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月の法善寺横丁 |
作詞:十二村哲
作曲:飯田景応
歌唱:藤島桓夫
制作:滝野細道 |
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(一)
庖丁一本 晒(さらし)にまいて
旅へ出るのも 板場の修業
待ってて こいさん
哀しいだろうが
ああ 若い二人の
思い出にじむ 法善寺
月も未練な 十三夜
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【台詞】
「こいさんが私(わて)を初めて法善寺へ
連れて来てくれはったのは『藤よ志』に
奉公に上がった晩やった。早う立派な
板場はんになりいやあ言うて、長いこと
水掛不動さんにお願いしてれはりました
なァ。あの晩から私(わて)は、私はこい
さんが好きになりました。
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【二番後の台詞】
「死ぬ程苦しかった私らの恋も、
親方はんは許してくれはった。あ
とはみっちり包丁の修業を積んで
一人前の料理人になる事や。な、
こいさん、待っててや。ええな、こ
いさん」
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(二)
腕をみがいて 浪花に戻りゃ
晴れて添われる 仲ではないか
お願い こいさん
泣かずにおくれ
ああ いまの私(わて)には
親方はんにすまないが
味の暖簾にゃ 刃がたたぬ |
(三)
意地と恋とを 庖丁にかけて
両手あわせる 水掛不動
さいなら こいさん
しばしの別れ
ああ 夫婦善哉
思い出横丁法善寺
名残りつきない 燈がうるむ |
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*09/SEP/23 |
十二村哲(とにむら・てつ、1918年〜1997年、北海道出身)は昭和後期の作詞家
で、この「月の法善寺横町」のほか、あの克美しげるの「さすらい」「大阪エレジー」
谷本知美の「北海育ち」などを作詞しています。藤島桓夫は「お月さん今晩は」など
がありますがこの歌が最大のヒットで昭和の代表的歌手の一人となっています。
飯田景応(いいだ・けいおう、1916年〜1967年1月3日、石川県金沢市出身)は戦
前からの作曲家で、島田磐也の作詞とともに東海林太郎、上原敏などに提供して
います。戦後は映画音楽やドラマ「一丁目一番地」を作曲し、昭和30年代は藤島桓
夫にヒット曲を提供しました。
<法善寺横町>は、上記の写真は<丁>となっていますが<町>表記も混在して
おり、JASRAC にも同じ曲でありながら両方が登録されている珍しい曲です。
写真:Lisence:GFDL1.2. taken by KENPEI fm Wikimedia
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