あわて床屋の出来るまで



(一)
春は小田原【注1】 本町通り

松っつぁん【注2】店だし 伊勢床【注3】でござる
ちょっきん ちょっきん ちょっきんな

(二)
そこへ白秋さん【注4】 お客にござる
どうぞ急いで ヒゲあたっておくれ
ちょっきん ちょっきん ちょっきんな

(三)
春の陽だまり うつらうつらの白秋さん
ものに驚き がばっと起きる
ちょっきん ちょっきん ちょっきんな

(四)
おやじゃあわてて 剃刀ぉ引くが
鼻のあたまに ちょと血がにじむ
ちょっきん ちょっきん ちょっきんな

(五)
後日白秋さん 伊勢床に入り
「おやじこれ見ろ こんな唄【注5】できた」
ちょっきん ちょっきん ちょっきんな

(六)
おやじこたえて 「俺ぁ鼻ちょと切るが
耳を落とすよな ヘマなぞしねえ」【注6】
ちょっきん ちょっきん ちょっきんな

(七)
白秋さん怒るし 松っつぁん恥ょかくし
しかたなくなく 奥へと逃げる
ちょっきん ちょっきん ちょっきんな
しかたなくなく 奥へと逃げる
ちょっきん ちょっきん ちょっきんな

あ ちょっきん ちょっきん ちょっきんな

【注1】小田原=神奈川県小田原市
【注2】松っつぁん=伊勢谷音松さん、
【注3】伊勢床=伊勢谷理髪店
【注4】白秋さん=北原白秋
【注5】こんな唄=この「あわて床屋」
【注6】耳を落とすよなヘマ=白秋は当時
    <木菟の宿>(みみづくのやど)
    という庵を結んでおり、松つぁん
    はそれに掛けて皮肉った。
            

     JASRAC No.027−5660−9

    

      あわて床屋  


    


      作詞:北原白秋
      
作曲:山田耕筰
      
制作:滝野細道

   (一)
   春は早ようから 川辺の芦に
   かにが店出し 床屋でござる
   ちょっきん ちょっきん ちょっきんな

   (二)
   こがにぶつぶつ しゃぼんを溶かし
   おやじ自慢で はさみを鳴らす
   ちょっきん ちょっきん ちょっきんな

   (三)
   そこへうさぎが お客にござる
   どうぞ急いで 髪刈っておくれ
   ちょっきん ちょっきん ちょっきんな

   (四)
   うさぎァ気がせく かにァあわてるし
   早く早くと 客ァ詰め込むし
   ちょっきん ちょっきん ちょっきんな

   (五)
   邪魔なお耳は ぴょこぴょこするし
   そこであわてて ちょこんと切り落とす
   ちょっきん ちょっきん ちょっきんな

   (六)
   うさぎァ怒るし かにァ恥ょかくし
   しかたなくなく 穴へと逃げる
   ちょっきん ちょっきん ちょっきんな
   しかたなくなく 穴へと逃げる
   ちょっきん ちょっきん ちょっきんな
   
    お家に帰ろう  2008/MAY/03

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