対の遺伝子
- - - 1. 兄の疑問
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「なぁ」
「ん?」
「お前さ、アイツの一体どこがよかったんだ?」
「……一言では語れないんだが」

はっきり言ってとんでもなく見た目のいい、それでいて真面目な幼馴染兼親友は、困ったように笑った。
ちょっと堅物でくそ真面目で、人見知りだけれど、彬がいいヤツだってことは長い付き合いでオレが一番よく知っている。
だから……だからこそ!
何故そんな彬が、よりにもよってアイツを選んでしまったのかが、どうしても納得できなかったりするのだ。

「ガサツだし」
「大らかなんだよ」
「乱暴だし」
「元気がよくていいじゃないか」
「性格はひねくれてるし」
「照れ屋だからな」

オレが思うアイツの欠点は、何故か彬にとっては長所に入れ替わっているらしい。
なんかんだ言いつつ、この親友にとってアイツは大事な大事な恋人でしかないのだ。
……と言うか。
完全にベタ惚れ状態なのだ、昔から。

「趣味悪ぃ……」
「双子の兄であるお前がそこまで言うか」

―――――親友の最愛の恋人は、オレの双子の妹だった。