質疑(否定側から肯定側)

 

否定:それでは質問をはじめます。まず肯定側の立論、定義のところ、近代化をもう一度言ってください。

肯定:引用ですか?

否定:はい。

肯定:近代化とは、「継続的、実質的経済発展をいうのであり、それは社会の構造と態度が根本的に変容する変化の過程を伴うものである」

否定:社会の構造と態度っていうのは、例えばどういう・・・

肯定:社会変化のプロセスというふうに考えていただければ結構だと思います。社会の変化があって経済発展した、そしてその社会の変化そのものも含めた上での経済発展、これを近代化というように考えます。

否定:と言っているのは誰ですか?

肯定:ギルバート・ローズマン、プリンストン大学の社会学部教授です。『日中比較近代化論』。

否定:それは日中比較からの結論ですか?

肯定:論文の題名はこうですけれども、いわゆる東洋というか中国、台湾、北朝鮮ですね、それに対しての近代化というふうに書いております。

否定:論点1なんですけど、今の定義から論点1をまとめてほしいんですけど。

肯定:論点の1はですね、まず社会のシステムが、大韓帝国の社会のシステムがどのように変わっていったか。これは日本が変えていったと言っていいんですけれども、変えて行ったか、また変わっていったかということを3つにわたって説明しています。1つ目はまず土地調査事業、これが経済発展のもとになる調査事業ですから、これを先ず始めた。それに伴ってインフラ整備ですね、鉄道、電信、電話、道路。それから3番目、それらの根本的な問題である教育制度、つまりこれ無くしては経済発展はないんですけれども、教育制度を変えていった。ということで、3つの論点から社会システムがどのように変わっていったかということを言っています。

否定:はい結構です。これから私の立論のほうでも述べていきたいんですが、例えば教育の整備というところで、学校の数が増えたという事だったんですけど・・・

肯定:はい。

否定:学校の数が増えたから、教育が整備されたということでよろしいですか?

肯定:ここでは事実だけで、学校をこれだけ整備したということを述べておりますが、教育が普及したというのは別に証拠資料にはありません。

否定:論点2に行きます。論点2ではざっくり言うとどういう・・・

肯定:論点1であげた代表的な3つの政策によって、これだけ経済が発展したんだよと言うことを、2点にわたって述べております。

否定:ということはやはり定義に戻るんですが、経済的また産業的な面ですけれども、その視点から見て近代化が行われたというふうに、ようするに肯定側は言いたいということでよろしいですか?

肯定:プラス社会のシステム、プロセスの変容ですね、これも含めての近代化です。

否定:社会のシステムがどう変容したかというのは、工業化という視点で見るわけですね。

肯定:ちょっと意味がわかりません。

否定:社会がどのように変容していてもいいと言うことですか?

肯定:経済発展に伴う社会的な変容ですね。その原因となる社会的な変容のプロセスも含んで近代化と言ってます。

否定:ちょっといやらしい質問なんですが、韓国の方にひどい事をした、朝鮮民族を弾圧したということがあったとしても、工業化がなされたことは良いことだというふうに解釈してもよろしいですか?

肯定:一つは、証明されていない仮定の話なんでお答えできないと言うことと・・・