この「ふるさと」は1973(昭和48)の大ヒットでこの年のNHK紅白歌合戦で歌われました。こう書くと普通のことですが、実はこの年五木ひろしには「夜空」(197311月発売、山口洋子作詞、平尾昌晃作曲)というレコード大賞受賞曲があったのです。レコ大受賞曲は、その年のNHK紅白歌合戦に歌われるのが通例でした。大晦日の夜はレコ大が決まるのが午後9時、それから、赤坂のTBSから渋谷のNHKの紅白歌合戦にパトカー先導で駆けつけるのです。ところがこの年五木ひろしには、この年7月に発売されたこの「ふるさと」が大ヒットしており、NHKとしてはレコード売上の多い「ふるさと」の方を五木ひろしの歌唱曲として選んでいたので、レコード大賞受賞曲でありながらその年の紅白歌合戦に歌われない曲という初めてのケースとなってしまったのです。その代わり、「ふるさと」はその年の第5回全日本歌謡大賞の大賞受賞曲ですので、同一歌手の中でネジレ現象が起きていたのでした。

昭和48年(1973年)
JASRAC No.074-4030-8
ふるさと
作詩:山口洋子  作曲:平尾昌晃
歌唱:五木ひろし 制作:滝野細道

(一)
祭りが近いと 汽笛が呼ぶが
洗いざらしの Gパンひとつ
白い花咲く 故郷(ふるさと)が
日暮れりゃ恋しく なるばかり

(二)
小川のせせらぎ 帰りの道で
妹ととりあった 赤い野いちご
緑の谷間 なだらかに
仔馬は集(つど)い 鳥は鳴く

(コーラス)
ああ 誰にも
故郷がある 故郷がある 

(三)
お嫁にゆかずに あなたのことを
待っていますと 優しいたより
隣の村でも いまごろは
杏(あんず)の花の まっさかり

(四)
赤いネオンの 空見上げれば
月の光りが はるかに遠い
風に吹かれりゃ しもみじみと
想い出します 囲炉裏ばた

(コーラス)
ああ 誰にも
故郷がある 故郷がある 

童謡・唱歌・懐メロ 八洲秀章&抒情歌 昭和戦後の歌謡曲・演歌
*08/5/9