかない。そのために、次に述べるように反駁スピーチで時間が余ってしまうのである。また反論を1、2点思いついたからそれで良しとし、相手はこれ以上反論してこないだろうと思い、考えるのを止めてしまう。しかしそんなに簡単に思いつくものは、当然相手も思いついていると考えなければならない。
反論する材料がない、どう反論していいか分からない、どう話していいかわからないので時間が余ってしまう。また基本的に反駁の方法がわからない、反駁でどう言っていいのか、何を言うのかわからないというのも、時間が余ってしまう原因である。
実際に試合になってみると、用意していたものの半分も言えなかった、というのはよくあることである。4分という時間は、何かまとまったことを言おうとしたら、短すぎる。あっという間に終わってしまい重要な議論、言いたかった議論を落としてしまう。特に肯定側第1反駁においては顕著である。否定側立論6分、否定側第1反駁4分、合計10分間話された後に、この全ての主要論点に対して4分間で反駁しなければならないからだ。
せっかく相手の議論を予測して、反論の準備をしていても、相手が思ったとおりの論理展開、議論構造でこなかったときに惑わされてしまい、反論できなくなってしまう。予測していたのと同じことを言っているのに、展開方法が違うだけで惑わされてしまう。そして準備していた議論、反論を十分に生かしきれないまま試合が終わってしまう。
事前に反駁を準備しておいたのに、いざ反駁の時間になると考えていたとおりにいかない、話せないというものである。またパートナーに教えられた反論や、試合中に考えついた反論をいざ言おうとしても言えなかった。これらは頭で考えてできると思っていても、実際に言葉になって出ない、つまり言語化できないのである。一つのことを言うのに、多くの言葉を使わなければならなかったり(時間が足りない)、言葉足らずだったり(時間が余ってしまう)するのも、言語化できていないことが原因である。
否定側第1反駁の役割
●肯定側のメリットへの反論 |
否定側第1反駁の役割は、肯定側のメリットへの反論につきる。これにより否定側ブロックを構築する。否定側ブロックとは、否定側立論6分、それに続く否定側第1反駁4分、合計10分間のことをいう。この間に肯定側のスピーチはなく、またこの10分間で行なわれた否定側の議論に対して、肯定側は4分で反論、反駁しなければならない。この否定側ブロックを構築することが、否定側の勝利へとつながる。すなわち否定側立論ではデメリットをきちんと証明し、否定側第1反駁では徹底的にメリットへの反論を、証拠資料などを使っておこなう。
肯定側第1反駁の役割
●否定側のデメリットへの反論 ●メリットの再構築 |
否定側ブロックの10分間で行なわれた議論に対して、デメリットへの反論、メリットの再構築を4分間で行わなければならない。ターンアラウンド、引っ張り、伸ばしなどを多用し、有効に時間を使うようにする。また言葉のムダを徹底的に無くさなければ、時間が足りなくなってしまう。
肯定側第1反駁で落としてしまった議論は取り返しがつかない。肯定側第2反駁で反論反駁しても、遅すぎた反論となり無効である。否定側の攻撃をカバーできない場合には、主要論点を見極めて反論する。とにかく効果的な反駁スピーチを行わなければならない。勝敗は肯定側第1反駁で決まってしまうといってもよい。
否定側第2反駁の役割
●肯定側第1反駁に反論する ●議論をまとめ決着をつける ●肯定側第2反駁に対して先制攻撃をしておく |
まず肯定側第1反駁に対して反論しておかなければならない。全ての議論に対して反論する必要はないが、強い議論、否定側に不利になるような議論、主要争点には反論しておかなければならない。とくにデメリットに対する反論には反駁しておかなければならない。また肯定側メリットに対しての再構築議論にも反論しておく。
肯定側のターンアラウンドには注意をする。そのまま認められると、肯定側のメリットが立論以上に大きくなってしまったり、メリットが追加されてしまったりする。これでは否定側の大きな不利になってしまう。
ここでいうまとめとは、単なるまとめ、要約のことではない。誤解している人が多いが、第2反駁は単なるまとめのスピーチではない。ただ試合で出てきた議論をまとめてスピーチするだけなら意味をなさない。相手と自分たちの議論をまとめて、決着をつけるのである。なぜ自分たちの議論の方が優れているのか、なぜ相手の議論が間違っているのかを説明するのが、決着をつけるということである。
それぞれの議論の決着をつけたら、次にメリットとデメリットを比較して、デメリットの方が大きいことを説明する。そして自分たちの勝ちを審判にアピールするのである。異なる価値、たとえば人命と経済などを較べて、どちらが重要なのかを説明するのもこのスピーチである。
議論を出しっぱなしのままでは、審判は判断できない。相反する議論が出たとき、そのままであれば審判は自分の考えで判断する。審判が勝手に相手の議論の方が優れていると思って、相手側に票を入れたとしても文句はいえない。それはこちら側が議論を較べて決着をつけなかったからだ。
時間があれば、肯定側第2反駁に対して先制攻撃をしておくとよい。否定側第2反駁は否定側にとって最後のスピーチになるので、次に続く肯定側第2反駁の後には何も言えない。肯定側に自由にスピーチされないように、先制攻撃しておくと有効である。
肯定側第1反駁で触れなかった議論に対して、「肯定側第1反駁では○○○の議論については触れていませんでしたので、認められたことになります。これは○○○の意味でも重要な議論です。もし肯定側第2反駁でこれについて触れても、遅すぎるので無効です」というように、自分たちに有利になるように先制攻撃をしておくのである。
肯定側第2反駁の役割
●否定側第2反駁に反論する ●議論をまとめ決着をつける |
まず否定側第2反駁に対して反論しておかなければならない。全ての議論に対して反論する必要はないが、強い議論、肯定側に不利になるような議論、主要争点には反論しておかなければならない。
否定側第2反駁と同様に、議論に決着をつけ、肯定側の勝ちをアピールする。なぜ自分たちの議論の方が優れているのか、なぜ相手の議論が間違っているのかを説明する。メリットとデメリットを比べて、メリットの方が大きいことを説明する。そして自分たちの勝ちを審判にアピールするのである。
肯定側第2反駁は最後のスピーチとなるので、肯定側にとって有利である。否定側はこの後スピーチすることはできないので、肯定側の勝ちを審判に徹底的に説明し、印象づけるようにする。
肯定側第2反駁が終わり審査の検討に入る前に、「審判にアピールはないですか?」と聞かれる。全てのスピーチが終わった後で、とくに審判に言っておきたいことがある場合にアピールする。たとえば否定側が「肯定側第2反駁の○○○という議論はニューアーギュメントです。」というように言う。肯定側は認めるのであれば黙っていればよいし、認めないのであればその理由をごく簡単に説明してもよい。
しかしアピールの時間に注意しなければならないのは、議論をする場ではないということだ。あくまでも一言ですむようにアピールしなければならない。アピールは否定側から聞かれて、肯定側へといく。否定側は意にそぐわないからといって、反論してはならない。もし議論しても審判や司会者に止められてしまう。アピールの時間の議論はみっともないのでけっしてしないように。
各反駁での役割を説明してきたが、ここで、立論、質疑の役割にも簡単に触れておく。反駁の戦略が決まれば、おのずと立論の作り方が決まるからであり、また質疑で何を聞くかも決まってくる。よく立論を作って準備終わり、また立論を作るだけで精一杯というようなチームを見る。つまり立論から作り始めているのである。これは間違いで、極端に言うならば、第2反駁から考えていかなければならないのである。つまり肯定側なら、どのメリットでどのようにデメリットと較べ、どう優位性をつけ、どうやって勝ちにつなげるのかをまず考える。そうすることによって、おのずから立論、質疑でどうするのかが決まってくる。つまり逆に第2反駁から考えていくのである。
最初に弱かった議論が、反駁で強くなることはまずない。だから立論は最強の議論で構成しなければならない。重要な議論や証拠資料は反駁にとっておく、といったチームを見かける。これではダメで、かえって自分たちの首を締めてしまうことになる。重要な議論ほど最初に出しておき、相手に反論させ、さらに反駁するといったようにしないと、議論を落としてしまうことにもなりかねない。
重要な議論を後に出してしまうと、相手からターンアラウンドを出されたり、反論されたものを再構築しようとしても時間がなかったりと、自分たちの不利になることばかりである。立論に最強の議論を入れておくことによって、反駁での返しが楽になり、時間も節約できる。反駁で効果的に議論を引っ張ったり、伸ばしたりするためにも、強い議論が立論に入っていなければならない。また証拠資料なども反駁ではそれほど多くは読めないので、立論に入れておくのがよい。
全体の戦略が決まれば、質疑もどのようにしていったら良いかおのずと決まってくる。自分たちの反駁がしやすいように、伏線を貼っておくとよい。勝敗の鍵を握る議論、重要な議論に対して、またターンアラウンドするためにも相手から自分たちの都合のよい言質を得ておく。むりに自分たちの議論を認めさせなくても良い。相手に感づかれて先制攻撃されないように、深入りは避け、言質を取るだけにしておく。自分たちの議論が成立する前程を認めさせるだけで良い。
それぞれの議論はどのように発表するのが良いのか。わかりやすく説明するためには次のながれにそってスピーチをすると良い。
●相手の議論のどこに反論するか述べる ●自分たちの主張を述べる ●理由を述べる、証明する ●結論を述べる |
審査をしているときに、突然反論を述べられても、それが相手のどの議論に対してのものかわからない場合がある。フローシートのどこに書いて良いのかわからず、戸惑ってしまう。やっとわかって書き始めても、それまで話していた議論は当然フローシートに書かれない。どの議論に対しての反論なのか、まったくわからない場合もある。そのときは仕方ないから、フローシートの空いているところに書いておく。しかし結局は、その議論が何に対するものか最後までわからないことが多い。これでは自分たちの不利になるので、まず初めに相手のどこに対する反論なのかを明確にしなければならない。
ここで始めて自分たちの主張を述べる。「肯定側の○○○は違います、〜です」、「肯定側は○○○と言いましたが、証明されていません」などと言う。
自分たちの主張の理由を述べていき、それを証明する。証拠資料を提出する。最初に理由を述べてから、証拠資料を引用するとよい。証拠資料の中に理由がきちんと書かれているのであれば、証拠資料を読むだけでも良い。理由が入っていない証拠資料を引用するときは、きちんと理由を述べてから、証拠資料を引用する。証拠資料を引用した後に、自分の言葉で要約してもよい。その方が分かりやすい場合もあるので、時間があれば説明したほうが良いだろう。
これらのステップをふんで後、結論を述べる。結論とは、この議論が結果としてどういう意味を持つものかと言うことを述べるのである。重要性の議論に対する反論であれば、結論は「相手のメリットの重要性は全くありません」というようになる。
メリットの重要性の2番目、○○○について反論します。 肯定側は○○○と言いました。この主張は間違っています。 なぜなら、○○○は、○○○だからです。 証拠資料を引用します。 ―証拠資料を引用― このように、○○○は○○○なのです。 ゆえにメリットは重要なものではありません。 |
話すスピードには気をつけなくてはならない。短い時間で多くのことを言おうとしたら、必然的に話すスピードは早くなってしまう。しかしただ早く話せば良いというものではない。具体的には1分間に300語、多くても400語くらいにとどめておくべきである。
1分間に400語というスピードは、アナウンサーが話すスピードと同程度である。1分間に400語で話してもアナウンサーの話し方がそんなに早く聞こえないのは、つまらず、はっきりと発声し、めりはりがあるからだ。逆にこれらがないと、いくらゆっくり話しても聞きづらいスピーチとなってしまう。問題は話すスピードではなく、いかにつまらず、はっきりと、めりはりをつけて話すかなのだ。
話すスピードには限界があるので、より多くのことを言おうとするならば、ムダな言葉を使わないことである。言葉の無駄を省き、言葉づかいを考える。もちろんつまったりしないように、よく練習しておくことも大切だ。無駄な言葉を使わないようにすると、そんなに早口にならなくても、十分自分たちの言いたいことを4分間で言えるものである。
直接反論とは、相手の主張に直接反論するものである。相手の「原子力発電は事故が起こる可能性が高い」という主張に対して、「原子力発電の事故は可能性が低い」というように、直接主張に反論するものである。もし自分たちの主張が通れば、相手の主張は崩れてしまうことになる。このような反論を、証拠資料をつけて多数用意しておくと良い。
間接反論とは、相手の主張に直接反論するのではなく、相手の理由付け、根拠、証拠資料などへ反論するものである。「原子力発電は事故が起こる可能性が高い」という主張に対して、なぜ可能性が高いといえるのか、どのくらい高いのか、証拠資料はあるのか、海外で事故が起こったからといってなぜ日本でも起こるといえるのかなど、相手の議論のバックグラウンドに反論するものである。
しかし、もし自分たちの反論が通っても、相手の議論を完全に崩すのは難しい。むしろ相手の議論の根拠などを疑って、その議論の主張をどのくらい減じることができるかを考える。この間接反論と直接反論を一緒におこなうと効果的である。
議論が成立するための要件が揃っていないと指摘をすること。立証責任を果たしていない議論は成立しない。なぜ議論が成立していないのかを説明する。
たとえば、原子力発電の事故の可能性を、チェルノブイリ事故を例に出し、だから原発は危険だと主張したとする。そのとき、チェルノブイリ事故の例が日本に当てはまるという説明がないので、この議論は成り立たないと言う。ただこの議論だけでは、相手の主張を完全には否定したことにはならない。それは、同じ原発である以上、ある程度の類似性は認められるからである。ここで完全に相手の議論を崩すためには、チェルノブイリ事故の例は日本には当てはまらない、と主張することである。これは直接反論である。しかしこう反論した時点で、逆に自分たちに立証責任が生じる。チェルノブイリ事故の例は日本に当てはまらないことを、きちんと証明しなければならない。
次は理由付けへの反論である。「チェルノブイリ事故の例は、日本でも当てはまる。両者の発電所には類似性がある。」などの証明に対し、その理由からでは類似性があるとは認められない、などと反論していく。また、両者の発電設備の違いや、安全システムの違いなどを説明し、類似性を否定していくと強い議論になる。
チェルノブイリと、日本の原子力発電所の類似性を示した証拠資料が引用された時はどうしたら良いのか。証拠資料が引用された時、証拠資料そのものに対しての反論をあきらめてしまうチームが多い。証拠資料への攻撃はあまりなされていないようである。
しかし証拠資料が提出されたからといって、証明されたことにはならない。完璧な証拠資料というものは存在しないと、まず疑ってかかるべきである。以下は証拠資料のチェック・ポイントである。
出典は明らかか? 著者は主張を証明するだけの権威があるのか? 信頼できる情報源か? 内容に偏見はないか? 統計的に間違いはないか? 内容は最新のものか? |
言い切り型の証拠資料ではないのかどうかをチェックする。ただ主張を述べているだけの証拠資料は多い。「原発事故の可能性は高く危険である」などといった類の証拠資料である。これには、「証拠資料にはなんら理由が述べられていない」といったように反論する。
主張を述べて、それをサポートするために証拠資料を引用するのだが、必ずしもその証拠資料が主張を的確にサポートしているとは限らない。そこを指摘するのである。
たとえば、「原子力発電所の事故の起こる可能性は高い」という主張について、東海村の臨界事故の証拠資料を出したとする。これに対しては、「東海村の臨界事故があったという証拠資料は主張をサポートしていない。なぜなら、この資料は事故があったと言っているだけで、事故が起こる可能性にはふれていない。ゆえに事故の可能性を証明したことにはならない。」というように反論する。
証拠資料の間違いを指摘する。これには正反対のことを言っている証拠資料を引用し、相手の証拠資料は間違っていると反論する。
では正反対の証拠資料があった場合、どのようにその優位性をつけると良いのか。どうやって、自分たちの証拠資料の方が正しいということを証明するのか。それはここに書かれている、証拠資料の反論のポイントを考えれば明白である。「相手の証拠資料には信憑性がなく、説明不足で、主張をサポートしていない。しかし自分たちの証拠資料は、信憑性があり、十分説明してあり、きちんと主張をサポートしている」と言えれば良いのである。
準備段階で、同じようなことを言っている複数の証拠資料の中から一つを選んだときには、他の資料の、何が良くなかったのかメモしておくと良い。相手側がその資料を読んできたときに、その欠点を反駁で指摘するのである(その証拠資料はそんなことは言っていない。その証拠資料は古い、もう状況は変わっている、など)。
頻繁に引用される定番資料にも、このような返しを用意しておくべきである。あの証拠資料が読まれたらこう返すというように、証拠資料の返しも作っておくと良い。
相手の証拠資料の信憑性を一つ一つ崩していくのではなく、全ていっぺんに崩してしまうことも可能である。
たとえば、原子力発電の安全性について、政府刊行物から採った資料ばかりを使っている相手に対して、次のように反論する。「政府は原子力発電を推進しているのであるから、安全性について保証するのは当然である。自分たちに不利になる危険性を述べることはまずない。だから政府の意見は客観的ではなく、偏見がある。いくら政府が原発は安全だと言っても、信用にたる証拠資料とはなりえない。ゆえに政府の証拠資料に頼っている否定側の議論は、全て証明されていないことになります。」と反論する。
証拠資料を集めるときには、このような反論にあわないためにも、証拠資料の出典は多岐に渡っていた方が望ましい。
相手の議論を利用して、自分たちの議論としてしまうこと。相手の議論を利用して反論すること。
たとえば、原子力を廃止するという論題のとき、肯定側は「原子力発電では現在放射能漏れなどの事故が起こっている」と主張する。それに対し、否定側は「確かに事故は起こっているが、大事故にはなっていない。かえって小さな事故が起こることにより、安全システムが再確認され、安全性はより高められている」とターンするのである。
立論や第1反駁で出した議論を発展させること。議論の伸ばしのためには、伸ばし用のブリーフを用意しておかなければならない。全ての議論を伸ばすのは得策ではない。たくさん伸ばすということは、それだけ議論が薄くなるからだ。強い議論を中心に伸ばしていくと良い。
立論や第1反駁で出した議論や証拠資料を、そのまま反駁まで持ってくること。
たとえば、次のように言う。「否定側は原発事故の確率は低いといいました。しかし、肯定側立論の発生過程○番目の、○○○教授の証拠資料を見てください。たとえ確立は低くとも、もし事故が起こったときの被害は甚大である、と述べています。事故の確率が低いからといって原発を存続させることはできません。」
強い議論、強い証拠資料は早いうちから出しておき、それを反駁で積極的に引っ張るようにする。全ての議論を引っ張るのも、伸ばしと同様得策ではない。強い議論を中心に引っ張るようにする。相手に反論されていない議論、相手が落とした議論はすかさず引っ張る。ディベートは、最終的には審判のフローシート上での戦いになるので、フローシートを自分たちの議論で埋めてしまうようにするのも、重要な反駁の戦術である。
立論で出した重要な議論は、たとえ相手の反論がなくとも、反駁まで残すようにする。反駁で出てこなかった議論は、審査の時に無視されるということはないが、反駁まで引っ張っておくべきである。
相手の議論や自分達の議論を、他の論点に適用すること。たとえば、メリットの発生過程の議論を、自分たちのデメリットの発生過程に適用したりする。もっと細かく、相手の議論の一部を、自分たちの議論の証明に使うということもある。またターンアラウンドと組み合わせておこなうと効果的である。
反駁では時間の制約があるので、全ての議論について反論、反駁をおこなうことは不可能である。そのため強い議論、重要な議論、勝敗にかかわる争点などを中心に反駁し、その他は落としても良い。自分たちの議論を落とし、主要争点のみに絞り反駁していくようにする。また相手が反論しなかった議論、つまり相手が落としてしまった議論は、それが重要なものであるならば、積極的に引っ張るようにする。
議論をまとめること(そして反論する)。これは時間のない反駁において、有効な反論方法である。相手の議論の一つ一つに反論していくのではなく、相手の議論をまとめてしまい、それに反論するのである。
たとえば、メリットの発生過程に複数の議論があるとき、それらをいちいち反論していたのでは、時間が足りないかもしれない。そのときは、それらの議論を「発生過程」というひとくくりにしてしまい、それに反論するのである。ようは、いくつ議論があろうとも、メリットが発生するかどうかというのが発生過程の議論なので、一つ一つ反論しなくとも、発生しないということが言えれば良いのである。
またグループは、スプレッドに対しても有効である。スプレッドとは、議論を複数に広げていく方法で、ひどいものになると無意味にナンバリングをして、多数の議論に見せかけるものもある。スプレッドされるとお手上げになるチームをよく見かけるが、グループして戦えばよいのである。
つぎのように言うと良い。「発生過程の議論、1〜5まで、まとめて反論します。1〜、2〜」というように話すと良い。またスプレッドされたときは、意味のない議論は無視してもかまわない。
全ての原子力発電を代替発電に切り替えるべきであるという論題のときに、肯定側が、原子力発電をすべて地熱発電に切り替えるべきだと主張したとする。しかしいくらそのための試算を述べても、それが実行可能かどうかという問題は残る。発生過程を崩すためにも、プランの実行可能性については反論しておかなければならない。いくらお金がかかり、どのくらいの発電量を持ち、いつまでにどれだけの発電所が建設可能なのかを聞く。そして本当にそれが可能なのかをチェックするのである。専門家の意見があればそれも提出してもらう。
プランの実行可能性について反論すると、「それはフィアットで保証されている」という反駁をされることがある。しかしこれは誤解である。フィアットとは、プランが実行されたと仮定したらこうなる、という仮定のことである。政策論題では、論題の主体(通常は日本)が本当にプランを実行するかどうかを証明する必要はない。すべきかどうかという点を議論する。論題の主体がプランを実行したと仮定して、メリット・デメリットが生じるかどうかを議論しあう。だからいくらフィアットがあっても、実際にそのプランが実行可能なのかどうかという議論は別のものである。
直接メリットの発生過程に反論する。しかし実際の試合では完全に発生過程を無くしてしまうことは難しい。どんなに原発事故の可能性を否定しても、可能性は皆無ではない。発生過程は少なからず残ってしまうのが普通である。しかし最後のメリットとデメリットの比較の際に有利になるように、メリットの発生過程を攻撃し、メリットそのものを減じることは重要である。
発生過程の議論を逆転させる方法である。発生過程のターンアラウンドとも言える。これはプランからの異なる分析、発生過程を示し、逆転させてしまう方法である。
たとえば、陪審制度の導入のときに、肯定側は「陪審制度の導入により、自白などの証拠を重視しなくなり、冤罪が減る」と主張したとする。否定側は「日本人は権力依存意識の強い国民で、捜査官の自白獲得に期待し、起訴されると犯人に違いないとみてしまう。この国民性では、自白証拠や検察の起訴を無批判に信じ、有罪にする陪審員が多数出てきて、かえって冤罪が増える」と主張するのである。これはプランを採択することによって生まれるデメリットともいえるので、デメリットとして提出しても良い。
メリットの重要性の議論は、質と量の両面から立証する。否定側は当然この質と量の両方を攻撃しなければならない。
陪審制のディベートだったら、冤罪そのものの問題という質と、冤罪の減少する数という量を攻撃するのである。この場合冤罪という質は、認めても良い。問題は冤罪が減少するという量である。どのくらい減るのか、なくなるのか、ということについて攻撃する。
もし質の重要性しか提出されていなかったら、量の重要性を示せ、と攻撃すべきである。しかしメリットを攻撃して、ゼロにしてしまうことは、実際には難しい。というのは、どのようなものでも一応証明してあれば、たとえ反論にあっても、少しは残ってしまうからだ。否定側は、メリットをゼロにできないのであれば、極力メリットを減少させ、最終的にデメリットと較べてメリットが小さくなるようにすると良いのである。
あいまいな言葉には注意しなければならない。
たとえばよくあるのが、「民主主義がより実現される」といったメリットの重要性である。民主主義という言葉にだまされてはならない。肯定側の言う民主主義とは何なのかという質を問い、またどのくらい実現するのかという量も同時に問うのである。
現在の日本は民主主義の国である。今の民主主義よりさらに良くなった状態が実質的な重要性である。肯定側の言う、より良い民主主義と、現在の民主主義の差が本当のメリットなのであり、その差の重要性を説明しなければならないのである。
ここに着眼して、厳密にメリットとは何なのか、その重要性とは何なのかを見極め反論することが重要である。
重要性を証明するためには、その具体的な利点、問題点がどの程度の確率で得られるのか、起こるのかということを言わなければならない。通常重要性の量は、その得られる確率で決定される。原発で働く労働者が被爆してガンになる数は、「総労働者数×ガンになる確率」というように、その積でもとめられる。いくら重要性の量が大きくても、確率が低ければその重要性は低いものになってしまう。重要性に反論するときには、この確率も考えておこなうと良い。
一般に発生過程が強いメリットは重要性が小さく、重要性が大きいメリットは発生過程が弱いといえる。
核戦争の重要性は大きいが、そこに至る発生過程は繋がりにくく、弱いことが多い。また発生過程のしっかりしたものは往々にして重要性は小さいものである。つまり、核戦争、民主主義の危機などといった大きなメリットは重要性が大きいが、その発生過程は弱いので、そこに反論した方が良い。逆に発生過程の強いものは、重要性が小さいので、そこに反論する。とにかく発生過程や重要性が強いからといって驚いたりしないで、相対的に発生過程と重要性の関係を見極めて反論すべきである。
発生過程と深刻性への反論は、メリットへの反論のところで述べたものと同じである。質と量に対する反論、本来の深刻性に対する反論、深刻性と確率、発生過程と深刻性に関する着眼点である。
しかしデメリットに対する反論は、肯定側第1反駁の4分間でおこなわなければならない。しかもこのスピーチでは、メリットに対する反駁もしなければならない。限られた時間でデメリットに反論するには、時間を有効に使わなければならないのはもちろんだが、以下のような反論方法を用いると効果的である。
発生過程に対して逆の理論を提示し、メリットに転じてしまうターンアラウンドである。
デメリット 原発廃止→電力会社の損害→経済がダメージを受ける メリット 原発廃止→クリーンエネルギー導入→電力会社に新技術→経済の活性化 |
以上のように肯定側は、デメリットの発生過程を転じることによって、メリットにしてしまう。肯定側はこれを、メリットとして付け加えることができる。よりメリットを強化できるのである。
デメリットの深刻性そのものをターンアラウンドして、メリットとしてしまうもの。深刻性の価値の評価に対し、逆の理論を立証し、メリットにしてしまう。
サマータイム導入のディベートのとき、デメリットとして、サマータイム導入にともなう経済負担(信号機、コンピュータの切り替え、)を出したとする。経済負担になるからだめだという価値に対し、「これらの経済負担はかえって公共投資となり、経済が活性化する」というように、深刻性の議論自体をターンし、メリットにしてしまう方法である。これも発生過程のターンと同様に、メリットとして付け加えることができる。
デメリットは肯定側のプランに固有のものでなくてはならない。デメリット、は肯定側のプランを採るからこそ、発生するものでなくてはならないのである。現状でも起こっているデメリットであるならば、肯定側のプランを採っても採らなくとも状況は変化しない。デメリットとしての機能を失ってしまうのである。
肯定側はデメリットに反論するときに、この固有性を攻撃すると効果的である。デメリットは現状でも発生していることが証明されれば、もはやそれは肯定側プランの採択に対する反論とはなりえない。
否定側が、原発廃止によって電力会社に負担がかかり、その結果生まれる経済不況、失業者の増大というデメリットを出してきたとき、「現在はまさに不況の時代であるし、また失業者も多い。ゆえにデメリットは現状でも起きている、つまりデメリットは肯定側のプランから発生するものではないので、これらのデメリットは意味がない。」というように反論する。
この固有性の議論は、本来否定側には立証責任はないが、固有性がないという立証を肯定側がしてきたときには、否定側に反証責任が生じる。
では次に、固有性がないという議論を出された場合の、否定側の反駁方法について2点説明する。
「現在は不況の時代であり、経済不況のデメリットには固有性がない」という反論に対して、「現在の経済不況は限界にあり、また政府も対策を講じている。これ以上の不況が襲うと、経済は混乱し、大変な事態になってしまう」という反駁の方法がある。この限界を敷居値という。肯定側のプランによって、この限界を超えてしまう、すなわちデメリットが現状の限界を超えてしまうので、深刻であると反論する方法である。この議論はメリットの反駁にも使える。
この議論は、デメリットの発生する確率の違いを提示し、デメリットに固有性があると反論する方法である。デメリットが起こる確率が比例的に増加することを示す議論である。たとえば経済不況に対して、「電力会社がこうむる損害は、それだけではとどまらず、建設会社や機械業界へも波及する。つまり現在の経済不況よりもはるかに問題の起こる確率は高い。その差がプランに固有のデメリットである」と反論する。
ディベートの勝敗は、試合中に出てきたメリットとデメリットの総和の比較でおこなわれる。メリットがデメリットを上回っていれば肯定側の勝ち、逆にデメリットがメリットを上回っていれば否定側の勝ちとなる。
第2反駁の重要な役割は、このメリットとデメリットを比較し、どちらが大きいかを示すことである。この比較がなければ、審判の判断に勝敗を委ねてしまうことになり、負けてしまっても文句は言えない。
メリット、デメリットを比較していくためには、まずそれぞれの議論どおしを比較していかなければならない。いきなり価値の比較をおこなっても、効果はない。試合中に出てきた自分たちの議論、相手の議論を総括して、議論どおしの決着をつけるのである。
メリット、デメリットの発生過程、重要性、深刻性をそれぞれの議論ごとに振り返り、自分たちはこう言った、相手はこう言ったと振り返る。その上で、なぜ自分たちの議論が相手の議論より優れているのかを述べ、メリット、デメリットの成立、不成立を分析する。そして最終的に得た結論、メリットの成立、デメリットの一部成立、不成立などをもとにして、価値の比較をおこなっていくのである。
メリット、デメリットを完全にゼロにすることは難しい。通常よっぽどうまい反論をしない限り、多少は残ってしまうものである。だから比較するときには、多少メリット、デメリットが残っていても勝てるような価値の比較をしていかなければならない。
実態のある価値、たとえば人命や金銭などは容易に比較しやすい。どちらの側がより多くの人命を救えるのか、どちらの側がより大きな金銭的利益をもたらすのかと、これらは価値が同じなので比較しやすいのである。しかし経済発展、権利の尊重、正義の実現などが絡んでくると、容易に比較することはできない。それは価値が違うからである。この人命と経済発展、人命と権利、経済発展と権利などを比較する場合には、価値を評価するための基準が必要である。
メリットとデメリットの比較をおこなう際には、判断基準を提出しなければならない。異なる価値を比較するためには、それを可能にする判断基準を提出し、価値の優劣をつけるのである。
一見すると価値の最上にあるのは人命のような気がするが、その人命を守り、正義を実現するために戦争をし、人命を失うこともある。また自己の命よりも信念を優先させる人もいるし、自己の命よりも他人の命を優先させる人もいる。必ずしも人命が一番大事ということでもなさそうである。
つまり価値というのは状況によって変わってくるものであり、一定不変のものではないのである。
原発廃止のときに、肯定側は事故による人命の損失を問題にし、否定側は経済効率を問題にしたとする。このときはどのように価値を比較していけば良いのだろうか。
肯定側は「人命は何よりも優先する。たとえそのためにお金がかかり、経済が悪化しようとも人命救助を優先させるべきである。ゆえにメリットの方が大きい。」と述べる。では否定側はどのようにしたら良いのだろうか。経済効率を人命より優先させるには、独自の判断基準が必要である。たとえば次のように言うことができる。「確かに人命は尊重しなければならない。しかし自動車事故で年間何万人も死亡しているのに、自動車を廃止しないのはなぜか。それは自動車がなくなると重大な経済損失になるからである。原発も同様で、これがなくなるとエネルギー問題が起き、重大な経済損失になる。原発の事故発生率はきわめて低い。自動車事故に比べればないに等しい。ゆえに原発事故での、きわめて確率が低く、無いに等しい人命の損失よりも経済効率を優先すべきである。」
価値を比較して自分たちのメリット、デメリットの優越をつけるためには、こういった独自の判断基準を構築しなければならない。
効果的に反駁を行うためには、ブリーフを作っておかなくてはならない。ブリーフとは、自分たちの反論、主張、証拠資料などを一枚の紙にまとめたものである。A4でもB5でもよい、自分たちが使いやすい大きさにする。証拠資料もそのまま読めるように書いておく。通常証拠資料もふくめて数点書かれている。それを反駁の時間に読むようにするのである。準備時間中に読む順番を決め、番号をふっておく。付け加えることがあったら、ブリーフに書き込む。ブリーフを読めば良いだけにしておいて、スピーチに臨むのである。
ブリーフは書式を決めて、どのくらいの時間で読めるのか把握できるように作る。そうすることによって、このブリーフをどのくらいの時間で読めるのかがとっさにわかる。またその一部でも、書式が統一されていればどのくらいで読めるのかがわかるのである。
またブリーフを作ることによって、作戦タイムを有効に使えるという利点がある。あらかじめ準備しておいたものを読むだけで良いので、予測できなかった議論を考える時間ができる。準備していなかった議論などを、作戦タイムの間を使って中心に考えていくと良い。
B6やA5くらいのカードに、証拠資料を一枚につき一点書いた、エビデンスカードというものもある。準備段階では有効だが、実際に試合で使うのは難しい。数十枚から数百枚のカードを、いかにきちんと整理していようとも、試合中に探し出し、使うのは時間的に無理がある。やはりブリーフにして、主張、証拠資料、結論などを全て書いておいて、読むだけにしておく方が効率的である。
また予測もしないメリット、デメリットや論点がきたときのために、それ専用のブリーフも作っておくと良い。証拠資料の信憑性や、議論のつながり、因果関係がない、固有性がないなど、この「反駁の方法」に載っているすべての反論を、チェックシートのように作成しておき、それを利用して、試合中にスピーチする。なんくせをつけるためのブリーフである。
肯定側反駁 No. 1 ●原発は二酸化炭素を排出する ○○○高校 2000年 原子力発電は、クリーンなエネルギーではありません。原子力発電もCO2を排出します。 ( )原発は二酸化炭素量を増加させる 田丸博文(たまる ひろふみ)、潟潤[ルド通信社代表取締役副社長アジア総局代表、「だから原発は危ない!」成星出版 1998年 p. 131 つまり原発を増やせば、それにともない放射性廃棄物の処理問題や、環境に捨てられる廃熱、廃炉など、新たな問題がでてくるということにほかならず、それらの問題を解決するために新たなエネルギーが必要となり、結果、排出される二酸化炭素量がさらに増加していくだろうというわけです。
( )原発は、管理、輸送、運転それ自体でも炭酸ガスを放出する 小出裕章(こいで ひろあき)、京都大学原子炉実験所助手・足立明(あだち あきら)、京都市南区・唐橋診療所所長、「原子力と共存できるか」かもがわ出版 1997年 p. 39 (前略)極めて複雑な原子力発電施設を建設することそれ自体、また、核燃料や「廃棄物」の管理や輸送など原発の運転それ自体にも、膨大な量の石油が必要になります。原発そのものが、炭酸ガスを放出してしまうわけです。ですから、原子力発電は、石炭や石油を燃やすことによって起こる「地球温暖化」の解決には、まったく役に立たないのです。 ( )ウラン燃料を加工する際に二酸化炭素が放出される 日本みらい探検隊編、「原発天国のホントとウソ」プラネット出版 1999年 p. 121 (前略)原発は運転しているときには二酸化炭素を排出しませんが、ウラン燃料を加工する際に大量の石油を必要とし、そこで二酸化炭素が排出されるので、けっしてクリーンなエネルギーとはいえないという点です。 |
戦略シートとは、フローシートなどのディベートの流れがわかる用紙に、時系列的に相手の議論を予測し、それらに対してどのように反論していくかといった、戦略を書いたものである。使う用紙はフローシートのようにA3の用紙でもいいし、もっと大きな紙を使用しても良い。自分たちの使いやすい大きさにする。また論点ごとに紙を分けていくのも良い。しかしいたずらに用紙を分けて数枚にわたってしまうと、全体の議論がつかめなくなってしまう恐れがあるので、注意を要する。戦略シートは試合中に使うというよりも、事前の準備段階で作成し、パートナーと議論を確認しあうために使う方が良いだろう。
反駁で重要なことは、いかに相手の議論を予測し、事前に考えることができるかである。ディベートは即興のスピーチではない。練られた議論の攻防が勝敗を決めるのだ。限られた時間内で、その場で、相手の議論へ反論反駁することは、よほどディベートに慣れていないと難しいし、それには何年もの訓練が必要である。
しかしその場ではできなくとも、事前に考えることは可能である。ディベートの試合中は、いかに用意したもの(ブリーフ)を使いこなすかに主眼をおき、予測外の議論が相手から出てきたときには、その議論を集中的に考え、反駁していく。そうすることによって深い議論の展開が可能になるのである。
最初に自分達の議論を考えるときに、自分達はどの議論を主にディベートをしていくのかを考えなければならない。その時に考えた議論が弱く、簡単に相手に返されそうなものであれば、最初から出さない方が良い。戦略シートを作るときには、どの議論を出し、どの議論をやめるべきなのかも同時に考える。
自分達の議論が決まったら、次に相手の議論の予測に入る。相手の議論を細かく予測し、選択肢も同時に考える。考えられるものを全てあげ、何通りもの予測を立てておく。
相手の議論が予測できたなら、次は自分達がその議論にどの様に反論、反駁していくかを考える。自分達がAであると言ったときに、相手はいやAではない、またはBであると言ってくる。そこでまた自分達がAであるとただ繰り返して言ってしまっては、いつまでも反駁はできない。正反対の議論が相手から出てきたときには、どうして相手の議論が間違っているのかを示し、次にどうして自分達の議論が優れているのかという理由を示さなければならない。これができたとき、初めて反駁ができたことになる。
とにかくまず立論、反駁を作ってみる。考えてばかりいないで、アウトラインだけでも良いから書いてみる。それをたたき台にして、どんどん直していくのである。
練習試合をしてみて、反駁がうまくいかなかったら、どんどん直していく。反駁の修正ですむようなものであれば良いが、立論そのものを修正してしまったほうが良いこともある。実際に反駁まで練習試合をしてみて、思惑通りに行かなかった場合、すぐ次に備えて軌道修正しなければならない。面倒がらずに何度でも書き替えていったほうが良い。そうすることによって、より強い立論、反駁ができるのである。
しかし、あまりにも相手の攻撃を意識するあまり、自分たちの議論を削ってしまうことがある。ここは攻められたから止めてしまおうとか、攻められないようにこの部分は削ってしまおうとか、どんどん自分たちの議論を小さくしてしまっているチームがある。しかしこれは自分たちの議論を縮小してしまっているだけで、何も効果がない。むしろ攻められたところはこう返そう、というように前向きに考えるべきである。よほどおかしな議論でない限り、反論反駁できないということは考えられない。
反論は、議論を聞いた時に、すぐに、いく通りも思いつけるようにする。常日頃からこういう訓練はしておくことである。とっさに反論を考える訓練は、試合中に反論をその場で考えなければならないとき、非常に役に立つ。どのような議論も反対意見がないことはない。絶対的なものはないのである。必ず反論ができるものとして、考えてみる。
しかし反論がどうしても思いつかないときは、どうすべきか。その時は本稿で説明した反論の方法を一つ一つ試してみる。直接反論できないか、証拠資料に反論できないか、深刻性のターンはできないかなどと細かくチェックしていくと良い。
それでも反論が思いつかない時は、主張を先に決めておいて、理由を後で考えるようにするのである。うまく理由付けができたら、証拠資料を探してみる。○○は○○だ、という議論があったときに、○○は○○ではないと先に主張を出し、その理由を考えるのである。理由は必ずあるはずだ。
反論は多数思いついた。ではいったいどの反論を使うのが一番効果的なのか。もちろん一番効果的な反論は、勝てる反論である。反論の最善手は、前述したように第2反駁から考えていくとはっきりしてくる。まずどのようにして自分たちが勝つのかを決める。どのメリットで、デメリットをどのように切って、どんな判断基準をもって勝つのかを決めるのである。そうすると第2反駁の作戦がきまる。そこから逆に考えて、そのためには第1反駁、質疑、立論はどうすべきかを決める。
大まかな戦略が決まったら、主要争点もわかる。反駁ではこの主要争点の見極めが大切である。ここまで戦略が固まっていると、どの反論を使うのが良いのかは、おのずとはっきりしてくるはずだ。まだ戦略が決まっていないときには、先を読んでみる。こう反論したら、こう返してくる、そうするとこう返す。というように先を読む。そうするとどの反論が良いものかわかってくる。ただ反論を思いついたからといって、やみくもに使うのは得策ではない。
反駁の一番の練習方法は、練習試合を多くおこなうことである。しかしただやみくもに練習試合をおこなっても意味はない。練習試合の目的をもち、とにかくいろいろなことを練習するのだ、という心構えで試合する。頭で考えていることを実際に言ってみるという、言語化の練習にも最適である。
練習試合では、議論や証拠を隠さないでどんどん出すべきである。学校間の練習試合では、相手に情報を渡すことによって、スピーチの練習をさせてもらえると割り切る。隠しメリット(デメリット)、隠し論点、隠し証拠資料は本番に弱い。まして、それらを必殺技と思うのはとんでもない誤りである。必殺技どころか、致命傷にもなりかねない。相手が知らないから反論してこないだろうと思い、出しただけで勝てると思ってしまう。しかしそのくらいのことを考えついているチームはいるもので、なんなくあっさりと返されたりする。しかも隠し論点などは一度も使ったことがないので、自分たちも練習していない。これでは勝つことはできない。
練習試合では、資料や議論をどんどん教えて、どんどん教えてもらう。一つか二つ相手側から思いもかけぬ反論があれば、成果としては十分である。何も相手から目新しい反論がなければ、スピーチの練習をさせてもらったと思って、感謝すべきである。
最初にあげていた、反駁ができないという問題点について、その解決方法を示してみたい。それぞれの解決方法は二つずつある。
最初の一つは、本来こうすべきであるということを説明した。
二つ目には、しかしそれでも、どうしても準備できなかった、試合中にできない、などの時にはどうしたら良いかを書いた。少し乱暴な言い方をすれば、できない、できなかったものは仕方がない。それよりも試合を続けることが大事である。なんとかして勝つ方法を考えるのだ。このように、できなければできないなりに、びくびくとディベートするのではなく、ダイナミックにディベートをしてほしい。
戦略シートを作って、徹底的にメリット、デメリットを考える。また反駁における展開も考え、徹底的に議論を突き詰めていく。メリットやデメリットの数はしれたものである。特にディベート甲子園の論題はプランが限定されるように、狭い論題にしてある。プランが限定されるということは、メリットもデメリットも限定されてくる。誰も思いつかなかったメリットやデメリットは存在しないといっても過言ではない。
もし仮に、誰も気づかないメリットやデメリットがあったとしても、それを審判に説明するのは大変である。審判も、思いもよらないメリット、デメリットが出てきたら戸惑うものである。またそれを出したチームは、過度の立証責任を負ってしまうことにもなりかねない。わからない議論やメリット、デメリットは質問攻めにする。事前に準備してある、そういう時専用のブリーフを使う。ここが分からない、あそこがわからないと、どんどん相手に立証責任を押し付ける。そのわからない点は、審判も同じはずである。きっとうなずいてくれるだろう。
でもできない〜
しかし、もし試合で予測もしなかった議論、返しが出てきたらどうしたら良いのか。だまされてはいけない。それは論理の展開の仕方や構造が違うだけで、結論は同じなのだ。どうしてもわからなかったら、結論だけを、用意しておいたブリーフを使って、徹底的に責めよう。そして自分たちの議論を徹底的に伸ばし、引っ張る。第2反駁では強引に価値の比較をおこなってしまい、勝ちに結びつけよう。相手の出方なんか関係ないね。
反論を思いつかない場合は前述の方法を使って、とにかく主張を先に決めてあとから理由をつけ、証拠資料を探すという方法をとってみると良い。また試合中に反論を思いつくためには、予測していた議論はとにかくブリーフを読むだけにしておき、予測外の議論に時間をさけるようにしておく。余計な頭を使わないで、反論を考えることに集中する。パートナーがスピーチしているときは、別に聞かなくても良いし、フローシートも採らなくて良い。パートナーが何を話しているか聞かなければわからないようではだめだし、フローシートは後から見せてもらえばよい。とにかく反論を考えることに集中する。
しかしそれでも、予測もしなかった論点が相手からきて、反論が思いつかないときはどうしたら良いか。そのときはあわてず、事前に準備してある、そういう時専用のブリーフを使う。証拠資料の信憑性や、議論のつながり、因果関係がない、固有性がないなど、この「反駁の方法」に載っているすべての反論を、チェックシートのように作成しておき、それを利用して、試合中にスピーチするのである。
でもできない〜
それも出来そうにないときはどうしよう?ただ黙って時間の終わるのを待っているのか?それはもったいない。その時は反駁の時間を全て使って、相手に関係なく、自分たちの議論を伸ばそう。用意したブリーフすべてを読みきってしまうくらいの気持ちで。そして審判に勝敗をゆだねてしまおう。だって、いっさい議論の比較をしてないんだから、後は審判に任せるしかないでしょ。
時間が余ってしまうのは、準備不足が最大の原因である。反論する材料がない、どう反論していいか分からないというのは、準備をきちんとし、ブリーフを作り、戦略シートを作ることによって解決できる。
しかしそれでも、予測もしなかった論点が相手からきて、しかも自分たちにはまったくわからないというようなときはどうするか。そのときはあわてず、事前に準備してある、そう、あのなんくせをつけるブリーフを使う。
でもできない〜
それも出来そうにないときはどうしたらいい?ただ黙って時間の終わるのを待っている?それはもったいない。その時は、もうわかってるね。相手にたっぷりと自分たちのスピーチを聞いてもらいましょう。反論の時間を全部使って、相手に関係なく、自分たちの議論を伸ばすんだよ。そしてあとは審判におまかせね。
反駁の時間が足りないのもやはり準備不足が原因である。また練習不足も原因である。実際に試合になってみると、用意していたものの半分も言えないというのは、次に述べる言語化できていないのも原因である。徹底的に主要争点を見極め、議論を絞り込む。そして言葉の無駄を省き、最小限の言葉で、効果的なスピーチをおこなうよう心がける。それでも時間が足りなければ、話す速度を少し上げてみよう。
でもできない〜
それでも時間が足りなさそう、ってときにはどうする?その時は重要なものから順にスピーチをしていく。何も順番に、自分や相手の展開に合わせてスピーチすることもないんだよ。とにかく大事なものから順番に反駁していけばいい。相手のどの議論に対して反論するかを明確にしていれば、審判も混乱しない。もし全部言えたらラッキー、だめでも重要なものは言ってあるから大丈夫さ。
相手の言っていることが理解できない、相手に惑わされてしまうのは、準備不足が大きく影響している場合が多い。つまり、相手の議論をきちんと予測していないのである。 議論をあらかじめたくさん予測、準備し、どのようなものが出てきても、すでに知っている状態にしておく。どのような論理展開、論理構造にしても、ルールにあるとおり、メリットを証明するには発生過程と重要性、デメリットを証明するには発生過程と深刻性がなければならない。それぞれを大きなくくりとして、まとめて反論すると良い。いくら発生過程に多くの議論があったとしても、発生過程は発生過程である。ようはメリットやデメリットが発生しないと言えれば良いのである。
でもできない〜
しかしどうしても相手の論理展開がわからないときは、相手がどう言おうと、議論を大づかみにして反論してしまおう。議論を発生過程と重要性(深刻性)に勝手に分けて、反論してしまおう。またどうしても分からなかったら、「発生過程がわからん」「重要性(深刻性)がわからん」とはっきり言ってしまおう。たぶん審判もわからないはずだから、きっとうなずいてくれる、はず。いや、もっとはっきり言ってしまえ、「発生過程の議論はありません、重要性(深刻性)の議論もありません。ですからメリット(デメリット)は、まったく成立していません。」と。
言語化できないのは、スピーチの練習不足が大きな原因である。頭で理解しているだけではだめである。言語化する練習は、いやというほどしなければならない。そのためには他校との練習試合をたくさんし、部内でもどんどん練習試合をする。自分一人でも練習できる。思いついた議論は、実際に口に出して言ってみるという訓練を日頃からしなければならない。
でもできない〜
それでも試合中にあがってしまって、できないときはどうしたらいい?残された道は、ひたすらブリーフを読むことだよ。黙っているよりいいじゃん。