千歳亭のカルボナーラは、準備を始めてから食べられるようになるまで、なんと1週間は掛かる手間の掛かった逸品。
豚バラ肉を丁寧に漬け込み、毎日冷蔵庫から出しては、味が均一になるようにゆっくりと揉みしだく。
「ほわー! ほわほわーーーー!! ほぇー!!!!!」
塩を揉み込むときのかけ声も忘れない。職人である千歳の声も高らかに、今日も肉の熟成は進む。余計な水分が抜け、旨味が凝縮した肉は、最高の具であり、調味料なのだ。
適度な濃さになるまでゆっくりと塩抜きされた肉は、身が引き締まり、まるで「ガチムチ」のような硬さになる。これの端を火に通し、軽く味見。
「うほっ、いいお肉」
と、思わず声が漏れてしまうぐらいの旨さがなければ、この時点でカルボナーラは美味しくはできない。スモークされて出てきたそれは、固く、天に向かってそそり立つようになる。
細かくしたチーズに、卵黄と挽いたばかりの胡椒を加え、ベースとなるソースを作る。塩味はすべてベーコンから。だからソースに塩は加えない。コクと柔らかさを与えるために、ほんの少しの生クリーム。そうだ。やっぱり生がいい。
短冊に切ったベーコンを火に掛け、油がほどよく抜け、カリカリになるまで炒める。茹で上がったパスタを絡め、火を止める。そこにチーズと卵黄のソースを和え、盛りつける。余熱でチーズが溶け、卵黄が絡まる。それが至極のカルボナーラ。
さて、来週は、究極のカルボナーラの予定です(なんだこれ)。