この「夜霧のブルース」には<夢の四馬路>という地名が出てきます。四馬路(スマル)というのは<中央から4番目の馬が通れる大通り>という意味で四番街というようなものでしょう。細道が上海に行ったときには、四馬路は福州路という名前に変っていました。細道はそこの<和平賓館>という古〜〜い、古都上海を代表するホテルに泊まりました。イギリス時代の建物で、物凄い豪華ホテルが物凄く汚れ果てた姿と思ってください。一時代前の雰囲気を味わってきました。そう、これは戦前<上海租界>と呼ばれた列強の治外法権的な歓楽街のあったところで、麻薬や娼婦やスパイが暗躍する魔窟だったのです。
四馬路(スマル)は主として欧米列強の租界、虹口(ホンキュ)は日本租界だったところで、歌詞の<青い夜霧に>というのは、黄浦江の河口に租界(上海ボンド)があり、テ−ムズ河口の霧のロンドンのように霧が出やすく、そこに歓楽街の紅い灯、青い灯が映って冒頭の表現となるのです。「上海帰りのリル」にもこの地名が出てきますが、四馬路や虹口にいた女性はソノ筋の女性ということになります。<高級>という冠詞は付きますが。
島田磐也は「湖底の故郷」などという詩を書く反面、「裏町人生」とかこうしたものも多く書いています。

      昭和 22年(1947年)            JASRAC Code No.092−0033−9


     夜霧のブルース


     作詞:島田磐也(C)
     作曲:大久保徳二郎(C)
     歌唱:ディック・ミネ(曲リスト)
     MIDI制作:滝野細道


     ()
     青い夜霧に 灯影が赤い
     どうせ俺らは 独り者
     夢の四馬路か 虹口の街か
     ああ 波の音にも 血が騒ぐ


     ()
     可愛いあの娘が 夜霧の中へ
     投げた涙の リラの花
     何も言わぬが 笑って見せる
     ああ これが男と いうものさ


     ()
     花のホールで 踊っちゃいても     「上海帰りのリル」と上海租界

     春を待たない エトランゼ
     男同志の 相合傘で
     ああ 嵐呼ぶよな 夜が更ける


     四馬路=スマル
   虹口 =ホンキュ



     懐メロ 八洲秀章&抒情歌 童謡・唱歌  「細道のMIDI倶楽部」TOPへ   *2006/SEP/01 開設曲


ディック・ミネの当倶楽部内のアップ曲

ディック・ミネ当倶楽部の曲
曲  名 作  詞 作  曲 歌 い 出 し
愛の小窓 佐藤惣之助 古賀政男 花の都の身をすねて若きいのちを散らすやら
或る雨の午後 島田磐也 大久保徳二郎 雨が降ってたしとしとと或る日の午後のことだった
人生の並木路 佐藤惣之助 古賀政男 泣くな妹よ妹よ泣くな泣けば幼い二人して故郷を
旅姿三人男 宮本旅人 鈴木哲夫 清水港の名物はお茶の香りと男伊達見たか
二人は若い サトウハチロー 古賀政男 あなたと呼べばあなたと答える山のこだまの嬉し
夕べ仄かに 島田芳文 古賀政男 夕べ仄かに窓辺に立てば山のかなたの空の色
長崎エレジー 島田磐也 大久保徳二郎 波がうたうよ長崎の港めぐれば石だたみ愛の灯
夜霧のブルース 島田磐也 大久保徳二郎 青い夜霧に灯影が赤いどうせ俺らは独り者夢の