この「夜空」は1973年(昭和48年)のレコード大賞受賞曲でした。レコ大受賞曲はその年にヒットした曲に与えられることが多いので、その年のNHK紅白歌合戦に歌われるのが通例でした。大晦日の夜はレコ大が決まるのが午後9時、それから、赤坂のTBSから渋谷のNHKの紅白歌合戦にパトカー先導で駆けつけるのですが、そのため大賞にノミネートされ受賞の可能性ある歌手はトリも含め、後半の方に配置されていました。そして、<只今駆け付けました>という雰囲気のなかで受賞曲を歌ったものです。ところがこの年はレコ大大本命がおらず、予測不能だったのに加え、五木ひろしにはこの年前半すでに「ふるさと」(山口洋子作詞、平尾昌晃作曲)が大ヒットしており、NHKとしてはレコード売上の多い「ふるさと」の方を五木ひろしの歌唱曲として選んでいたので、レコード大賞受賞曲でありながらその年の紅白歌合戦に歌われない曲という初めてのケースとなってしまったのです。NHK紅白歌合戦の人気はこうしたスリリングな状況ももう一つの要素だったのでしょうが、現在(2007年)レコード大賞授賞式は12月30日に行われており、そうしたことはなくなっております。また、この「夜空」は、その後の五木ひろしにヒット曲が多く、NHK紅白歌合戦で歌われたのが、何と26年後の1999年のことでした。
JASRAC Code No.092−2497−1
夜空
作詞:山口洋子(C)
作曲:平尾昌晃(C)
歌唱:五木ひろし
MIDI制作:滝野細道
(一)
あの娘 どこにいるのやら
星空のつづく あの町あたりか
細い風の口笛が
恋の傷あとにしみる
あああ あきらめた恋だから
なおさら逢いたい逢いたい
もう一度
夜は いつもひとりぼっち
(二)
あの娘 帰っておいでと
流れ星にのせ そっと呼んでみた
だれも答えはしないよ
白い花が散るばかり
あああ とどかない夢だから
なおさら 淋しい淋しい
この胸よ
夜空 遠く果てしない