わたしが おねむになったとき やさしくねんねん こもりうた 歌って ねかせてくださった ほんとにやさしい おかあさま |
この「やさしいおかあさま」を作詞した稲穂雅巳 は静岡県出身であること以外にあまり資料が見つ かりません。童謡作詞家としては<稲穂雅巳童謡 新作集>という本を出していますので、数多く作 詞していると思われますが、今に残っているのは この「やさしいおかあさま」を筆頭に「さよなら の歌」海沼実作曲、「走れヨット」足羽章作曲く らいなものです。このことから推察すると、稲穂 雅巳は、「あの子はたあれ」「ちんから峠」の細 川雄太郎、「お猿のかごや」「見てござる」の山 上武夫、「里の秋」「蛙の笛」「夢のお馬車」「 ばあやたずねて」の斉藤信夫、「みかんの花咲く 丘」「かわいい魚やさん」山口保治作曲「みどり のそよ風」「すずらんの花咲く丘」の加藤省吾な どと同様、<音羽ゆりかご会>の創設者海沼実に 見出された作詞家だったのでしょう。稲穂雅巳が 活躍したのはちょうど戦時中ということもあって 、小国民のために作った戦意高揚のわらべ軍歌が 世に残らなかったと思われます。
|