対の遺伝子
- - - 6. モヤモヤ
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笑と彬が付き合い始めたのは、高校2年の春のこと。

初めて出会った小学校3年の春から、ずっとずっと笑のことが好きだったくせに、
告白はとんでもなく遅かった彬にヤキモキすることも多かった。
笑の方は強烈な鈍感で、彬の気持ちになどカケラも気付いていなかったようだが。

しかし実際に二人は付き合いだして、今年でもう5年になる。
ケンカもよくしていた(というか笑が一方的に怒っていた)が、それなりにうまく行っているのだろう。
うちの親も彬を昔から知っていることもあってか、すっかり親公認の付き合いである。

しかし。
だからといって、こう頻繁に彬の家に泊まらなくてもいいんじゃないだろうか。

「母さん、何で何にも言わないんだよ」
「あら、だって笑を泊める時には、彬くんは自分から電話してきてくれるのよ?疑う余地もないじゃない」
「疑う余地もないって」
「彬くんと笑は恋人同士なんだもの、一緒にいたいのは当然でしょ?」
「だからって!」
「有、あなたいい加減妹離れして、自分の彼女を大事にしなさい。由紀ちゃんがかわいそうでしょう?」

母さんのいうことはもっともだと分かっていても、納得はできない。
泊まるってことはつまりそういうことだ。

―――――彬は親友だ。
そして二人は付き合っている。

そんな当たり前のことを、素直に受け入れられないオレは、結局どこまでも妹バカな兄貴だった。