明日はお立ちか | ||
作詞:佐伯孝夫(無信託) 作曲:佐々木俊一(PD) 歌唱:三沢あけみ MIDI制作:滝野細道 |
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(一) 明日はお立ちか お名残り惜しや なまじ逢わねば 泣くまいに こころとこころ つないだ糸は なんで切れましょ 切れやせぬ |
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(二) 想うばかりで 口には言えず 握るこの手を 忘れずに お山も今朝(けさ)は 泪で曇る 君を見送る 峠道 |
(三) 時計みつめて 今頃あたり 汽車を降りてか 船の中 船酔いせぬか 嵐は来ぬか アレサ夜空に 夫婦(みょうと)星 |
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*2011/JUN/18 Photo taken by Hosomichi(C) |
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この三沢あけみ版「明日はお立ちか」は、昭和17年に大ヒットした、出征兵士(夫)の壮行歌であった、 「明日はお立ちか」のリメイク版です。当時の壮行歌は軍歌ではありませんでしたが、新妻が夫を戦地 に送る心配と憂慮に満ちた惜別の歌を思わせる、佐々木俊一にしては短調のメロディーでした。しかし、 佐伯孝夫の歌詞↓の方は、一番、二番の一行目と三番が心配に満ちたものであり、短調のメロディーに 合っているのに対し、一番、二番の中後半は前途を励ます、明るい希望に満ちた唄となっています。 (一) (二) (三) 明日はお立ちか お名残り惜しや 胸の手綱を しみじみとれば (同様の歌詞) 大和男児(おのこ)の 晴れの旅 胸にすがしい 今朝の風 朝日を浴びて いでたつ君よ お山も晴れて 湧きたつ雲よ おがむこころで 送りたや 君を見送る 峠道 佐伯孝夫の戦前戦後を通じた歌詞を見れば、こうした歌詞中の矛盾は考えられないことです。細道とし ては、これは昭和17年という当時の状況を考えれば、提出した歌詞は、もともとこの三沢あけみ版のよ うな歌詞だったものが内務省の検閲を通らず、一番、二番の一行目と三番を意地でも残し、急遽書き直 したためにメロディーとの不一致を起こしたものと思っています。佐伯孝夫が戦前の原曲が不本意であっ たろうことは、この三沢あけみのリメイク版のために改作された歌詞がメロディーや曲想に実にフィット しているのを見れば容易に想像できることです。このリメイク版の昭和39年当時作曲の佐々木俊一は すでに死亡しており、メロディーは戦前のままですが、佐伯孝夫は積年の悩みを拭うことができたと言 えると想像しています。 その経緯のためか、佐伯孝夫はこの新版の歌詞を別物として、JASRACに信託してはおりませんが、 内容は著作者本人の改作で、信託原曲と同一部分が多く、無断で転載しますと原曲歌詞に対する著 作権問題が発生します。 |