北原白秋の詩は複数の作曲家により作曲されていますが、この「砂山」も他に中山晋平作曲のものがあります。耕筰作は、子供の去った宴の後といった寂寥感を中心のモチーフととらえて、寂しげなメランコリックな名曲になっています。この曲を聴きながら白秋の詩を見ると、まさにこの曲こそ、この詩にぴったりと言う気がしてきます。中山晋平作曲とはえらい違いです。砂山には、小さな砂丘の意と子供などが海岸辺りで作った砂の山の意の二つがあります。山田耕筰は後者を採って、子供の作った砂山が夕べの満ち潮とともに崩れて行き、何も残らない海岸の寂寞感を表すためこの憂愁の曲を選んだのでしょう。北原白秋の真意はどうだったのでしょう。作品は発表されたら一人歩きを始めますから、どうでも良いようなものですが。この解釈の視点の相違は、同じ白秋の「」にも通じることです。

  Illustrated by Hosomichi

  大正11年(1922年)頃    JASRAC Code No.043−0140−4

 砂山

  作詞:北原白秋(PD)
  作曲:山田耕筰(C)
  MIDI制作:滝野細道

  (一)
  海は荒海 向こうは佐渡よ
  すずめ啼け啼け もう日が暮れた
  みんな呼べ呼べ お星様出たぞ

 (二)
 暮れりゃ砂山 汐鳴りばかり
 すずめ散り散り また風荒れる
 みんな散り散り もうだれも見えぬ

 (三)
 帰ろ帰ろよ 茱萸原
(ぐみわら)分けて
 すずめさよなら さよなら明日
 海よさよなら さよなら明日



 懐メロ 八洲秀章&抒情歌 童謡・唱歌 「細道のMIDI倶楽部」TOPへ
 2006/SEP/01 開設曲