昨年話題になった映画「時をかける少女」をDVDで見ました。
 見るまでは、原田知世のイメージばかりが残っていて、でも、良く覚えて無くて、同じ角川の「セーラー服と機関銃」とダブって、あれ? どんな話だっけ?になってしまう恐ろしい記憶しか残ってなかったのです(この話を知っていると、くすっと笑える話しもありますね)
 派手さのない、どちらかというと地味な作品というイメージでしたが、周りの面白かったという意見に乗せられて、午後からのんびり鑑賞してしまいました。
 最初、素人臭い声優だな、と思いつつ見てたんですが、最終的には、リアルな高校生の空気を出すために必要な演出だったんだなぁと理解。そこと、あのシーンが超絶にイイヨーというのはないんですが、綿密に作られたシナリオと演出で、飽きることなく見れます。
 丁寧さの勝利、みたいな。
 ゆっくりとした時間の流れる前半。主人公達の「何も変わりたくない」意識とシンクロしていたり。天真爛漫であったり、優柔不断であったりするところが、進路を決められないところにさりげなく描写されていて、無意識的な説得力が背景にありました。
 そんな所から、過去へ巻き戻しを重ねていくうちに、だんだんと、世界が破綻し始め、そこからは坂道を転げ落ちるかの様な(いや、実際に転げ落ちますが)、怒濤の進行に、ぐいぐい引き込まれていきます。
 こういった時間軸を扱う作品は、得てして難しくなりがちなのですが、登場する人物や場面を必要最小限にする。(メイン以外は)時間軸が分からなくなっても、問題ないような作りにする、余計な説明は一切排除するなど、徹底した分かりやすい構成を貫いているので、置いてけぼりにされることは少ないでしょう。例えば
 お涙頂戴的な過剰な演出もないのに、ついついホロリときてしまうこと受け合い。
 高校生の、「本当にこの時間がいつまでも続けばいいのに」という気持ちが思い出される、非常に気持ちの良い作品でした。
 7月には地上波にも登場するそうですから、DVD買うほどじゃないという人は、ぜひ。原作や、原田知世版の時をかける少女が大好きな方には、説明不足だったり物足りない部分もあるでしょうが、上質な作品であることには間違いありません。
 →2007年7月21日(土)夜9時〜 フジテレビ系列、とのことです。

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