対の遺伝子
- - - 24. 恋するぴんくぱんだ
[ 23. だからあなたが大嫌い | 対の遺伝子Top | 25. 一番近しい遺伝子 ]

「彬って、私の救急箱みたい」
「え?」

スケボーで轢かれるという最悪の出会いだったものの、俺と笑と有は急激に仲良くなった。
元々人見知りする性格の上に、転校が多かったこともあって、俺には友達は多くない。
それがこんなに仲良くなれたのは、この双子が人見知りなんて言葉とは無縁だったからだろう。

「だって、いっつもばんそうこうを持ってるよね」
「……持ってるんじゃなくて、持つようになったんだよ」
「……なんで?」
「お前が怪我ばっかりするからだろ!?」

一日一回以上は、どこかしら怪我をしている笑に、俺はハラハラさせられっぱなしだ。
最初は普通のばんそうこうしか持っていなかったが、
笑は女の子だしなぁと思って、薬局でキャラクター物のばんそうこうを買った。
そのピンク色のパンダのキャラクターを笑はたいそう気に入ったらしく、結果的には買ってよかったと思っている。

「ほら、終わり」
「ありがとぉ」

派手に擦りむいて出血した膝に、ペタン、とばんそうこうを貼り終えると、俺は苦笑した。
全く……元気なのはいいのだが、俺は気が気じゃない。

「女の子なんだから、少しは気をつけろよ」
「なんで?」
「傷が残ったら、嫌だろ?」
「うーん……でもそれって勲章っぽくなぁい?」

そんな……男の発想を。

「戦うことが男の勲章なんだよ!?」
「お前は女だろ!?」

どこかで聞いたようなことを口にする笑に、俺は怒鳴った。
ふてくされたように顔を背けた彼女の膝では、ぴんくぱんだが笑っていて。

心の中で笑の存在が少しずつ大きくなっていくのを、俺は少しずつ自覚し始めていた。