正確には塩漬けした豚バラ肉を燻して自家製ベーコンを作った! ですかね。

先日「燻製したら美味しいもの」で検索したら「ベーコン」「ソーセージ」とでてきて、それは燻製済みのものなので、追燻ということでしょうか?と首を傾げた千歳です。

そんなこんなで、今シーズン最後のベーコンを作りました。
途中の工程で、大きな豚バラブロックを乾燥させるために2夜ほど野外に放置しなければならないので、気温が上がってくると作りにくくなるのです。
(冷蔵庫内で乾燥させる方も居るようですが、私は自宅の冷蔵庫内の衛生環境に自信がありません)

ここ何回かベーコンを作っていて、かなり安定して美味しいものが作れるようになってきました。

レシピ
豚バラブロック肉 1kg
水 500cc
塩 375g
ハーブ・スパイス お好みで

1)ソミュール液に漬ける際の塩分量は豚肉の重量込みで18~20%と高濃度(豚肉の水分が出てこないと飽和したまま)
2)それを1ヶ月以上冷蔵庫で熟成
3)塩抜きは2昼夜~3昼夜。しっかり塩を抜く。可能なら流水で塩抜きする。
4)しっかり乾かす。2夜干せるとかなり良い。
5)温燻でも、なるべく温度を上げず~50度までにする。
6)これでもかってぐらい燻した方が美味しい。

 

塩漬けについて。
水500ccにハーブとかスパイスを入れ、塩を375g入れます。塩の飽和溶解量は水100gに対して26gチョイですから、当然溶けきれずに塩が沈殿します。
これに肉を投入し、密閉。2週間もすると、肉の中の水分がでてきて、いつの間にやらちゃんと塩が溶けきってしまうのです。
もちろん、数日に一回ちゃんと混ぜる必要はありますよ!(空気と接する部分の腐敗防止のためにも)
ハーブは気休めです。塩抜きの段階でかなり抜けます(なんのハーブを入れたか後から分からないぐらいになりますが、全く入れないとちょっとサッパリした味になります)。しっかり胡椒を入れておけば大丈夫。千歳亭では、臭み取り程度にホールのローズマリー、ローリエ、クミンを加えることが多いです。
(1週間ぐらいで作るレシピのベーコンは、塩の濃度も薄く、塩抜きも簡易なので、ハーブやスパイスの味が残りやすいです)

塩抜きについて。
これだけ高濃度の肉塊ですから、簡単に抜けてくれません。
温かい水ほど塩が抜けやすくなるのですが、腐敗 熟成との戦いなので、なるべく低温の水で処理したいところです。水分子が動いている方が抜けやすいので、前述の通り温度を上げるか、水を流すかします。
当然、この段階でも空気に触れると肉がダメになってしまうので、完全に水没させます。
肉に残った塩分濃度は1%ぐらいが理想でしょうか。スライスしてそのまま食べて美味しい程度がこの塩分濃度です。2%程度まで上がると、生では食べづらく、スープなどで煮込んで塩分を出してあげる必要があります。
端っこを切って味見する場合は「ちょっと塩が薄いかな?」ぐらいが良いです。
低塩分濃度の肉は、一気に腐敗 熟成が進行するので、細心の注意が必要です。

脱水について。
うちでは、干しカゴでベランダに吊しておきます。
屋外が嫌な方は、冷蔵庫内で乾燥(食品用脱水シート【ピチット】を使う人もいますが、コスパが悪すぎます。性能はすごく良いのですが)。
表面の水分を除くことで、煙が付着しやすく燻製の効果が高くなるのと、全体の水分が減ることで旨味が凝縮する点です。
個人的には後者のポイント型が高いのですが、単純に「燻製してみたい」という人なら、前者のメリットだけでも十分です。キッチンペーパーでしっかり水分を拭き取って、即燻製でもOKです。

燻製について。
温度管理は重要です。~80度程度までの温燻が良いという人も多いですが、千歳亭的には40度の冷温燻ぐらいが良いと思います。その分時間を掛けて多めに燻します。6時間ぐらい燻製します。
肉に火が入る温度になってしまうと、どうしても油が滴り、味が薄まってしまいます。塩が入った(そして抜けた)油に旨味が多いのですから、これを垂らしてはもったいないです。煙が充満していれば無菌状態になるので、煙が絶えないようにチップなりウッドを継ぎ足していく必要があります。温度を低く保つためにも、ある程度容積のある燻製釜が欲しい所ですね。
~20度ぐらいまでは菌は(ほとんど)繁殖しません。50度を超えても菌は(ほとんど)繁殖しません。煙には殺菌作用があるので燻製中の40度は問題ありませんが、その他、全ての工程でこの温度に長時間晒さないように気をつけましょう。

殺菌について。
念のため、湯煎に掛けて低温殺菌を行います。
そのまま自宅で自分が食べる分には、燻し終わったものをそのまま食べれば良いんですが。人に振る舞うことと、長期保存することを思うと低温殺菌は欠かせません。
目安は「中心温度が63度を30分」です(これは他の食品と変わらない)。温度を低くして、長時間殺菌した方が風味が良くなるので、58度2時間とかにします。
この時に、前述の乾燥が少ないと、大量の水分が溢れてきます。もったいないので、スープなどに使いましょう。

保存について。
そのまま冷蔵庫に入れておいても1週間やそこらは保ちますが、冷凍保存が基本です。しっかり低温殺菌までしてあれば、冷凍してもほとんど風味は落ちません。
大きいまま冷凍保存すると、その後の処理が面倒になるので、100g位の塊に切り分け、個別にラップ。更にジップロックのフリーザーバックなどに入れておくと、長期間の冷凍保存でも霜が付きにくく、味も落ちません。使う分量だけ解凍すれば良いので、とてもおすすめです。


(写真は、ベーコンの刺身)
と言うわけで、皆さん。素晴らしい燻製ライフを。
(ベランダやキッチンでやるなら、雨の日とか、夜になってからとか。近所の洗濯物に匂いが付かないように気を使いましょう~!)

1件のコメント

    1. ▼omoteさん
       最近銀の匙読んでないなぁ!
       しかし、まぁ、ちゃんと作ったものは美味しい。というか、美味しいから世界に広まったと言うべきか。うーん。

      千歳

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