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お座敷小唄 「雪に変りはないじゃなし」

お座敷小唄 「雪に変りはないじゃなし」
 本倶楽部の「お座敷小唄」の解説中に「<雪に変りはないじゃなし>は意味不明」と書きました。「どこが意味不明だ?」とおっしゃる方もいますので、見解を述べてみたいと思います。
 このお座敷小唄のリリースされた昭和39年は、東京オリンピックが開催された年で、まだ、芸者遊びが華やかだった頃のことです。お座敷ゲームの<野球拳>や<金毘羅船々>のように、このお座敷小唄も何処かで誰かが座興酔狂に歌い始めたものが、修正・添削されながら段々と増えて行き、お座敷の定番小唄となったとなったと思われます。この歌が世に出た経緯は何処にも語られていません。作詞者不詳、作曲者陸奥明(「月がとっても青いから」などの作曲者)となっているだけで、不可思議な歌です。そのためか、作詞に責任を持つ人がおらず、「雪に変りはないじゃなし」という変な詞がそのまま残ってしまったのでしょう。歌詞の中に「先斗町」が出てきますので、京都の祇園か花柳界が発祥の地が想像されます。
 そこで 「雪に変りはないじゃなし」ですが、普通の言葉で訳すと「(どこで降った雪でも)雪に変りがないことはない(ので)」となります。これを「どこで降った雪でも、雪であることに変りはない」としたい場合は「雪に変りがあるじゃなし」もしくは「雪に変りはないじゃない?」となります。つまり、最後の<し>一文字で<変りはない>の<ない>を<なし>と二重否定してしまっていることになっているのです。
 昭和39年に和田弘とマヒナスターズがリリースしようとした時に、このことに気付かなかった筈が無く、冒頭の一番は客の方が投げかける歌で、酔っぱらった客が始めから意味不明のことを言うのに格好のものと思った可能性もあります。そういった観点から見てみますと、三番、五番の客の方が投げかける言葉も、不遜というか、酔っぱらった客が言いそうな、一方的に威張ったものとなっています。
 そういえば、今筆者が書いた<気付かなかった筈が無い>を同意で丁寧な言葉にすると<気づかなかった筈が有りません>となります。なにか<無いじゃなし>と似たような雰囲気がある言葉です。外国人に「日本語って難しい」と言われるのもこの辺に”有るかも知れません”ね。

 この余話は、資料が無く、全て筆者の推測に基づくものですので、引用されましても責任は持ちかねます。悪しからず・・・m(-_-)m


懐メロ  八洲秀章&抒情歌  童謡・唱歌  「細道のMIDI倶楽部」TOPへ 2013/OCT/02