昭和12年
吾妻橋より隅田川(前方駒形橋) Photo by Hosomichi

  JASRAC No.043−0150−1


  すみだ川


 作曲:佐藤惣之助
 作曲:山田栄一
 歌唱:東海林太郎
 台詞:田中絹代
 制作:滝野細道



 (一)
 銀杏がえしに 黒襦子かけて
 泣いて別れた すみだ川
 思い出します 観音さまの
 秋の日暮れの 鐘の声

 (台詞)
「ああそうだったわね、あなたが二十
 歳(はたち)、わたしが十七の時よ。
 いつも清元のお稽古から帰って来る
 と、あなたは竹谷の渡し場で待って
 いてくれたわね。そして二人の姿が
 水にうつるのを眺めながらニッコリ
 笑って別れた、本当にはかない恋だ
 ったわね。・・・・・」


 (二)
 娘心の 仲見世歩く
 春を待つ夜の 歳の市
 更けりゃ泣けます 今戸の空に
 幼馴染の お月様

 (台詞)
「あれからわたしは芸者にでたものだ

 から、あなたは逢ってくれないし、
 いつも観音様へお詣りする度に、廻
 り道してなつかしい隅田のほとりを
 歩きながら、一人で泣いてたの。で
 も、もう泣きますまい。恋しい恋し
 いと思っていた初恋のあなたに逢え
 たんですもの。今年はきっと、きっ
 と嬉しい春を迎えますわ。・・・」


 (三)
 都鳥さえ 一羽じゃとばぬ
 むかしこいしい 水の面
 逢えば溶けます 涙の胸に
 河岸の柳も 春の雪


   お家に帰ろう*08/5/6