昭和57年(1982年)          JASRAC No.036-9424-1
さざんかの宿
作詞:吉岡  治(C)
作曲:市川昭介(C)
  歌唱:大川栄策
  MIDI制作:滝野細道

(一)
くもりガラスを 手でふいて
あなた明日(あした)が 見えますか
愛しても 愛しても
ああ 他人(ひと)の妻
赤く咲いても 冬の花
咲いてさびしい さざんかの宿
  
  (三)
  せめて朝まで 腕の中
  夢を見させて くれますか
  つくしても つくしても
  ああ 他人の妻
  ふたり咲いても 冬の花
  春はいつくる さざんかの宿
(二)
ぬいた指輪の 罪のあと
かんでください 思いきり
燃えたって 燃えたって
ああ 他人の妻
運命(さだめ)かなしい 冬の花
明日(あす)はいらない さざんかの宿
   

童謡・唱歌  懐メロ  八洲秀章&抒情歌        *2011/NOV/13 「細道のMIDI倶楽部」TOPへ

歌謡曲は、流行歌と呼ばれた戦前から、男女の恋愛を扱ったものに発しています。一番最初
と言われる「船頭小唄」を始め「東京行進曲」なども若い男女の恋愛の歌といえます。しか
し戦前は、不倫を歌ったものは皆無でした。これは昭和33年までは公娼制度のようなもの
があり、芸者、キャバレーのホステスなどは浮気とは見られず、男女の愛憎を歌う歌謡曲と
はなりにくかったと思われます。昭和34年箱崎伸一郎「熱海の夜」が不倫とも婚前旅行と
もとれるものです。昭和40年代から、妻子ある男性のプロでない女性との不倫が取り沙汰
されるようになり、それを思わせる「おんなの宿」などの歌謡曲が生まれましたが、ストレ
ートに表現したのはひろし&キーボーの「三年目の浮気」ぐらいなものでした。ところが昭
和も50年代に入ると、主婦の不倫だか夫の浮気だかごちゃごちゃしてきて、しっとりとし
た歌謡曲は難しく、当倶楽部の中でも、この「さざんかの宿」が、女性の側の不倫関係をス
トレートに表わしている珍しい曲です。都はるみの「北の宿から」や石川さゆりの「天城越
え」もそれを思わせますが、さほどストレートではありません。昭和を離れると歌謡曲=演
歌の衰退とともに、こうした歌はまた皆無となったように思われます。 
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