CP+で触ってきたので、この機種だけ少し詳しく感想を書いちゃうよ!
 
1)なんと言っても、5000万画素。
 CanonのAPS-c機種で言う所の2000万画素相当の画素ピッチです。あんまりムリしているわけじゃありません。新型kissの2400万画素をベースにすると、6200万画素ぐらいまでは問題なく作ることが出来ると思います。
 高感度特性はAPS-c2000万画素ぐらいなので、(人にもよると思うけど)ISO3200でいっぱいいっぱいな印象。サンプルで見た画像は、解像感を優先しているのか、暗部はノイズが目立つ印象でした。この辺はノイズキャンセリングの効きでコントロール可能だと思うけど、このカメラの一番尖ってる部分なので、低感度でしっかりぶれないように撮る方が幸せだと思います。
 センサーからの読み出し速度は、なんと1DXと同等です。5000万画素で毎秒5コマですから(1DXは1800万画素で14コマ)。それでいてRAW12コマのバッファ。Canonの担当者が、内部メモリを相当に奢ったと言っていました(16GB?)。
 Canon伝統のA/Dコンバーターが載っているので、Nikonと違い、CMOSセンサー上でノイズキャンセルはしていないです(だから、暗部ノイズと階調がNikonより低いんだよ! ハイライトは粘るけど!)
 
2)クロップは便利そう。
 Canonの一眼レフで初めてクロップ機能を搭載した機種です。画素数が多いので、多少クロップしても問題ない、という前提があるからできる機種ですね。2000万画素ぐらいでクロップしちゃうと、ちょっと実用に耐えるのか疑問です。Nikonは付いてるけど。
 で、このクロップの最大の利点は、望遠効果でもなんでもなくて、AFのポイントが、ほとんどギリギリまで使えるようになると言うことなんです。フルサイズは機構上四隅にAFポイントを置くのが難しいのですが、クロップすると左右はほぼ100%近く、上下も80%ぐらいカバーしているように見えます。もちろん、後でトリミングしても一緒なんですけど、AFポイントを置いて、しっかり構図を決めたら、その方が気持ちいいというのも分かります。(画素数的に)x1.6はまだしも、X1.3は使ってしまいそうです。
 
3)シャッターは本当に手が込んでる。
 5D3ぐらいからシャッター(ミラー制御)が静かになって、6Dもすごく静かで、7D2も(APS-cはミラーが小さい)なかなかの静音。従来のバネ駆動から、モーターによる制御になったので、止まる手前でスピードを落とすなど細かな制御してます。
 5Dsはこの動きがこの細かいブレになるのを押さえる為、徹底的に作り込んでます。普通のシャッターですら、従来の静音シャッターのような音。静音モードにすると更に小さくなりますが、普通シャッターと差が無いぐらい。
 ブレを押さえるときは2秒セルフタイマーを使う人が多かったと思いますが、2秒はちょっと長い。なので、5Dsは1/8~2秒まで1段ずつ選べるんです。その場合は電子先幕シャッターになって、露光開始まで何も稼働させない状態(さすがに後幕は動くけど)。
 この辺の機構が確立しなかったら、5Dsと言う機種は出せなかったんじゃないかな。だから、発売がこんなに遅くなったんじゃ無いかと思います。この辺の機構もすごく頑張ったと技術の方が言っていました。
 
4)ローパスキャンセルは仕方が無い。
 ローパスフィルタだけを「取っ払えばいい」と思う人も多いと思うのですが。それをやっちゃうと結構大変らしいです。空気中を進むのと、ガラスなどの中を進むのでは屈折率が異なります。結果として、ピントを合わせる位置が変わってくるのです。
 また、ローパスフィルタの光透過性は空気と異なるので、露出も変わってきます。この辺を別々にファームウェアで制御すると大変な手間暇が掛かってしまい「高価なローパスフィルタを入れた方が、結果としてコストが安くなる」っぽいです。
 NikonのD800は、ローパス付きと、ローパスキャンセルの2機種でした。D810の1機種になってローパス無しになりました。5Dsも同じ理由で、このような展開になっています。
 なんにしても、保護ガラスとか、赤外カットガラスとか、何らかのフィルタがあるんだから、ローパスの1枚ぐらいでグダグダ言っちゃいかんよね。
 
あ、あとUSB端子が3.0になってます。
 1Dsの頃から、風景カメラマンに「こんなでかいボディじゃなくて、ミドルクラスのボディで高画素機出してくれよ」って言われてました。見事具現化ですね。7D2もそうですが、最近のCanonはユーザーの言葉をちゃんと聞いてくれている気がします。
 おしまい。

1件のコメント

  1. 個人的な意見としては、この機種は、撮りたい物がはっきりしていて、かつ、三脚+レリーズを用意した環境下でないと、理想の写真を撮るのはなかなか難しいのでは、と思っています。(動きのあるものも厳しいでしょうね。)
    逆に言えば、しっかりと目的を持った使い方であれば、これ以上ない完成度の写真が完成すると思います。言うならば、完全なる「プロの風景カメラマン向け仕様」でしょう。
    まあ、御苗場あたりではD800を使いこなして、かなり色彩感覚のある展示をする人も多かったので、来年あたりは、この機種を使って御苗場に展示する人も出てくるかもしれませんね。
    どこにそんな金があるのか知りたいですが…www

    million_cotton
  2. ▼million_cottonさん
     本当にその通りですね。ラフに撮っていいカメラじゃないデスね。
     とはいえ、APS-C機に換算すると2000万画素ですから、本当はこのクラスの機種も、もっと丁寧に撮らないとダメなんでしょうね。
     再生倍率だけの問題なのかなぁ?

    千歳
  3. ローパスフィルタと聞くと4端子LC回路がぱっと浮かぶアタシとしては
    光学式ローパスフィルタがどんなものか大変興味がありますw

    omote
  4. ▼omoteさん
     ローパスなので、一定周波数以下のものはそのまま透過。一定周波数以上のものは、水平分離して、その後垂直分離(4点に分散)させてるのが一般的ですねぇ。
     今回のキャンセル機能は、水平分離させたあと、同じ水平に戻す方向に結合させているようです。

    千歳
  5. ▼omoteさん
     一般的なLPFは光学用として高品質に育成した人工水晶を切り出して使っているそうですよ。超高級機はニオブ酸リチウムを使っているそうです(性能に余りさはないものの、薄く作れる)。

    千歳

コメントは受け付けていません。