ある日、酒屋を覗いていると、銘酒「獺祭」の酒粕が売られていました。しかも500gほどで500円。4合瓶ですら数千円する酒(のカス)ですよ。美味しいに決まっています。
 「よし、粕漬けを作ろう」
 まー、500円だし、ダメにしちゃってもいいかなー。なんて思ってたんですが、ちゃんとした酒粕はアルコール度数が高いので、一般的に傷まないようです。梅酒が腐らないのと同じ理論ですね。なるほど!
 (酵母が生きていて、低温でもゆっくり熟成が進むので、あまり長い時間放置しておくと奈良漬けのようになってしまうとのこと)
 ただの粕漬けではもったいないので、白味噌を混ぜて西京漬けにすることにしました。日持ちしない「水で伸ばしたもの」と、日持ちする(繰り返し使える)「酒で伸ばしたもの」があるそうです。
 当然、繰り返し使えるようにします。
 まずは、すり鉢で酒粕と酒をよーく擦ってなめらかにしていきます。味噌を適量追加(鰹だしとお砂糖も入れた)して、ビニール袋に移し、鶏もも肉とゆで卵、ニンニクを投入してみました。
 一晩経ったものをオーブンで焼いてみると、これがヤバ美味なのであります!
 特に、もも肉が絶品! 火が入るとアルコール分が飛んで、それほど気になりません(弱い人は注意)。酵母とアルコールが肉を軟らかくし、適度に水分が抜け、うまみが凝縮。ほどよい味噌味が恐ろしいほどに食欲をそそります。
 「うん、酵母は偉大だ!」
 実験がうまくいったので(ゆで卵は、黄身にアルコールが残って微妙だった。もっと浅漬けがいい)、残った酒粕もなめらかにして、大量の漬け床ができあがりました。
 この日買ってきたのは「鱈」「小金目鯛」「鮭ハラス」の3品。これを漬けて、また一晩。
 「うーまーいーぞー!」
 酒飲みながらチビチビするはずが、どうしても白いご飯が食べたくなり、早炊きで炊飯し始める始末。炊きあがった瞬間にすべて食べ終わってしまうぐらいの恐ろしい食べ物が出来てしまいました。
 そして当たり前なのですが、日本酒との相性がいい! すごくいい!
 漬けるのは一日。取り出して冷凍すれば日持ちもするので、とても扱いやすいのも特徴です。
 みんなも漬けまくるといいよ!