昭和19年頃(1945年頃)  JASRAC No.020-0538-7
可愛いスウチャン
作詞:水木かおる
作曲:不詳
歌唱:大関  進
制作:滝野細道

(一)
お国の為とは 言いながら
人の嫌がる 軍隊に
召されて行く身の あわれさよ
可愛いスウチャンと 泣き別れ
 
 (三)
 乾パンかじる ひまもなく
 消灯ラッパが 鳴りひびく
 五尺の寝台 わらぶとん
 ここが我等の 夢の床
 
(二)
朝は早よから 起こされて
ぞうきんがけやら はき掃除
いやな上等兵にゃ いじめられ
泣く泣く送る 日の長さ
 
 (四)
 海山遠く へだてては
 面会人とて さらになく
 着いた手紙の 嬉しさよ
 可愛いスウチャンの 筆の跡
 
童謡・唱歌・懐メロ八洲秀章&抒情歌昭和戦前の流行歌・新民謡 昭和戦後の歌謡曲・演歌   *08/OCT/23

軍歌には「愛国行進曲」、「海ゆかば」などの官製的なもの、「愛国の花」などのように通常リリースでヒットしたもの、戦地で兵士の間で歌われていた「異国の丘」、ああモンテンルパの夜は更けて」、「軍隊小唄」、「ズンドコ節」、「ラバウル小唄」、そしてこの「可愛いスウチャン」などがあります。このうち、戦地で歌われた兵士の<軍歌>は自然発生的で、戦争を揶揄するもの、厭戦的なものが多く、終戦直後は<作詞作曲者不詳>ということになっていました。「異国の丘」、「ああモンテンルパの・・・」、「ラバウル小唄」は作詞者・作曲者が判明しましたが、明らかになっていないものがまだあります。この「可愛いスウチャン」も殆どのスコアには<作詞作曲者不詳>と記載されていますが、JASRACには【作詞者:水木かおる】として全信託されています。
水木かおるは、「アカシヤの雨が止む時」をはじめとする西田佐知子の歌、渡哲也、牧村三枝子など多くの歌を作詞しているのは周知のとおりです。この「可愛いスウチャン」は昭和34年の日活映画<檻の中の野郎ども>の「練鑑ブルース」で使われていますが、そのためかあらぬか、水木かおるは日活スターの歌も多く作詞しています。