対の遺伝子
- - - 2. 猪突猛進
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俺の想い人は、乱暴で粗雑だ。
でもそれも言い換えてしまえば、元気がよくておおらかということだと、俺は思う。

『お前は激しく間違ってる』
と彼女の双子の兄でもある親友は言うが、そんな言葉は耳には入れないようにしている。
どんな笑でも、笑は笑で、俺はそんな彼女に完全な一目惚れだった。

……初対面からいきなりスケボーで殴られた過去は、俺の胸にだけしまっておこう。

笑はいつも走っている。
高校に入ってクラスは分かれてしまったが、俺はいつでも簡単に彼女を見つけることができた。

走る。
走る。
とにかく走る。

「ちょっとは落ち着きなさい」といつも教師に怒られている気もするが。

そして、前を見ない。
周りも見ない。
思いついたら、即行動なその精神が俺は好きだ。

―――――ゴイン!!

中庭を隔て、渡り廊下で繋がった向かいの校舎の廊下で、高らかにそんな音がする。
今日は一体何にぶつかったんだろうか。

心配しながらも、笑を見つけたことが嬉しくて。
一人で忍び笑いをもらしていた俺を、有は気味悪そうに見つめていた。