「宵待草」という花は無いことから、竹久夢二はなんの花を宵待草と呼んだのか、という議論が絶えません。【待宵草】を間違って宵待草としたという珍説もあるくらいです。上掲の写真のようにマツヨイグサ類は語感も合い、通常<月待草・月見草>とも呼ばれていたことから詩の内容とも合うので、<オオマツヨイグサ>であろうと言われています。しかし、宵を待って咲く花には、本物の月見草、ユウガオ、ヨルガオなどもあり、一概に決め付けられるものではありません。 この唄は、『月の出をただひたすら待って咲くしかない花になぞらえ、主(ぬし=月)=の来訪をただひたすら待って夜しか女として咲けない日陰者の女性』のことをうたったものですから、路傍に一輪ひっそりと咲く<ツキミソウ>のイメージの方がシックリとくるように思われます。が、竹久夢二は【宵を待ってひっそりと咲く野辺の野草】の総合的イメージから【宵待草】という名前を創造したのでしょうから、イメージ元の花を想定しようとしても無益なことでしょう。 |
ツキミソウ(真正) コマツヨイグサ Photo by Hosomichi |