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さざんかの宿 |
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作詞:吉岡 治(C) 作曲:市川昭介(C) |
歌唱:大川栄策 MIDI制作:滝野細道 |
(一) くもりガラスを 手でふいて あなた明日(あした)が 見えますか 愛しても 愛しても ああ 他人(ひと)の妻 赤く咲いても 冬の花 咲いてさびしい さざんかの宿 |
(三) せめて朝まで 腕の中 夢を見させて くれますか つくしても つくしても ああ 他人の妻 ふたり咲いても 冬の花 春はいつくる さざんかの宿 |
(二) ぬいた指輪の 罪のあと かんでください 思いきり 燃えたって 燃えたって ああ 他人の妻 運命(さだめ)かなしい 冬の花 明日(あす)はいらない さざんかの宿 |
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*2011/NOV/13 |
歌謡曲は、流行歌と呼ばれた戦前から、男女の恋愛を扱ったものに発しています。一番最初 と言われる「船頭小唄」を始め「東京行進曲」なども若い男女の恋愛の歌といえます。しか し戦前は、不倫を歌ったものは皆無でした。これは昭和33年までは公娼制度のようなもの があり、芸者、キャバレーのホステスなどは浮気とは見られず、男女の愛憎を歌う歌謡曲と はなりにくかったと思われます。昭和34年箱崎伸一郎「熱海の夜」が不倫とも婚前旅行と もとれるものです。昭和40年代から、妻子ある男性のプロでない女性との不倫が取り沙汰 されるようになり、それを思わせる「おんなの宿」などの歌謡曲が生まれましたが、ストレ ートに表現したのはひろし&キーボーの「三年目の浮気」ぐらいなものでした。ところが昭 和も50年代に入ると、主婦の不倫だか夫の浮気だかごちゃごちゃしてきて、しっとりとし た歌謡曲は難しく、当倶楽部の中でも、この「さざんかの宿」が、女性の側の不倫関係をス トレートに表わしている珍しい曲です。都はるみの「北の宿から」や石川さゆりの「天城越 え」もそれを思わせますが、さほどストレートではありません。昭和を離れると歌謡曲=演 歌の衰退とともに、こうした歌はまた皆無となったように思われます。 Photo by Hosomichi
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