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[道無き道を]

 観瀑台で写真を撮ってから連れ合いに問うたところ、「折角来たのだから行き
たい」と言うので、12:55発。遠征報告にある朽ち木を発見するのが第一関門
なので、注意しながら5〜6分進むと左側にあった。朽ち木とは言っても、黒い
錆び釘が何本か付いたものなので注意していれば分かるし、反対の右側の谷
の方に分け入る道の木には、赤いテープが巻いてあって知る人ぞ知る。事前
に研究して行けば分かるようになっている。
 熊笹を分け入って右前方へ斜めに下って行くと、次第に道がハッキリして来
て辿りやすくなった。急な下りなので帰路はさぞかし辛いだろうな(辛かった)
と思わせる。ところどころ微かな踏み跡だけ、となったりするが、木々にはかつ
て温帯どんが巻いたものだろうか?色褪せた、元は赤かったらしい白いテープ
が随所にくくりつけてあり、案内してくれるので、道無き道ではあるが迷うこと
はない。しかし一旦夕立があったりすると、途端に、大変危険な道に変わるの
は間違い無い。途中全く手がかりの無いガレ場を横断するところがあり、雨が
降ったらお手上げである。他にも、新しくロープを張ったような所があるが、そ
れだけに足場は悪く、雨の日は危険だ。常布の滝へ行くには天候を確かめる
のは不可欠である。
 行程の半分ほど行ったところに例の30mほどのガレ場があり、目印を残す
所も無いので、注意する。斜め上方に倒木があって、その辺りに目印があるの
で良く確かめる。ガレ場を超えると滝が近いことが実感され、斜め下方の5m
ほどの滝の脇に露天風呂がある。

滝と露天風呂〔左〕
露天風呂を見る連れ合い      

 彩志会報告にはここで左岸に渡ると記してあるが、一旦斜め後方の分岐点に
戻ってから登って行く道にもテープが付いている。目的の滝が微かに木の間に
見えるのに、斜め上へ上へと登っていくようなルートなのでちょっと抵抗感があ
るが、我慢してどんどん上がっていくと水平となり、斧の入った倒木を越えると
突然視界が開け、常布の滝の左高台に出る。ここに4〜5人座れるスペースが
あって、滝の勇姿を俯瞰できる。すぐ横には小さな鍾乳洞がある。13:30着。

滝壷へは岩
山つつじの
潅木に縋り
ながら下降
すれば簡単
に滝正面の
岩場に出ら
れる。
実に良い滝
である。高さ
こそ40m足
らずである
が、迫力は
見る者を圧
倒する。温帯
おやぢが感

動したのも十分に頷ける滝だ。同じく温帯どんの好きだった赤城不動大滝にも
全体の感じは似ているが、滝壷は青く深く、周囲の岩盤も実に特徴的である。
 ここで温帯おやぢこと山口昭夫氏の霊にしばしの祈りを奉げた。私の心の中
で常布の滝と温帯どんが一体となって敬虔な気持ちとなった。連れ合いが「温
帯さんの姿が写真に出るかもね」と言ったので、何をフザケタことをと思ったが
一瞬ひょっとしてなどと思ったりした。突然視界がぼやけた。
 滝には小一時間ほど居ただろうか・・・立ち去り難かったが、15:30頃まで
に音楽の森の入口まで戻ることが出来れば、例の世立の殺人の滝の遊歩道
が確認できるので、14:20常布の滝発。全く同じルートを辿って、往路復路で
2回ほど小滑落をしたのみで、観瀑台に帰りついたのが15:00。
 観瀑台で滝に向かって祈りを奉げ、訣別することとした。当日は視界も良好
だったので、P.2にあるようにクッキリと見え、300mmのレンズを透して見る
と結構間近で、豪快に見えた。

左高台鍾乳洞
  
 
滝俯瞰図
1/250
流し撮り

 観瀑台から入口の駐車場所にはきっかり30分で帰りついた。世立には15:35
出発した。