昭和28年(1953年)   JASRAC No.028-0127-2
黒百合の歌 (松竹映画「君の名は」主題歌)

作詞:菊田一夫
作曲:古関裕而
歌唱:織井茂子
MIDI制作:滝野細道

 黒百合 Photo from Botanical Garden 

(一)
黒百合は 恋の花
愛する人に 捧げれば
二人はいつかは 結びつく
あ〜あ〜 あ- - - - -あ〜〜
あ〜あ〜 あ- - - - -あ〜〜
この花ニシパに あげようか
あたしはニシパが 大好きさ

(二)
黒百合は 魔物だよ
花の香りが しみついて
結んだ二人は はなれない
あ〜あ〜 あ- - - - -あ〜〜
あ〜あ〜 あ- - - - -あ〜〜
あたしが死んだら ニシパもね
あたしはニシパが 大好きさ

***
黒百合は 毒の花
アイヌの神の タブーだよ
やがてはあたしも 死ぬんだよ
あ〜あ〜 あ- - - - -あ〜〜
あ〜あ〜 あ- - - - -あ〜〜


 懐メロ 童謡・唱歌 八洲秀章&抒情歌
 *10/MAR/20 「細道のMIDI倶楽部」TOPへ

細道は、この「黒百合の歌」を歌っていた頃、これが「君の名は」の主題歌だとは全く
知りませんでした。<アイヌの神>や<ニシパ>という語からただ何となくアイヌの男
女の恋を歌った歌のように思っていました。このMIDIを制作するに当たって初めて資
料から知ったわけですが、歌謡曲通を自任する私には慙愧に堪えないことでありす。
単にそれに接する機会がなかったというに過ぎませんが、この歌は映画のみの主題
歌だったということで、当時の田舎の高校生は、そう簡単に映画なんぞ見に行けませ
ん。また、当時北海道アイヌの代表団が本土の地方巡りをし、ユーカラや躍りを披瀝
し衣装などを展示ていたこととか、「イヨマンテの夜」、「オロチョンの火祭り」「サロマ
湖の歌」などが大ヒットしていたことから、それら流行り歌の一つと思っていたに過ぎ
なかったわけです。この結果、今は自宅の庭にも咲いている<黒百合>は何となく
北海道の固有種であると思っていましたし、「イヨマンテの夜」も「鐘の鳴る丘」の劇
中歌と知ることもなく現在に至ったわけです。 「サビタの花」や「イヨマンテの
夜」の歌詞中に<メノコ>とありますので、メノコ=娘、乙女と理解し、<ニシパ>も
<男の恋人>くらいの意味かな、と思っていましたが、<ニシパ>とは、単に若くカッ
コいい男の恋人のことではなく、エカシ(長老)を含む立派な地位にある男、紳士であ
る男を表す言葉で、乙女が愛する相手の男性を<ニシパ>と呼ぶ時は、相手が<指
導力があり尊敬できる(若くカッコいい)男>であるようです。古日本語ではさしずめ<
わが君>
でしょうか。この「黒百合の歌」の<ニシパ>は、劇中の後宮春樹のことです。