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 はじめに

 2001年連休後半の5月3日の朝は雨模様で明けた。西方への想いもだし難く、3日から6日にかけて遠征することに決めていたが、宿は淡路島に会社の契約施設があるので、行きと帰りの3日(木)と5日(土)はそこに泊まることとして、後4日(金)の宿泊を何処にするかで予定はガラリと変わる。 @淡路に泊まって、翌朝兵庫、岡山を抜けて島根、広島、山口を4〜5日に回るか、 A淡路から鳴門へ本四大橋を渡って、徳島、高知、愛媛、香川の四国4県を巡るか。 @の場合は広島市泊、Aの場合は高知市泊まりか愛媛の宇和島辺りとなるか。結果から見れば全くの机上の計画であったが・・・
 結局4〜5日にかけてのルートは天候などを見て3日の夜に判断することとして、ルートマップは両方用意して出掛けた。淡路島へはもちろんただ行くだけではなく、途中の滝へ寄って行く積り。今回は岐阜の小坂(おさか)町の根尾の滝を始めとする滝々を巡るか、雨が降った場合は普段水が少ないと言われている丹生川村の岩舟の滝、国府町の三休の滝、R41を下呂方面に下って久々野町の女男滝、それに、もし可能なら加子母村の高樽の滝か八百津町の五宝滝のどちらかに行く、6日の日は淡路島を出て、新神戸駅裏側の布引の滝と箕面市の箕面の滝に寄って、小牧JCから中央道で帰るか東名で帰るか途中の表示を見て決断しようという、何とも杜撰な計画ではあった。

 5月3日:出発と岐阜の滝

 3日朝は4時に起きて4時半頃までには出発する積りだった。高速が込む前に渋滞する所を抜けてしまおうという魂胆。しかし時間を1時間間違えてしまい、起きたのは既に5時過ぎ、慌てて身支度をしたものの、結局出発したのは5時40分と、かなり出遅れてしまい、既に渋滞が始まっていることが懸念される。外はこの季節にしては冷たい雨が降っていて、ふと、当日決行予定の彩志会・新全瀑連合同遠征隊の遠征がどうなったか気になったが、掲示板を見ている時間もなく出掛けた。我々(連れ合いと)は西を目指して行くので天候は徐々に回復するものと期待される。
 横浜の自宅から裏道を抜けて中央道府中ICまではまことに順調で「うまくいったわい」と独り悦に入っていたが、ICから入った途端既に大渋滞で動かず。大月を過ぎたのが8:30過ぎ。松本には何時着く事やら。雨は降り続け、途中の茅野辺りでは一面雪の跡があって、山は時ならぬ皐月の雪化粧で仰天。 これでは安房峠を越えて高山に出られるかどうか分からない。チェーンも携行していないし・・・しかし世の中は真に便利になった。携帯電話は行動そのものを変えた。連れ合いが助手席で道路情報センターに掛ければ全部教えてくれる。それによれば各峠で通行止めが続出している中で、安房峠は滑り止めが無くても通行可能とのこと。中央道の恵那山トンネルに回ることなく乗鞍を越えて高山を目指せることとなった。

 岡谷→松本→安房峠→平湯→丹生川というルートで丹生川村の岩舟の滝を見てから岐阜県を南下しようというのである。松本ICを出る頃には空は晴れ始め、安房トンネル手前の中小トンネルが連続するところで、霧と雲の間に「雲間の滝」が遠望できた。このときは水量も多く、雲間の高みから霧を分けて雄大に落ちていた。300mほど上から落下し、6〜700mほどの距離にあるので、道無き道でも一時間くらいで行けようか、心をそそられる滝ではある。上段が一旦山陰に隠れ左下方で段瀑となって現れる。丁度、奈良県の上北山村前鬼にある不動七重の滝を下から見上げたような具合である。途中がどうなっているか益々興味をそそられるところであるが、まずは写真のみにて次の滝へいくことにしよう。
 「岩舟の滝」には12:00前には到着。昨夜来の雨で、瀑岐@伊藤さんのサイトにあるものより水量豊富で見栄えがよくなっているだろう、一つ自慢してやんべ、と思って勇んで行ったら何のことは無い、瀑岐さんの方がよっぽど水量が多かったという話。結果は水が滴るという表現がぴったりの細流が落下していて、自慢どころか卑屈にならざるを得ない始末。しかし誰が名付けたか知らないが岩舟の滝とは言い得て妙である。舟を立てて、滝口が舳先のような具合になっていた。信仰の滝なので、一般のこの規模の滝にしては宣伝も看板も派手である。撮影もそこそこ、国府町の三休の滝へ。
 国府町にはかの有名な宇津江四十八滝があるが今回は割愛して――というよりは同じ滝には二度行かないことを主義としているので――「三休の滝」のみに立ち寄ることとした。三休の滝は滝下まで車で入れるが、人影はまったくなく、どこやらで声の衰えた鶯の声がするばかり。ただ、水量は瀑岐@伊藤さんのサイトよりも多めと見たは僻目か?滝相は良くある分岐瀑で、くろくまの滝、猿尾滝上部などなどを小型にしたようである。
 三休の滝を13:00過ぎに出発。県道76を経由してR41に出、高山市を掠めて大野郡久々野町の女男滝」へ南下。女男滝はR41の脇にあり、国道に掛かる橋からも見える上下二段の滝である。それぞれに立派な滝壷を抱え、水流の激しさからするとおそらく上段がカカア天下の女滝、下段が男滝であろう。上段の女滝が自分の滝壷に貯めた水を、下段の男滝の頭上にぶっ掛けていた。

 時刻は既に14:30をまわっている。付知峡の高樽の滝に行くか八百津町の五宝の滝にするか迷うとこるである。高樽の滝へとなると中津川ICへ出て中央道から小牧で名神に入ることとなって、早いけど距離は増す。R41を南下して五宝の滝に寄るのは淡路への途上ではあるが、春日井や小牧でかなり込むことが予想された。早く決断しないと分かれ道が近付いてくるぞ、と焦っているうちに、簡単にその焦りが解消してしまった。
 下呂だとか中山七里だとか、どうせ山中だからスピードを上げて通過できるだろうとたかをくくっていたら、これがどうして進まなくなってしまった。高樽の滝だ五宝の滝だなどと言っている時間なんぞ無くなってきてしまい、むしろチェックインタイムまでに淡路島に着けるかどうかの方に心配が移ってしまったのである。
 八百津町に着く頃には既に16:00を回っていて、五宝の滝に寄る時間はない。結果的にはそれでもチェックインタイムを過ぎてしまい、1〜2時間遅れても[毒を食らはば皿まで]の状態だったので、寄っていくことは可能だったかも知れない。しかしこの時は横目で通りすぎたのであった。
 小牧ICには16:50、栗東ICまでは順調で、栗東−京都南IC間が渋滞して、京都南ICで渋滞から開放されたのが19:34。淡路の門限が20:00なのでこの渋滞を利用して謝りの電話を入れたところ、「そこからだとまだ3時間掛かりますよ」、と。「んなわきゃねー8時40分にゃあ着くよ」、と私。「じゃあ私は中を取って9時5分」、と連れ合い、ってわけで一路淡路島へ。  

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