作詞者の佐藤惣之助は、戦前の歌謡曲ではおそらく一番数多くのヒットを飛ばした人でしょう。阪神タイガースの応援歌「六甲おろし」もこの人の作詞です。これに、古賀政男の作曲が加わったわけですからヒット間違いないわけです。この歌で楠木繁夫はスターダムにのし上りました。楠木繁夫も「人生劇場」「女の階段」などのヒット曲はありますが、緑の地平線の余りの成功が後の彼の人生を狂わせたといえるでしょう。とにかく分かっているだけでも、秋田登、黒田進、島津一郎、藤村一郎、浜口淳などなど51もの変名を使った変名大王で、戦後ヒット曲が出ないのを悲観して自殺してしまいます。ちなみに、「幌馬車の歌」を和田春子名で歌った渡辺美津子が11、松島詩子が9、近江敏郎が7、東海林太郎が6、藤山一郎の5、といったところ。
緑の地平線2
緑の地平線
作詞:佐藤惣之助(PD)
作曲:古賀政男(C)
歌唱:楠木繁夫
MIDI制作:滝野細道
(一)
なぜか忘れぬ 人故に
涙かくして 踊る夜は
ぬれし瞳に すすり泣く
リラの花さえ なつかしや
(二)
わざと気強く ふりすてて
無理に注(つ)がして 飲む酒も
霧の都の 夜は更けて
夢もはかなく 散りて行く
(三)
山のけむりを 慕いつつ
いとし小鳩の 声きけば
遠き前途(ゆくて)に ほのぼのと
緑うれしや 地平線