昭和17年(1942年)
JASRAC No.090-0153-1
湯島の白梅
作詞:佐伯孝夫    
作曲:清水保雄
歌唱:小畑実/藤原亮子
制作:滝野細道

(一)【女】
湯島通れば 想い出す
お蔦主税の 心意気
知るや白梅 玉垣に
残る二人の 影法師

(二)【男】
忘れられよか 筒井筒(つついづつ)
岸の柳の 縁むすび
かたい契りを 義理ゆえに
水に流すも 江戸育ち

(三)【男女】
青い瓦斯燈(がすとう) 境内を
出れば本郷 切通し
あかぬ別れの 中空(なかぞら)
鐘は墨絵の 上野山
童謡・唱歌・懐メロ 八洲秀章&抒情歌 昭和戦前の流行歌・新民謡 昭和戦後の歌謡曲・演歌
*08/JUL/01

【筒井筒】
この「湯島の白梅」の全体を表す言葉に<筒井筒>があります。筒井筒??筒井筒とは、<丸井戸を囲った垣>のことで、幼い頃男女が遊んだ場所の意味です。いわば<竹馬の友><幼馴染み>のことで、特に一旦疎遠になった幼馴染の男女が長じて結婚することを言います。『あの二人は幼稚園前から筒井筒だったからなあ』などと使います。<伊勢物語二十三段>に由来していますが、謡曲和歌、歌舞伎などにも出てきます。流行歌では、「唐人お吉の唄(明鴉編)」にも鶴松お吉の筒井筒として出てきます。そうしてみますと泉鏡花の『婦系図』を読んでなくても全体像が彷彿としてきます。お蔦の「別れろ切れろは芸者のときに言う言葉・・・今の私にはいっそ死ねと言ってください」が有名です。