知床旅情 | |
作詞:森繁久弥 作曲:森繁久弥 歌唱:加藤登紀子(森繁久弥) MIDI制作:滝野細道 |
知床の象徴【羅臼岳】 |
(一) 知床の岬に はまなすの咲くころ 思い出しておくれ 俺たちの事を 飲んで騒いで 丘にのぼれば はるかクナシリに 白夜は明ける |
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(二) 旅の情けか 飲むほどにさまよい 浜に出てみれば *1月は照る波の上(え) 今宵こそ君を 抱きしめんと 岩かげに寄れば ピリカが笑う |
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(三) 別れの日は来た 羅臼(*2知床)の村にも 君は出てゆく 峠をこえて 忘れちゃいやだよ きまぐれカラスさん 私を泣かすな 白いかもめよ ・・・白いかもめよ |
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*10/JUN/11 Photoes taken by Hosomichi in 2001 |
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この「知床旅情」は森繁久弥の作詞作曲で、自身で訥々とした歌い口を披露して誠に牧歌的な味 わいでした。朴訥な男の歌でした。しかし、この男の気持ちを表した歌を、加藤登紀子が並行カバ ーしたのにはびっくりしましたが、加藤登紀子が男の気持ちをうまく表した歌い方をするのに、また またびっくりしたものでした。そういえば加藤登紀子は「時代遅れの酒場」とか「百万本のバラ」とか 男の立場で歌う歌も多いです。 この歌のわからないところは、<ピリカ>とは何か?でしょう。通常<ピリカ>は、美しい、綺麗な という形容詞ですが、「黒百合の歌」の<ニシパ>が、立派な、指導力のある、という形容詞なが ら【立派な男】も表すように、【美しい乙女】をも表すようです。しかし、今宵こそ君を、の<君=ピリ カ>とすると、岩陰に連れ寄られて笑うというのも、詞の構成上変です。ここは大方の人が想像し ているように、<ピリカ>とは何か動植物の固有名詞とすると詞の全体がすっきりしますが、生憎 そういう動植物はアイヌ語には無いようです。と、終わってしまっては実も蓋も無いですが、ここに 想像できることが一つあります。チドリ目の海鳥に【エトピリカ】というのがいるそうで、これなら情景 にピッタリします。エトピリカではメロディーに乗らないので、森繁久弥が<美しい乙女>のピリカと <海鳥エトピリカ>のピリカを掛けて表したとすると、一応納得できます。 *1:この曲二番の ”月は照る波の上(え)”のところが一番と三番とメロディーが違うのでご注意。 *2:加藤登紀子は”羅臼”、森繁久弥は”知床”と歌っています。 |