北原白秋の詩は複数の作曲家により作曲されていますが、この「雨」も他に弘田龍太郎作曲のものがあります。為三作は、雨で外に出られないが家の中にも楽しいことがあるといった明るい雨を中心のモチーフととらえて、明るい感じの名曲になっています。この曲を聴きながら白秋の詩を見ると、まさにこの曲こそ、この詩にぴったりと言う気がしてきます。弘田龍太郎作曲とはえらい違いです。雨には、清清しい明るい雨とじめじめした憂鬱な雨と二つのイメージがあります。成田為三は前者を採って、窓外の緑を濃くし爽やかにけぶる風景を見つつ室内で遊ぶのも楽しいという気持ちを表すためこの明るいメロディーを選んだのでしょう。北原白秋の真意はどうだったのでしょう。作品は発表されたら一人歩きを始めますから、どうでも良いようなものですが。この解釈の視点の相違は、同じ白秋の「砂山」にも通じることです。
雨
作詞:北原白秋(PD)
作曲:成田為三(PD)
MIDI制作:滝野細道
1.雨が降ります 雨が降る
遊びに行きたし 傘はなし
紅緒のかっこも 緒が切れた
2.雨が降ります 雨が降る
いやでもおうちで 遊びましょう
千代紙折りましょ たたみましょ
3.雨が降ります 雨が降る
けんけんこきじが 今鳴いた
こきじも寒かろ さみしかろ
4.雨が降ります 雨が降る
お人形寝かせど まだ止まぬ
おせんこ花火も みなたいた
雨が降ります 雨が降る
昼も降る降る 夜も降る
雨が降ります 雨が降る
2006/SEP/01 開設曲