- - - 5. それもきっと運命の出逢い |
|
俺は今でも信じている。
笑との出逢いはきっと、運命だったのだと。
『ごめん、気付かなかった』
それが、笑が俺に対して初めてかけた最初の言葉。
公道を何も考えずにスケボーでぶっとばしていた彼女が、目の前を歩いていた転校初日の俺と双子の兄に気付かず、突っ込んできたのが始まり。
はっきり言えば……ものすごく、痛かった。
スケボーが後頭部を走り抜けたんだ、そりゃ痛いさ。
あまりの痛みに不覚にも涙がにじんでしまったほどに。
そんなぼやけた視界に、鮮やかに入り込んできたのが、笑だった。
悪いとも思っていなかったんだろう。
その一言を言い放ったその瞬間の笑顔に―――――俺は一目惚れ、というものをしてしまったのだ。
そのことを、数年後に彼女の双子の兄に打ちあけた時。
有は何故か思いっきり怪訝な顔で、ボソッと言った。
「……お前……マゾかよ」
その言葉は、速攻で丁寧に否定させていただいた。
|
|
|
|
|