昭和45年(1970年)          JASRAC No.039-0340-1
知床旅情

作詞:森繁久弥
作曲:森繁久弥
歌唱:加藤登紀子(森繁久弥)
MIDI制作:滝野細道

 カムイワッカの滝へ
  知床の象徴【羅臼岳】
 オシンコシンの滝へ
(一)
知床の岬に はまなすの咲くころ
思い出しておくれ 俺たちの事を
飲んで騒いで 丘にのぼれば
はるかクナシリに 白夜は明ける

 
(二)
旅の情けか 飲むほどにさまよい
浜に出てみれば 
*1月は照る波の上(え)
今宵こそ君を 抱きしめんと
岩かげに寄れば ピリカが笑う


(三)
別れの日は来た 羅臼(
*2知床)の村にも
君は出てゆく 峠をこえて
忘れちゃいやだよ きまぐれカラスさん
私を泣かすな 白いかもめよ
・・・白いかもめよ
  知床最大の美瀑【オシンコシンの滝】


  
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 Photoes taken by Hosomichi in 2001 

この「知床旅情」は森繁久弥の作詞作曲で、自身で訥々とした歌い口を披露して誠に牧歌的な味
わいでした。朴訥な男の歌でした。しかし、この男の気持ちを表した歌を、加藤登紀子が並行カバ
ーしたのにはびっくりしましたが、加藤登紀子が男の気持ちをうまく表した歌い方をするのに、また
またびっくりしたものでした。そういえば加藤登紀子は「時代遅れの酒場」とか「百万本のバラ」とか
男の立場で歌う歌も多いです。
この歌のわからないところは、<ピリカ>とは何か?でしょう。通常<ピリカ>は、美しい、綺麗な
という形容詞ですが、「黒百合の歌」の<ニシパ>が、立派な、指導力のある、という形容詞なが
ら【立派な男】も表すように、【美しい乙女】をも表すようです。しかし、今宵こそ君を、の<君=ピリ
カ>とすると、岩陰に連れ寄られて笑うというのも、詞の構成上変です。ここは大方の人が想像し
ているように、<ピリカ>とは何か動植物の固有名詞とすると詞の全体がすっきりしますが、生憎
そういう動植物はアイヌ語には無いようです。と、終わってしまっては実も蓋も無いですが、ここに
想像できることが一つあります。チドリ目の海鳥に【エトピリカ】というのがいるそうで、これなら情景
にピッタリします。エトピリカではメロディーに乗らないので、森繁久弥が<美しい乙女>のピリカと
<海鳥エトピリカ>のピリカを掛けて表したとすると、一応納得できます。
*1:この曲二番の ”月は照る波の上(え)”のところが一番と三番とメロディーが違うのでご注意。
*2:加藤登紀子は”羅臼”、森繁久弥は”知床”と歌っています。