北原白秋の詩は複数の作曲家により作曲されていますが、この「砂山」も他に山田耕筰作曲のものがあります。晋平作は、海の躍動感と子供の楽しげな情景を中心のモチーフととらえて、生き生きとした名曲になっています。この曲を聴きながら白秋の詩を見ると、まさにこの曲こそ、この詩にぴったりと言う気がしてきます。山田耕筰作曲とはえらい違いです。砂山には、小さな砂丘の意と子供などが海岸辺りで作った砂の山の意の二つがあります。中山晋平は前者を採って、遠い海鳴りの中で砂丘で楽しくはしゃぎ、夕暮れとともに帰って行くまでを表すため軽快な躍動感ある曲を選んだのでしょう。北原白秋の真意はどうだったのでしょう。作品は発表されたら一人歩きを始めますから、どうでも良いようなものですが。この解釈の視点の相違は、同じ白秋の「雨」にも通じることです。写真:「能代海岸の芒砂丘日本海に沈む夕日」「鳥取砂丘」
砂山
作詞:北原白秋(PD)
作曲:中山晋平(PD)
MIDI制作:滝野細道
(一)
海は荒海 向こうは佐渡よ
すずめ啼け啼け もう日が暮れた
みんな呼べ呼べ お星様出たぞ
(二)
暮れりゃ砂山 汐鳴りばかり
すずめ散り散り また風荒れる
みんな散り散り もうだれも見えぬ
(三)
帰ろ帰ろよ 茱萸原(ぐみわら)分けて
すずめさよなら さよなら明日
海よさよなら さよなら明日
2006/SEP/01 開設曲