この歌は「シャボン玉」と同じ野口雨情作詞ですが、何とも童謡にはなりにくい歌詞で、不思議な気がします。「シャボン玉」には暗い裏事情があったとしても、子供にとっては夢がある綺麗なイメージですが、「小石」はそうではありません。「シャボン玉」と共通した裏事情があるとしたら、<ふと授かった掌中の珠を慈しんでいたら再びふと失った>ということでしょう。雨情には、失われていくもの、失われたもの、に対する愛惜の念が常に流れています。共通項を見つけるとしても、「シャボン玉」は1922年の作、「小石」は1933年の作ですからちょっと時間が離れ過ぎているような気がします。これが例の<向ふ横丁のお仙の茶屋で恋しをひろた>となるとたちまち艶っぽくなって、童謡にはちょっと・・・・・本居長世の前奏がなんとも軽快で名曲です。
小石
作詞:野口雨情
作曲:本居長世
制作:滝野細道
向ふ横丁で小石をひろた ひろた
ひろた小石をたもとに入れりゃ
たもと重くて振ろとて振れぬ
たもと たたんでおひざにのせた のせた
のせたたもとをたたいていたりゃ
石はころげてたもとは残る