以前、味噌と醤油を同時に仕込みました。2016年のG/Wの事です。
味噌は熟成に対して消費が追いつきませんでした。知人に魚の味噌漬けや粕漬けなどを作って配りましたが、全く使い切れませんでした。発酵が早いです。赤も赤。むしろ黒いぐらいの味噌になってしまったので、最後は少し破棄してしまいました。

醤油は大成功だったので、2017年6月に改めて大量に仕込みました。2瓶合計8Lほどです。
1年ほど経ってから使う分だけ絞り、1年ぐらい掛けて、熟成させながら使っていた計算になります。
最初は、薄い色しか着いていなかった液体も、最後絞りきる頃には立派な琥珀色になってくれました。

前回は、腐敗を恐れて、かなり塩が強い仕込みとなってしまいました。
慣れてきたので、一般的な16%程度の塩分醤油を作って行きたいと思います。
(一般的な雑菌は10%ほどの塩分で繁殖できなくなります。麹は好塩菌なので、問題ありません)

まずは、材料の調達です。
麹は、時期になればスーパーに並びます(漬物用の米麹が多い)。大豆も普通に売っています。もちろん、塩も普通に買えます。粒のままの小麦はなかなか見かけませんね。レシピによっては、押し麦などの大麦でも良いとなっています。
また、大豆を使わずに仕込むと、白醤油になるそうです。

漬物シーズン前なので、麹などはスーパーに並んでいないようです。仕方がありませんので、文明の利器であるAmazon様を使用して麹を購入します。その他は地元のスーパーで調達します。

そして仕込みの前の、分量計算。
いろいろ考えた結果、2種類作る事にしました。
1つめは、麦麹+麦の白醤油。
もう一つは、麦麹+麦+大豆の醤油。

白醤油の塩分濃度は18~19%と、かなり塩っぱいです。
普通の醤油(濃口)だと16%ほどが目安となります。

あまり濃いのを作ると、絞るときに大変なので、加水率は120%ほどとします。瓶いっぱいに仕込んでしまうと、発酵の際に溢れてしまったり、撹拌の時に大変なので、5Lの瓶に対して4Lほど仕込むことにします。

白醤油
麹1500g → 水 1800g、塩724g 合計 4024g

濃口醤油
麹1550g → 水 1860g、塩650g 合計 4060g

(excelが使えると、こういうときに便利ですね)
350gの麦麹を5袋注文。これを水で戻すと2500gになります。大豆を茹でて550g分用意すれば良い計算です。

麦麹はそのまま使えますので、大豆だけ下処理します。
水に浸け、一晩放置。翌日蒸し上げます。軽く粉砕して、瓶に移します。
この瓶の殺菌を怠ると、全滅の憂き目を見ますので、かなり気合いを入れます。次亜塩素酸ナトリウム(ハイター)で滅菌。水ですすいだら、念のため次亜塩素酸で殺菌。次亜塩素酸なら、反応後に水に戻るので、口に入れても安心です。

固体の味噌と違って、液体の醤油は仕込みが楽でいいですね。
最初の温度管理と衛生管理さえしっかりすれば、きっと大丈夫です。

醤油なんて買った方が安いのに、と良く言われます。
(確かにその通りです)
効率良く大量に作られた製品が安く手に入るのは重々承知しております。
でも、野田の醤油工場で買ってきた「生醤油」が美味しかったんです。通常、火入れしてしまう醤油とは、全く異なる美味しさだったんです。
なので、毎日生醤油が使いたいのです。だったら、手元で醸造した方が良いじゃない! という感じです。
作る過程にも価値があれば、最終的な製品価格とは別の価値が生まれると思います。

まず最初の行程は、大豆を水で戻すことです。一晩と言われていますが、夏と冬では倍ぐらい時間が違います。
夏は8時間、冬は15-6時間とのこと。この時期は真ん中で12時間位でしょうか。

500gの乾燥大豆が、この時点で1kg程になります。
醤油に使うのは500gほどなので、残りはお豆腐にするつもりなので、タッパーに入れて冷蔵庫に保存します。
大豆を圧力鍋で1時間ほど煮ます(豆腐の場合は粉砕してから煮る)。
(サイトによっては5分圧力でOKなんて記述もあるので、火が通ればそれでいいのかもしれません)

灰汁が出るので最初から蓋をせず、ある程度取り除いてから圧力を掛けていきます。
普段、圧力鍋なんて、長くても15分ぐらいしか使わないので、ドキドキです。

煮上がった大豆は、ある程度粗熱をとって、ミキサーで適度な大きさに粉砕し、醸造瓶に移します。

麹は、乾燥麹です。
ラフに扱っても大丈夫ですし、日持ちもするので、安心です。
(そのまま使える冷凍麹もあるようです)

これをぬるま湯で戻します。
パンを焼くときのイーストをぬるま湯で戻すのと同じで、予備発酵を兼ねているんでしょうか。

1時間ほどで麹の活性が戻るようです。
これも、醸造瓶に移します。

最後に、塩水を用意します。
麦麹だけの白醤油は18%に、大豆も入った濃い口醤油は16%になるように塩の量を調整します。

仕込んで数日は発酵も活発です。泡立つので、瓶から内容物が溢れないように適時混ぜてあげる必要があります。1週間もすると落ち着くと思うので、それまでは毎日、場合によっては日に数回混ぜます。
最初の活発な時期さえクリアしたら、あとは数日に一回面倒見るだけです。酵母の力を信じて待つばかりです。