と言うわけで、EOS Rのレビューというか触った感想を書きます。まだ、買って3日目なので、たいした事は書けません。

そして。
いいですか、比較対象がCanonの1桁です。15年ぐらいこれしか使ってこなかった私がレビューしているので、全く参考にならないかもしれません。てか、なりません。
そこに注意しつつお読み下さい。

文句なしに良かったと思う点。

鬼のように軽いです。カメラ本体で1kg弱も軽い。電池込みで1530gから660gに! 気分的にはKissシリーズのように軽く感じます(Kiss X9は450g程度)。
重量の割にグリップが大きいので握りやすい(Kissは小指が余る)。幅は薄くなったけど、厚さは変わらないので、握り感はむしろ良くなっている風に感じます。SONYのα7は、ちょっとボディの大きさを気にしすぎて、グリップの高さが短いんですよねー(マウント径の違いが大きく影響していますね)。
液晶表示は綺麗。タッチ操作も全然迷わず扱えます。この辺は秀逸。

AFの速さは驚くべきレベルです。CanonのミラーレスはAFがクソ遅いなんてのも過去の話になりました。爆速です。RFレンズは特に早いですが、マウントアダプタ経由のEFレンズも十分に実用になります。5D/2桁Dクラスのスピードは出ていると思います。
(さすがに1D系に慣れていると、EFレンズのAFは少し遅く感じますが、電池の電圧も違うので仕方がないところ)
画面端に近い所でもほぼ迷いなくズバズバ合焦します。これは感激。ミラーレスにして良かった!
早さだけではなく、AFの歩留まりも上がりました。さすが最終像面であるセンサーで受光しているだけのことはあります。一分の隙もありません。

F11までAFに対応というのも大きいですね。望遠レンズにx2テレコンを付けてもAFが効くという事です。鳥や、飛行機撮りの人には朗報ではないでしょうか。
(x1.6クロップ(EVFなので拡大表示)で1200万画素相当になるし)

露出の歩留まりも上がりました。EVFは露出シミュレーション結果を表示するので、変な方向に露出補正しっぱなし、のようなミスが起こりません。そして、ヒストグラムもオーバレイできるので、ミスのしようがありませんね(言い過ぎ)。ヒストグラムの透過度も選べるとなお嬉しいです。

最近は当たり前だけど、カメラからスマホへデータ転送できるのは便利。しかも、RAW、通常サイズ、縮小サイズと選べるので、Lightroomモバイルでレタッチしたい場合とか、速報でWebに上げたい場合とか選べて良いですね。
背面液晶に表示したのをスマホで撮影する、というワークフローを撮らずに済むようになりました。

ちょっとは気になるけど、良かったと思う点。

DLO処理がリアルタイムでできる。DPRAWも選べる。
(DLOはデジタルレンズオプティマイザの略で、レンズの補正情報を反映してくれる。細部の精細度が上がったりする。DPRAWはCanon独自のデュアルピクセル情報をRAWに残す機能。現像時にピントを少し動かしたりできるらしい)
この辺は、レンズをより高画質に、独自のセンサーをより有効に使うためには良いと思うんですが、通常のRAWファイルにデータを追加していくので、凶悪なデータ量になります。DLOをつけると100%増加。DPRAWをつけると100%増加。両方を保存すると3倍強になります。通常のRAWファイルが20MB少々ですが、これが70MBになると思って下さい。1枚70MBは、なかなかですよ!
そして、この増大したファイルサイズも、Canon純正の現像ソフトDPPを使わないと「意味が無い」のです。もう一度言いますよ「全く意味が無い」ので、全てOFFにしました。
(DPPを使用している人は、適時ONにして下さい)
Lightroomとか、SILKYPIXとかは参照しないので、有効にする意味がほとんどありません。

デュアルセンシングISも凄く効きます。レンズ側のISと、受光センサー側のブレ量を検知して補正します。とは言え、ミラーレスというカメラは、どうしてもレフ機と違って、3点(両手と額)で支えることが少ないので、ボディ内手ぶれ補正は早急に搭載して欲しいです。

電源OFF時にシャッター幕が下りるのはとてもいいんだけど。できれば、レンズの着脱も検知して自動でシャッター幕を下ろすようにして欲しいです。これができると、屋外のレンズ交換が楽になります。その為にイチイチ電源切るのは面倒なんですよ(EOS Rの電源は左にあるので)。

あと、1桁機に比べると、ダイヤル類の滑らかさが足りないです。価格を考えれば当然なので、諦めます。使っているウチに滑らかになると思います。

イマイチだなと思う点。

逆光でファインダーを覗くとやたら暗く見えるんですよ(数秒)。レフの場合は、外光そのままなので、入射光が多ければファインダーも明るい。ミラーレスの場合、EVFは露出シミュレーションの結果を表示しているので、人間の目の瞳孔が閉じているときに覗くと、凄く暗く見えるんです。この辺は外光センサーでなんとかしてほしいです。露出シミュレーション切ればいいんですが、そうなるとEVFの利点を受けられないんですよねー(明るくする機能はある)。
測光開始時に、EVFが明転するのも気になる。

マルチファンクションバー周りはいろいろあります。
意欲的な機能で、歓迎すべき改良だと思いますが、未だ熟れていません。反面、AF-ONボタンなど従来からあるボタンが迫害されています。
AF-ONボタンは使わなくていいよという開発からのメッセージなのでしょうか。AFの速度が上がり、液晶のタッチでシャッターが切れる。そうすればAF-ONボタンの出番はありません。とは言え、AFとレリーズは分けたい時もあるんですよ。うーん。この辺をマルチファンクションバーでカスタマイズ出来ればいいのですが、未だそこまではで来ません。
(動画の場合は使いやすい機能があるので良いと思う)

ただ、どちらにしろ、ボタンの配置上、距離を置いて目で見て操作する事が必須です。1Dの2ボタンアクションは秀逸で、ファインダーを覗いたまま操作できたので、戸惑いが多いです(これも、1Dにしか無い操作系なので、普通の人は関係ないですね)。

機能によって使える機能、使えない機能がでてきて分かり難いです。
サイレントシャッターにするためには、連続撮影を切って、フリッカー検知を切るなどしなければなりません。それ以外にも、多重露出撮影、HDR撮影、マルチショットノイズ低減、長秒時露光のノイズ低減、ストロボ撮影、AEB撮影、DPRAW、LVソフト撮影も同時に使えません。一括解除できるようにするとかできないんですかね。
機能が増えすぎて、従来のメニュー構造から離れた操作系を検討しないと、操作が破綻します。

電池の持ちは、お察しの通りです。
半日持ち歩いて、200カット撮影して残り65%でした。この数字が正しければ600枚ぐらいでしょうか。え? そんなに撮れるの? と言われそうですが、もちろんからくりがあります(公称370枚)。省エネのために液晶を閉じてファインダーだけで撮影してました。
でも、液晶を閉じると設定の変更がやりにくく、上記の通りボタン操作をするには液晶が必要と言う堂々巡り。これは操作の慣れもあるのですが、ボタン配置も、目で「見る」配置なんですよ。指だけで操作しにくい位置にあります。
上位機種の場合は、改善して欲しいところです。

Jpegの画質は凄く良くなってます。
どうやって?と言うぐらいノイズ処理も上手です。
RAWは少し良くなったかな?と言う程度。ISO1600位からノイズが目立ってきます。ただし、カラーノイズは激減しました。輝度ノイズは相変わらずですが、現像処理が凄く楽になりました。1DX比で1.5段ぐらいは良くなっていると思います。
低感度(~ISO400)は、かなり階調が滑らかになりました。新センサーはいいですね!

EVFと背面液晶の色味が違うのは困りました。同じEVFモジュールのNIKON Z6/Z7は、もう少し落ち着いた発色なのですが、EOS Rはちょっとギラついた感じで、グリーンに転んだ感じがします。ファームウェアで直らないかなぁ?

総評。

未来を感じる意欲的なカメラです。
価格を考えると、むしろお買い得だとさえ思います。もちろん、まだまだ改良が必要ですが、ポートレートや静物主体の人は、買い替えても良いと思います。AF/AEの歩留まりは圧倒的に向上します。

動きものに関しては、まだまだレフ機の方が良いと感じました。
一つは、EVFの表示ラグ。半テンポ遅れます。その上でシャッターラグがあるので、なれるまでは撮影が難しいと思いました。
もう一つは、AIServoの追従性。アルゴリズム的なものなのか、センサー的なものなのか分かりませんが、まだまだレフ機に追いついていない印象です。

操作系も迷走しているので、設定が分かりにくいです。
この辺は、いくつか世代を重ねる必要がありそうです。
(カスタマイズが豊富なので、他人にカメラを借りたら、たぶんすぐには写せません)

ただ、今回書いた内容には、不慣れからくる不満も多数混入しています。使い慣れたら気にならないもの、使い慣れても不便と感じるものは別なので、そのうち改めてレビューしたいと思います(と言っている間にファームのアップデートが掛かったりして…)

しかし、シングルスロットはしょうが無いにしても、JpegとRAWは別のフォルダにするとか出来ないもんかねぇ。邪魔だよアレ。

あ、Canonは戦略機には戦略価格を付けます(初代KissDigitalや、初代5D、初代6D、KissMなど)。後継機は、より満足する性能になると思いますが、価格は跳ね上がると思いますので、ご注意を。