この「夏は来ぬ」は一見夏が来たことを謳歌するものの歌と見えますが、それだけでは三番の♪おこたり諫る♪と5番目が何ともしっくり来ません。解釈でも無視している場合が多いようです。しかし、一番は<ほととぎすはまだうまく鳴けないのに、早くも懸命に練習しているではないか>と読めます。二番は<五月雨の中、早乙女は季節に遅れまいと裳裾を濡らして懸命に田植えしている>三番は<蛍の寿命は6〜7日しかないのに懸命に夏の到来を告げている>、四番は<臆病でめったに姿を見せない水鶏でさえ、クークーと声をだして夏を告げている>。五番、<さあ、夏だ夏だ、夏が来た。自然に習い人間の行いも季節をおこたってはならない夏が来たよ、と読めます。三番、五番が中心と思います。家人の家に佐佐木信綱が長逗留したことがあったようです。 |