- - - 24. 恋するぴんくぱんだ |
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「彬って、私の救急箱みたい」
「え?」
スケボーで轢かれるという最悪の出会いだったものの、俺と笑と有は急激に仲良くなった。
元々人見知りする性格の上に、転校が多かったこともあって、俺には友達は多くない。
それがこんなに仲良くなれたのは、この双子が人見知りなんて言葉とは無縁だったからだろう。
「だって、いっつもばんそうこうを持ってるよね」
「……持ってるんじゃなくて、持つようになったんだよ」
「……なんで?」
「お前が怪我ばっかりするからだろ!?」
一日一回以上は、どこかしら怪我をしている笑に、俺はハラハラさせられっぱなしだ。
最初は普通のばんそうこうしか持っていなかったが、
笑は女の子だしなぁと思って、薬局でキャラクター物のばんそうこうを買った。
そのピンク色のパンダのキャラクターを笑はたいそう気に入ったらしく、結果的には買ってよかったと思っている。
「ほら、終わり」
「ありがとぉ」
派手に擦りむいて出血した膝に、ペタン、とばんそうこうを貼り終えると、俺は苦笑した。
全く……元気なのはいいのだが、俺は気が気じゃない。
「女の子なんだから、少しは気をつけろよ」
「なんで?」
「傷が残ったら、嫌だろ?」
「うーん……でもそれって勲章っぽくなぁい?」
そんな……男の発想を。
「戦うことが男の勲章なんだよ!?」
「お前は女だろ!?」
どこかで聞いたようなことを口にする笑に、俺は怒鳴った。
ふてくされたように顔を背けた彼女の膝では、ぴんくぱんだが笑っていて。
心の中で笑の存在が少しずつ大きくなっていくのを、俺は少しずつ自覚し始めていた。
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