否定側第2反駁

 

否定側の最終反駁を始めます。まず肯定側の反駁を上からずっと反駁して行きます。

先ず初めにこの近代化論は誤りだと、この点において、反省していないわけじゃないとありましたが、否定側の資料には戦争行為の反省心が薄れていくものである、自覚も次第に消え去って行く可能性がある、一度反省してもこういう論が巷にはびこると良くないということを言っているのです。

 

2番目として、実は悪いことをしたのかどうか分からない。これはですね、先ほど私が申し上げましたが、その続きとしてですね、例えば言論弾圧、統制というところを論点にあげてみたいと思います。例えばですね、朝鮮日報は318回も9年間に差し押さえになっています。4回発行停止になっています。東亜日報、中外日報誌他雑誌も同じような目にあったという資料があります。このような言論統制をしたり、現地人を弾圧するということにおいて、これは悪いことをしたといえていないと言うのはおかしいと思います。やはり悪いことをしたんだと思います。

 

その次に、研究すること自体はいいと、また歴史的な観点から総合社会学的に観るべきであって、善悪を先に論じるというようなことをおっしゃていましたが、これは私が申しましたけれども、はたして、独立国じゃなかったわけですから、植民地としての、植民地側の立場でこういう事実があったんだと。それを、近代化の寄与ということを認めていいかどうなのか、その立場によって事実が変わってくると思うんですね。その価値論を私は言いたかったんです。ですから独立国じゃない植民地側の立場としては、とんでもない、こういうことは言えないんだ、ということを私は言いたいんです。

 

次に民主化について、教育の整備をしたと。これはすでに私の方で述べましたように、10%しか就学できなかった。それに、さらにですね、10%は意味があったと、事務型の理系の教育をしたとありますが、それははたして10%通ってた方の全員に伝わっていたのでしょうか?ここの議論は全くありません。要するに上屋は建てました、その一割しか学生はいなかった。それが本当に近代化に対して良かったのかという証明は無かったのです。

 

次に土地事業について。手続的には問題は無いと、朝鮮人の方を立ててやったと。私が申したのは、申告の手続きを複雑化させたと、莫大な申告費を課した。それによって期限内に申告できなくて、土地を没収された人が多いということを申したんです。そこにたとえ、手続きが正当です、朝鮮の方もここに立ち会っていますといってもそういう技術も無い、お金も無い、自分の小さな畑を申告しようにもどうやっていいか分からない、そのときの言葉は日本語で話せと言っても無理なんですね。そういう手続きがあるということは、それは屁理屈であって、そのようなことを行ったから、これは正当化されるとはいえないと思うんです。ここは重要なポイントですね。

 

その次にですね、軍事目的であっても、とにかく工業化に寄与したんじゃないか。これも感情論といわれるかもしれませんが、この近代化の寄与ということを考えるときに、私が定義した問題です。軍事目的のために、日本人の、日本人のための、日本人による工場を建てましたと。韓国併合が終わったあと皆日本に帰ってきて、なにも稼動していなかった。実際4%しか動いてなかったんですね。そういった場合に、その施設は後で利用したと、朝鮮のためになったんじゃないかと、そう言えるんでしょうか。それは朝鮮の方々が後でそれを活用したのであって、日本からいみじくも近代化に寄与したとは言えないのじゃないかと私は思うんです。この点が大きな肯定側との違いじゃないかと思います。

 

その次に金玉均さんの話ですが、金玉均さんは弾圧されて、殺されたと。私も本を読みましたが、確か金玉均さんの話は、韓国併合前の話だったんじゃないかと。さらに記憶してるところによりますと、日本から200万だったかのお金を借りるという話があって、日本政府がそれをひっくり返し、結局裏切った形になった。私が言いたいのはですね、そういう方もいたのかもしれません、でもそれを韓国または中国でもいいんですけれども、弾圧した云々と言うよりも、そういう人たちを活かして、本当の近代化または産業化を図ることができなかったんじゃないかというのを結論付けたいと、私は思います。

以上で否定側の反駁を終わります。